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アンチワーク哲学【ホモ・ネーモ】

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「労働なき世界」を実現するため「アンチワーク哲学」を紹介するマガジン。なぜ、誰1人労働しない世界が可能なのか? を徹底的に考察しています。
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2022年12月の記事一覧

仕事の大半は、経済活動ではなく政治活動

仕事の大半は、経済活動ではなく政治活動

経済活動を何か物を作ったり、人や物の世話をしたりすること(または、それらの営みをサポートすること)だと仮定すれば、僕たちが経済活動と呼ぶものの大半は政治活動であることに気づいた。今日はそんなことを語っていきたい。

では政治活動とはなにか? それは自分たち(や特定の誰か)の都合良い富の配分を実現するための営みだと、僕は定義する。

例えば、飲料メーカーAが自分たちの商品をスーパーに並べて欲しいと営

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世界は情熱大陸でできている

世界は情熱大陸でできている

僕はグローバルサウスからの搾取の結晶をコンテナに詰めてできあがった大量消費社会に対してネガティブな感情を抱いているタイプの人間だ。

それがひょんなことからフォークリフト講習を受けることになり、まさしくいまこの文章を、講習をお昼休みに書いている。

フォークリフトは紛れもなくコンテナリゼーションとグローバリゼーションを支える機械の一つだ。愛憎入り乱れた複雑な感情を抱きながらも、僕は真面目な受講生と

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「何者かになれ」というプレッシャーについて語りたい

「何者かになれ」というプレッシャーについて語りたい

フォローさせてもらっている伊藤さんの記事を読んで、思わず「わかるぅ〜」という気持ちになった。今日はその気持ちがなぜ発生したのかについて、少し考えてみたいと思う。

ものすごく雑に要約すると、次のような内容だと思う。

何者かになりたかった。でもなれなかった。今さら僕がピアノを始めたり、プロゲーマーを目指したところで、どうせ一流にはなれないから辞めておこう。なんだかなぁ。そんな感覚だ(伊藤さん、違っ

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「AIが仕事を奪う論」が、本当に僕たちから奪っていくもの

「AIが仕事を奪う論」が、本当に僕たちから奪っていくもの

それは仕事の尊厳であると、僕は考える。

実際のところ「AIが仕事を奪う論」は色んな意味で胡散臭いことは、あらゆる人が指摘してきたが、まだまだ根強いと感じるので、改めておさらいしておく。

時給1000円のカフェの店員が、シンクを布巾で磨き上げて、その後、棚から塩素系洗剤を取り出して、水で希釈し、布巾をつけ置きする‥このような単純極まりない作業ですら、AIを備えたロボットによって自動化される可能性

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生活保護受給者はなぜ批判されるのか?

生活保護受給者はなぜ批判されるのか?

僕に畑をタダで貸してくれているおばちゃんは、先祖から引き継いだ広大な土地の一部を、月極の駐車場として運営している。

見たところ40台くらいは駐車していたので、仮に1台あたり月1万円だとしても、毎月40万円(税引き前)かそこらの不労所得を手にしているわけだ。

そのおばちゃんは農業以外にも仕事をしているわけだが、駐車場の料金だけで(そんなに贅沢はできないものの)家族をくわせられるくらいの収入にはな

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来たれ、どんぶり勘定革命

来たれ、どんぶり勘定革命

あまり大きな声では言えないが、最近、柄谷行人の『世界史の構造』を読んだ(オードリー・タンに触発されて読んだというのも、ナイショの話だ)。マルクスが生産様式で歴史を語ったことの問題点を指摘しつつ、その代わりに交換様式を導きの糸として歴史を語り、その上で申し訳程度に資本主義を乗り越えるための展望が描かれている本だった。

資本=ネーション=ステートという構図で歴史を語る手法は鮮やかで「天晴れ」の一言に

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