グレーゾーン企業はコンプラ遵守企業か

#結論から言うと「そもそもコンプライアンス遵守とは?」という更なる問に繋がったため私の中での結論は出せていません。

背景

このことを考えるようになったきっかけは、会社からのPIP及び退職勧奨だった。

うちの会社は「コンプライアンスを遵守している」と対外的に示しており、社内でも「コンプライアンスを遵守するように」と言われていたため、
私は「うちの会社はコンプライアンスを遵守している企業である」と思っていた。
そのため、最初PIPが始まった時にも、「会社は前年度の上司の理不尽さを知らず、上司が言うがままにPIPをしているのだろう。事実を伝えたらコンプライアンスの観点で事実確認等を行うだろう」と思っていた。
(これがいかにお花畑な考えだったかは、その後、労働局や弁護士さんに相談して実感)

だがPIPの中で、PIPの元になった前年度の上司が理不尽であったことなどを伝えても、役員も人事部(コンプライアンス窓口でもある)も、それについての事実確認を(少なくとも私に対して)行わなかった。
それどころか、「詳細は把握していないが適切な指導をしていたはずだ」「ここに書かれているのは欠点であるはずだ」という想定でPIPが進み、
「欠点」と書かれている事項について具体的事例を問えば「過去に拘り、前向きに指摘を受け止めていない」と更なる指摘に繋がっていった。

私は会社名や個人名、業務名等をマスキングした会議録等を持って、労働局の総合労働コーナーを訪ねた。
※私が自分に都合のよい発言をしていると受け取られないように、資料は会社(人事部)作成の会議録や、会社側と私のチャットのスクショ等を提示。相談時には、第三者として客観的な意見をいただきたいと伝えた。

もらったコメントを要約すると、「全体的に会社側が都合のよい発言をしている。PIPは正しく行えば適法だが、外資系企業でグレーゾーンぎりぎりを狙って濫用され、社員の退職に使われることが多い。このような会社は労働局からの助言もほぼ無視する」だった。
(余談だが、企業名等隠していたのに発言の一言目が「この会社、外資系?」だったので驚いた)

労働局で聞いたコメントについて会社に伝えたところ、「当社のPIPは適法に行っており、今回のPIPや退職勧奨も適法」との回答があった。

考えていること

今回の件がグレーゾーンかブラック(違法)かについて、会社は「自分達の行いはグレーゾーン」(違法とまではいかない範囲でやっている)と考えていると仮定する。
(会社は「適法」と回答したが、適法かどうかを判断するのは会社ではなく、「違法ではない」という趣旨で「適法」と主張していると推測)

一方で、会社は「コンプラ遵守」を掲げている。

この2つが両立するロジックを考え、思い当たったのが以下の2つだった。
「コンプラ遵守」とは「明確に違法であることをしていなければよい」
・「コンプラ遵守」には範囲があり、「範囲内はホワイト、範囲外はグレーでもよい」

これであれば、会社のやっていることと言っていることの筋は通るが、亡くなっている方もいるというPIPの濫用・退職強要を行う企業が、コンプラ遵守企業と社会的に見做されるのだろうか。
(ここまで考えた時点で、PIP責任者であった役員及び人事部の管理者に、うちの会社の考えるコンプラ遵守とは何かを問うメールを送ったが、その後に休職に入ったため回答は得られていない)

「コンプラを遵守していると判断すること」について、更なる疑問も湧いた。
コンプラ=法令であれば、法令を守っていればコンプラ遵守と言えるだろう。
だが、グレーゾーン金利、ねずみ講、飲酒運転の厳罰化等々、社会問題化して(社会的に不適切だと見做され)法整備がされていった。
では、法整備がされる前にグレーゾーンの金利を取り、自殺者を出していた金融会社は、当時の社会で「コンプラ遵守」と見做されていたのだろうか。
そして今「コンプラ遵守」と見做すには、どのような基準で考えればよいのだろうか。今は適法でも、法整備等が整い、適法ではなくなる事象もある。
「社会の良心」というのが可視化できれば一番いいが、良心は人により異なり、立場によって善悪の判断も変わりうる。

以上が現時点の私の頭の中であり、結論は出ていない。
「コンプライアンスとは何か」について、携わっている人たちの考えを書籍等で学びたい。
私の考えはまだ私自身が体験した範囲に留まっており、コンプライアンス違反としてどのようなものがあるのかの知見も不足している。

答えは無いのかもしれない。
先日観た映画「ハンナ・アーレント」の中で、「考え続けることが大事である」とあった。(と思う)
だとしたら、コンプライアンスとは何かを考え続けること自体に意味があるのだと思う。

補足

労災として認定されるかの基準のため、コンプラとは少し観点が異なるが、
私は今回の労災申請を、「PIP・退職勧奨によるうつ病の悪化」で申請した。精神疾患の悪化は令和5年9月の労災認定基準が改正される前は非常に限定されていた。(001168576.pdf (mhlw.go.jp)
この認定基準でも認定されるかは分からないが、私は申請していること自体に意味があると思っている。


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