ノート

【設計課題】で勝つために3年生までにやること_01【毎日1建築】

前回から、設計課題で勝つために3年生までにやるべきことというコラムを書き始めました。

「設計課題で勝つために」私が特に重要だと考えていることは、設計が出来る人と出来ない人の違いとしてあげた「建築を知っているかどうか」だと思っています。

今回のコラムでは、

「建築を知るための知識の習得方法」

として、私が大学3年生の時に課題で勝てずに苦戦していた時、実践した手法についてお伝えします。

【広く浅い知識】と【狭く深い知識】

設計課題において生きる「建築の知識」について、私は2種類あると考えています。

①広い浅い知識
②狭く深い知識

今回取り上げる【毎日1建築】は、「①浅く広い知識」に該当するわけですが、この知識は咄嗟のアイデア出しや設計の取っ掛かり時期において大いに役に立つものです。

逆に「②狭く深い知識」については、アイデアが固まり、設計を詰めていく作業の時や卒業設計などある程度研究に近い場合に役に立つ知識であると言えます。

【建築を見て設計することはパクリになるのでは】

私は課題で選ばれない3年生の前半の頃、教授や非常勤講師との設計課題のエスキスで、「もっと建築を見よう」と良く言われていました。

今思えば当然のことなのですが、設計中に参考建築を見ようと思うとどうしてもその建築に寄ってしまい「パクリ」になるのではないかと危惧していました。

だからこそ、建築を見るのが怖かったのです。

私の大学では、3年生の前期の1つ目に小学校の設計があるのですが、酷いものでした。

コンセプトはある程度語ることが出来たのですが、提案したプランはリアリティが欠け、真面目にしっかりと設計したのか、アイデアベースで面白い空間提案をしたのか、そのどっちにも当てはまらず、評価は「B +」でした。

これでは、意匠系になんて進めない。

そう思ったのが、【毎日1建築】を始めたきっかけでした。

【毎日1建築】

そこで私は、浅くてもいいから、取り敢えず設計力向上に生きる広い知識を習得するため、教授の助言を間に受けて、「毎日1つ建築をまとめる作業」を始めました。

当時の私は何からまとめて良いか分からなかったので、なんとなくまずは「安藤忠雄」だろうと考えて、10作品ほど気になる作品を選ぶことから始めました。

インターネットで写真を集め、その建築の設計手法や空間については、雑誌や本から抽出して、自分なりに手で書いてまとめました。

そして、安藤忠雄の次は伊東豊雄、隈研吾と10作品ずつノートにまとめて行きました。

その時その時に気になる建築家をまとめていたので、ベテランから若手まで様々でしたが、今思えばそれが良かったのかもしれません。

結果、1年間で3冊ほどノートにまとめたのですが、【毎日1建築】を始めてから、なんとなく「設計の仕方」というか、「空間の構成の仕方」を掴み、課題でもスラスラと提案出来るように変わったのです。

「なんとなく設計が出来るようになってきた」

正確には覚えていませんが、3年生前期の後半課題である「集合住宅」がターニングポイントだったと、今ならはっきりと言えます。

【毎日1建築】を始めてすぐの頃は、評価を得たいと言う一心で焦っていたこともあり、逆に「面白いことを提案したい」と意識しすぎていて、失敗しました。

「集合住宅」の課題は当初は全然上手くいかず、とにかく焦りました。

しかし、本提出の1週間前に「最初から考え直そう」と決めて、即日設計をやる勢いで、それまで考えてきたコンセプトを生かして、プランや断面まで書いてみたのです。

「なんかいけそう」と思える案が出来てからは早かったです。

ヴォリューム模型で形態を決め、一気に提出図面を仕上げました。もちろん0から始めたとは言え、ヴォリュームのイメージはあったので、スムーズに出来たということもありますが・・・

ただ設計を詰めていくとき、何も見ずとも「ここはあの建築のここを参考にしよう」「ここはこの前調べた言葉が使えるのではないか」「ここはをこうしたら今まで考えて来たことと繋げることが出来るのではないか」と自然と思えるようになったのです。

そこで思ったことは、

「1つの作品を見て設計したらパクリだが、100作品見て設計をすれば、それは知識なのではないか」

ということです。

もちろん注意しなければなりませんが、「あの作品に似てるね」なんていう奴は無視すれば良いのです。「きっと有名な建築しか知らないから、そんなことしか言えないのだ」と思って、放っておきましょう。

「もっと建築を見ろ」とはこういうことなのだと、この時実感しました。

残念ながら「集合住宅」の課題では、優秀作品(私の大学では8作品程度選ばれたプレゼンする機会が与えられる)には選ばれませんでした。

ただ、「集合住宅」の課題では、メインパースの絵は描きなおしましたが、ほぼそのままの設計で「建築新人戦100選」に選ばれることとなりました。

新人戦の結果は他大学の設計力の高さに驚愕し、惨敗に終わりましたが、掴むものも数多くありました。

「3年生は、建築新人戦を目指せ」

そこから少し自慢にはなるかもしれませんが、「設計課題」で選ばれる常連に仲間入りすることが出来たのです。


【学ぶことは真似ぶこと】

経験したからこそ、まさにその通りだなと思いました。

私が「設計課題で選ばれるために何をやったら良いですか」と聞かれたら、まず間違いなく「毎日1建築」をやって、「建築を知れ」と言います。

課題で選ばれたいと思っている学生さんは、騙されたと思って、「毎日1建築」を始めてみて下さい。

「毎日1建築」については、小説でも触れています。興味があれば、こちらもお読み下さい。




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