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#5 つけ込んだのはお互い様《忘れられない恋物語》

彼との出会いも小学生4年生
そう、#1の友人である

彼等は3人組でいつも一緒にいた
そこに私と親友が混じって5人になった
仲良くなってからは基本常に誰かの家に入り浸っていた

彼の印象は
ジャンプを読んでるかゲームをしてるかで
一緒に居るのに輪の中には入ってこない奴だった

友達だった頃、毎日一緒に居た割に会話した記憶がほとんどない
おすすめの漫画とかラノベの話をしたくらいだろうか
口数は少ないけど優しい奴だった

彼等とは不思議な関係で
私が他の人間関係で充実してると忘れたように会わなくなる
でも人間関係がうまくいかなくなった時とかにふらっと帰ってきて
何にも言わず昨日も居たかのように受け入れてくれる
そんな場所が何より心地よくて大好きだった

関係が変わったのはとある事件があってから(#4を見てね)
高校に入る前の春休みのこと

あの事件の後私の精神は崩壊し続け
明るく振る舞うことが出来なかった
気付くと涙が出てくるし1人で居るのもしんどかった

そんな時、支えてくれたのが彼だった
あの日来てくれたみたいに
真夜中寝れない時に呼んでも自転車を飛ばして来てくれた
昼間起きて暇だからって家に突撃しても入れてくれた

何をするでもなく彼のゲームしてる画面を後ろから眺めて
門限が来たらバイバイして家に帰る

何でもない時間が心地よかった

ある時、弱くなってるとこつけ込むみたいだけど付き合いたいと言われた
正直恋愛対象で見てはいなかったし彼氏って感じではなかった
けど、この時彼を手放すことは考えれなかった

そして付き合うことになった

それからもあまり関係性は変わらなかった
強いて言えば抱きしめてくれるようになった
他の男の人は怖かったけど彼だけは大丈夫だった
温もりがより心の傷を癒してくれた

何気ない連絡もさらに遠慮なくできるようになった
用もないのに名前だけLINEで呼んで、呼んでみただけーなんてノリをひたすら送った
お互いぼっちで暇してたから何気ない会話をたくさんした
彼と居る時は常に幸せだった
優しくて暖かくて本当にいい人だった

ついに春休みが終わり高校に行く日が来た
初めての出会いが多い中、とっても不安だった
彼と入学式の後会う約束をしてそれを糧に頑張った

入学式、嫌なことを考え出したらキリがないから
まずは友達を作ることを考えた
こういうのは初日がとっても肝心である
私は幸い出席番号近くの女の子たちとノリが合い
すぐに仲良くなることが出来た

そして1つ大きなことに気付いた
この学校にいる間はストーカーは入ってこれないから安全だと
それに気付いてからは心が少し楽になった

夜道や家の前はやっぱりまだまだ怖いけど
それでもある程度学校が忙しくなって考える時間が減っていった

入学して数週間経ったある日
いつも通り彼と会っていた時
彼があと1日休むと留年になることを聞いた
元々小中学校サボり気味なことは知っていたが
こんなすぐに進級できないことが確定するとは思わなかった
行った方がいいと言ったがそんなすぐに行動に移せるはずもなく
彼はあっけなく退学した

彼はいわゆるニートになった

昔からの仲ではあるから友人目線では馬鹿だなと笑った
さらに暇になった彼とは毎日会えるし彼が選んだ道なら仕方ないと思った

けれど、彼のおかげで気持ちも落ち着いてきて
日々高校生活が楽しくて前を向けていた私にとって
後ろ向きな彼と未来を見ることがだんだん出来なくなっていった

私は前を向くために彼に別れを告げた

彼は今まで付き合ってくれてありがとうと言った
そして、これから俺は守れなくなるからって
あるアプリを教えてくれた
手紙に今の気持ちを書いて送ると誰かに届き
メッセージのやり取りができるというものだ

俺も寂しい時使ってたからさ
そう言った彼の顔をちゃんと見ることは出来なかった
私は彼に何かしてあげられたのだろうか、そう思った

恋人にはなれなかったけど
いつか友人として彼の結婚を祝福したい
めちゃくちゃいい奴だから
ちゃんと幸せになって欲しい

レモンティーが主食のニートな友人Bへ
そのうち遊ぼう
今度は2人ともが幸せな時に

#忘れられない恋物語

✂―――――――――――――✂

ここまで読んでくださりありがとうございます。

彼を思い出す時、
暖かい感情でいっぱいになります。
彼がどう思ってるかは分からないけど
私は本当に感謝しているし命の恩人だと思っています。

弱みにつけ込んでくる男は下心しかないなんて話はよくありますが、
あれが下心なら下心万歳です。

私はこの恋で
恋愛の恐怖から立ち直ることができました。

彼は傍から見たら社会不適合者なのかもしれないけれど、
私にとってはヒーローで、ギブの精神を教えてくれた人です。
私は何も返せなかったけれど、いつか本人に返せるように、
そして他の人にギブできるようになればいいなと思います。

友人を救うのは当たり前って行動してくれる本当に良い奴に出会えて幸せです

私はこの短い交際期間の中で
マイナスな思い出はないし後悔もしていません。
ただ、俯瞰で見た時に寂しさを埋める傷の舐め合いのような恋に未来は見えないと思います。
似たもの同士で刺激されない良さもあったけど
私は常にいろんなことに挑戦していたいし
変化のない未来が見えた時これじゃダメだ変わらなきゃと思いました。

ちなみにこの記事を書いたことをきっかけに
当時めちゃくちゃ聴いてカラオケで歌ってた曲に浸りました。
元カレ思い出すソングってありますよね

てなことで今回はこんな感じで終わりたいと思いますっ
ではではっ👋

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