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「親切」か「お節介」かは相手に決めてもらえたら良し!

いくら良かれと思ってやったことでも、
それが相手にとって「親切」と受け止めてもらえるか、
「お節介」「ありがた迷惑」と受け止められてしまうか。
どちらのケースもあるなぁ、と感じたエピソードを書こうと思います。

↓この内容は音声配信でもお聴きいただけます(8分ほどです)↓
https://stand.fm/episodes/61166721cbc5b60006afc0b3


一昨年のちょうど今頃。スペインへ旅行に行った時の話なのですが。

空港に降り立ち、エレベーターに乗った際、一番最後に電動車椅子のおじいちゃんが、バックしながら乗ってきました。
ところが、足の先の部分まで乗り切らず、扉が閉まる時に、ガコンと先端部分が扉に当たってしまい、開いてしまいました。
おじいちゃんは、少し後ろにズレるのですが、まだ乗りきらなくて、扉が閉まるときにまた足先にぶつかる…

その間、誰も「開く」ボタンを押すわけでもなく、そのやり取りがしばらく続いたわけです。

何度か繰り返されるうちに、少し心がざわざわしてきてしまったんですね。
ついに、いたたまれず、おじいちゃんの後ろに回り込んで、車椅子の取手の部分を掴み、スーッと後ろに引こうとしたその時…

おじいちゃんがこちらをクルッと振り向き、物凄い剣幕で怒り始めたんです。
スペイン語なので何を言ってるかは全く分からないのですが、見るからに怒ってることだけは明らかで。

私も驚いて手を離し、ペコリと頭を下げて、ごめんなさいというジェスチャーをして。
それを見ていた周囲の人も、後ろや横にずれてくれて、スペースが作られて、ようやくおじいちゃんが乗り込むことができて、扉も閉まり。
一見落着したのですが。


なんかね…少し心が凹んでしまったんですね。
別にいい格好しようと思ったわけじゃなくて。
早くエレベーターが出発して欲しくて苛立っていた、とかでもなく。
手を貸さずにはいられない…と思って動いたことだったのですが。
何がよくなかったのかなぁ…って。

ところが、そこから数日後、今度は逆の立場を体験することになりました。

グラナダという街の「アルハンブラ宮殿」のツアーに参加した時のことなのですが。
このツアーは、その時の旅で一番楽しみにしていたので、あえて事前情報などは入れず、現地で存分に感動を味わおうと、割と丸腰の状態で参加しました。

当日現場に行くと、一緒にツアーに参加する20名くらいの方がいまして。
皆さん、スペイン語での解説を聞く中、唯一私だけが英語で解説を受けることが分かりました。
ガイドさんは、「みんなにスペイン語で話した後に、お前に、その後英語で伝えるから、ぼくの横にいてね」と、言ってくださり。
「ラッキー!特等席をあてがってもらえた!」と、喜んでました。


ところが、このガイドさんが、なかなかの早口な方で。
解説してくれていることの、3割くらいしか理解できなかったんです。(私の英会話力という問題もありますが…)
それでも必死で聞きながら、楽しめていていたのですが。
途中から様子が変わってきました。
スペイン語での他の皆さんへの解説の情報量が10くらいだとしたら、私への英語解説が1〜3くらいのボリュームになってきたんです。

おいおい、今のところ、もっとみんなに話してたでしょう?
手を抜き始めてやいませんかい?
と。

こっちも事前情報なしで来てるので、必死で、携帯を取り出し、ネットで検索したり、
"more information!"
"more speak slowly!"
と、more more言いながら、ガイドさんに必死に食らいついてったわけです。

そしたら、その様子を見ていたある女性が、声をかけてきてくれたんです。

「私英語もわかるから、よかったらヘルプしようか?」と。
そこから、ナチュラルに私のガイドが彼女にバトンタッチされました。

彼女は、私が写真を撮ってる時は、そっとしておいてくれて。
解説が必要そうだなぁ、と感じた時は、そっと近づいてきてくれて、
「今のところは、こんなことを言ってたよ」と教えてくれるんですね。

その気遣いがとても素敵で。心地よくて。
優しい人だなぁ、と。
彼女のことをとても好きになって、最後はお互いの連絡先を交換して、
結果的には、大満足でツアーを終えることができました。

・・・・・・・

でね。その後気づいたんです。

車椅子のおじいちゃんに私がしたこと。
彼女がおいてけぼりを喰らっている私にしてくれたこと。

困ってそうな状況に手を差し伸べる、
あ、これ同じことだ、と。


良かれと思ってやった好意を、どう受け止めるかは、相手次第なんだよなぁ、と思ったんですね。

そう思えたら、初日のおじいさんとの出来事に自分の中で折り合いが付けられたんです。
確かに、「お手伝いしましょか?」とか何も言わずにやったのはよくなかった。
だけど、あの時の私の行動を受け入れたくなかったのは、おじいちゃん(受け手)のスタンスによるものだから。
私が必要以上に傷ついたり、凹むことはないなぁ、と思えたんですね。
そしたらなんだかスッキリしました。


自分のためではなく、例え相手を思った上での言動だったとしても、
それをどう捉えるかは相手次第。
お節介と感じられたらやめる。
親切と思ってもらえたら、良かった!と思えば良い。
自分が、やれる時に、やれることをすれば良いのだ、と。

旅の中で、一つそんな気づきを得ることができました。

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