ビール

卒業設計の進め方_01【概念を理解】卒業設計とは、「麦」と「酵素」

卒業設計、卒業制作を控えた建築学生の皆さん。こんばんは。

Kaede Architectのなかむラテです。

ずいぶん前に書いた『卒業設計の進め方』が想像以上に多くの方に読んで頂けたこともあって、早く続きを書こう書こうと思っていたのですが、一級建築士試験の延期もあってかこんな時期になってしまいました。

卒業設計はどうですか?
順調でしょうか?

もうすでに【テーマ】が決まって空間設計に入っている方もまだ敷地が決まっておらず焦っている方もいるかと思います。

そこで今回は『卒業設計の進め方』のコラム第二弾として、意識してほしいこと「卒業設計に深みを出すコツ」について書いていこうと思います。

テーマが決まっている方は、意識部分で改めて立ち返るため、まだテーマが決まっていない方は、テーマ決めに役に立つ内容になっておりますので、お読み頂けると嬉しいです。

また前回書いたコラムや卒業設計を題材にした小説にも、卒業設計を進める上で私自身が大切にしたほうが良いことを書いていますので、気になる方は先に下のリンクからお読み下さい。

▼【卒業設計は何をテーマにするべきか】(前回コラム)

▼卒業設計を題材にした小説「都水のノスタルジア」
(前回コラムに関係しそうな話)

▼卒業設計を題材にした小説「都水のノスタルジア」
(今回コラムに関係しそうな話)

【卒業設計はなんとなくビールと似ている】

卒業設計という建築学生の集大成について語るとき、それまでの設計課題やコンペとは違って、何かを「育てる」という感覚に似ているという気がします。

設計課題のように「テーマ」や「敷地」が与えられているわけではなく、自分自身で興味や社会性から「テーマ」を見つけて、「問題点」を認識し、それを解決する「建築空間」を提案する必要がありますし、

また、コンペのようにアイデアの一点突破ではとても脆いです。

卒業設計とは、自分の中に眠る問題意識を具現化するような提案であって欲しいですし、その建築で誰かを幸せにできるものであるべきだと私は思います。

卒業設計に対して、「育てる」という言葉を使ったのは、すぐには解決できない問題を「テーマ」にし、どんな空間で誰を幸せにするかといった、複雑で奥深い提案である必要があると思うからです。

そんな卒業設計だからこそ、「深みを出すために何が必要なのか」は結構重要です。

(私が思う卒業設計の進め方や重要だと思うことをおさらい感覚で以前書いた小説の一文を下記に記載しておきます。)

「僕が卒業設計を見る上で大事にしていることは、その建築で幸せになる誰かがいるかどうかということです。卒業設計とは、皆さんの頭の中で行うクリエイティブな活動ではありますが、他者の存在を忘れてはいけません。先程までは自分が考えている【興味】や【テーマ】から【問題点】を見つけることを主題においてゼミを行いましたが、次のステップでは、その【問題点】を建築でどのように【解答】するかを考える必要があります。そこで重要になるのが、人が困っていたものが見事に解決されたとかこの建築で人が幸せになれたかということです。卒業設計だけでなく建築全般に言えることなのですが、設計者がいくら望んでも建築は造れません。そこにはお金を出してくれるクライアントやこの建築は意義あるものだと利用者に認めてもらえて初めて建築になります。卒業設計においてもそこを蔑ろにしてはいけません。他者が入り込まない建築を僕は評価しません」
「建築を設計する上で意識して欲しいことは、【問題点】からの【解答】、そして【空間】には人を幸せにしたいという【願い】を込めて欲しいということです。それはつまり【思いやり】です。卒業設計含め建築というものは、他者に対する【思いやりの結晶】なのです」

「卒業設計に深みを出すコツ」に対して、「ビール」という例えを使った理由は、あなた自身が取り組む「テーマ」や「問題点」とそれを解決する「アイデア」の2つに分けて考えて欲しかったからです。

【テーマや問題点は『麦』である】

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