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シーソーシークワーサー Ⅱ【55MoM】

【シーソーシークワサーⅠのあらすじ】

 母を亡くし、その孤独感から全てを捨てて沖縄から出た凡人(ボンド)こと、元のホストの春未(はるみ)。

 一番に連絡をとったのは、東京の出版社に勤める絢だった。

 絢に会うまでの道のり、人々との出会いで得たことは何だったのだろう。島に帰った凡人は、母亡き後の、半年間時が止まっていた空間に佇みながら、生い立ちを振り返っていた。


Ⅱ【55MoM】

 路傍に寝ていた。それがジェームスだった。ジェームス呼んではいたが、島人で、顔立ちが明らかに日本人離れしていた。

 梅雨入りだったか、梅雨明けだったか、この子を授かったことは、何度もジェームスに打ち明けようとした。それでも、結局、言えなかった。

 夜の道に入った。


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