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許される嘔吐

付き合ってた男の子が私に、初めて言った言葉。"かえでってさ、腐女子って感じだね"。"腐女子?なにそれ?"その腐女子について私は知らなかった。後から知ったが、彼のFacebookには男と男でホモと書いて抱き合ってるプリクラを載せてた。私の感覚からしたら、彼は同性愛に憧れてる異性愛者だと予想してる。彼はとにかく孤独だった。繊細で優等生で、それが故に人を傷つける、ことが彼の自傷行為。そうやって自分を蔑んでいく。彼は心で叫んでいた。どうはこの世界は利用されるんだ、そしたら利用したら勝ちだよ、悲しいけどね。"どうせならさ、苦しんで死にたいよね、生きてるって感じだし、大丈夫?俺が慰めるよ、やめて、頼むからかえでに慰めて欲しくない。俺は与える方が好きだから。"そんなこと言ってた。手を繋いでって言われたからなんで?っていったらなんとなくっていってて、私はやめた。そしたら、彼は機嫌を損ねて"かえでも俺のこと利用してるんだよ、寂しいからあってるんでしょ。俺、不倫してるし。"私たちは不倫とかそういうのはどうでもいいキズの舐め合いの関係だった、、もちろん好きだったけどそれよりもう一人の自分であって、孤独が同じで、一緒にいて苦しかった。お互い苦しみを見せあった。彼も私も誰にも心を開かなかった。でも二人なら自然にできた。話も趣味も合わないのに私たちは同じ人間だった。彼はなんで同性愛に憧れてそのふりをするのか、Facebookにそんなのをのせて見せつけるのかわたしにはわかる。許される嘔吐だ。許される嘔吐。例えば、満員電車の中に乗っててその人混みに苛立ち、載せられてるコンベアーみたいな列車でなぜ?反応して問いたい時、違うんだ!って吐く、嘔吐する。でもそれだけでは人はただそれがこの世の正しさみたいに正しく避けて彼は正しく間違えと言われる。だから、異性愛から同性愛になってこの世界で抵抗できるものをつくる。この世界で異質と呼ばれ人が二度見してくれる世界を作る。そしたらその満員電車の中で誰も正しいままに避けられない。そんな白線のはみ出し方が彼の優等生らしい"許される嘔吐"。私と同じなんだ。

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