わたしんち沼から、こんにちは、ありがとう。
えーーー!! あたしンちのゆずぴみたいで可愛い!
甥っ子は生まれる前に名前が決まった。その日から、家族全員がおなかの中のイケメンくんを、ゆづぴと呼んでいる。
こちらの世界のイケメンくんは「づ」。和歌山人が苦手とする「ざ」行と「だ」行の、「だ」の方。
個人的には、大好きな映画のヒロインと同じ名前のイケメンくんの誕生に心を躍らせていた。いや、今なお踊っている。ゾッコンラブフォーエバーダンシングである。
わたしん中で、あたしンち連鎖が起こり、あの10日間と、それが明けてからもずっと、(本当に文字通りずっと)けらえいこさんの、あたしンち履修を続けた。がっつり、シーズン4まで。そして『新あたしンち』も。映画版も。
高校の頃、毎週夕方に放送していたのを観ていたような気もする。あれから20年を経て、気づけば、沼。この沼はのちに、発生していたネガティブ沼からの脱出頓服薬となった。
ということで、こんにちは、ありがとうの今回。
ガッツリ沼ったわたしんちの視点から、あたしンちをマニアックな3点で掘り下げていきます。
あたしンちの食卓
ちくわ、ちくわ、時々お肉と魚、カレー、ちくわ、ちくわ、卵かけご飯。あたしンちの食卓にどこか親しみを覚えるという人は多いかもしれない。
思春期に誰もが母に口にしたことがある台詞、
「また、これーー??」が毎回と言っていいほど聞こえてくる。
あたしンちの長女のみかんも、その弟のゆず(ユズヒコ)も、お弁当やご飯に口を揃えて抗議する。その後には倍返し以上の母の反論が待っている。
さて、わたしは、回を重ねるごとにそのまんまシンプルに描かれたで卵かけご飯が無性に食べたくなって、冷蔵庫を開いた。
ほら、SNSで映えている食を見続けちゃうと、無意識にどっかで凹んでいるなんてこと、ありません??
どこかで刷り込まれてきた理想の妻はこうでなくちゃとか、ちゃんとご飯を作ってあげなきゃ、栄養バランスのとれた完璧な食卓像が……等の、凝り固まった義務感(あ、でも食は大切よ!)が、見事に崩壊していく。
おめでとう。ちくわストック記念日も近い。
なんてったって藤野!!
中学生のゆずぴは、友達からもゆずぴと呼ばれる。ハキューンとゆずぴに恋する女の子も、そう呼んでいる。
「おい、ゆずぴー!〇〇しようぜ!」
そうやって笑って近づいてくるのが、藤野。
藤野は底なしに明るい。クラスに一人はいるタイプ。冒険して、いつの間にか面白いゲームにしちゃう。
私がこの物語の中に入れるなら、この間に挟まれたい。
(いやいや!にいなは、そういう妄想をして楽しむ片隅女子だろう!と思ったそこのあなた!大正解!!)
そんな藤野が、風邪をひいて待ち合わせに来れなくなったり、学校を休んだりしする回に、チラリと部屋の様子が見える。
ああ、どうしてか……。
そんな風景を見ると、藤野というゲラのキャラクターがまた違って見えたりする。
母、母、母!
情熱の赤い薔薇〜♪ そしてジェラシ〜♪
毎回と言っていいほど、橘家の母はそれを歌う。いや、そこしか歌わない。沼った私も、ついにこの鼻歌を歌う。
夏におでんを出しちゃってブーブー文句を言われても、ギロっと睨んで口から炎を出せるくらいの母。
「ハンコ、どこに置いたかしら?」が頻発する母。
ソファーで伸びていたり、床にそのまんま寝ちゃう母。
みかんに厳しく、ゆーちゃんに甘い母。
母は、ゆずぴを「ゆーちゃん」と呼ぶ。長女みかんは、いつも「ユズヒコには甘くして!」と怒る。
そのまんま、等身大のかーちゃん。
5月8日、母の日。その母が新聞に現れた。ユニクロの広告だった。
次の頁には、大きな花束のイラスト。「いろんな母のカタチがある。素敵な女性の皆さんを応援する」という内容の化粧品会社の広告。
目に入った順番で、ストーリーにつなげてしまった。
いろんな母のこと。その母の母のこと、連鎖してずっとずっと、奥まで。
そんなことを考えてみると、いつしか自分にも還ってくる。
こんにちは、ありがとう。
さて、こちらの世界のゆづぴ。
ミルクをやったり、おむつを変えたり、抱っこしたり、寝かしつけたり、一緒に絵本を読んだり……。
3ヶ月になるわたしん甥っ子の、ゆづぴ。
私は、ちょびっとだけ母、たまに友達、時々、生徒。
ゆづぴはいろんなことを教えてくれる。
「あぅあぅ」と何かを語りかけながら笑ってくれる時も、「それちゃいますねん!」と抱っこの仕方に不服申立てモードで怒り泣きしてくれる時も、まるっとむちっと、ぎゅっと愛おしい。
ああ、エンドレス片思い君。
だって、かーちゃんが好きだもの。
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