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ドラえもんに憧れても、のび太でいたい甥っ子

「お姉ちゃん、コウ(わたしにとっての甥っ子の名前)のコーチングしてよ」妹が突然、そんなお願いをしてきた。

えー、子供に対してコーチングってしたことないからなぁ。できるかなぁ。
と返しつつ、必要そうな場面があれば、さりげない形で関わってみるね、と伝えた。

間もなくして、その機会が訪れた。


妹曰く、コウは決して勉強が苦手なわけではない様だけど、どうも勉強嫌いなのだと言う。

その日も、勉強する時間になってもゲームに夢中の彼に、ややキツイ口調で叱っていた。
プーっとしかめっ面で、渋々と机に向かうコウ。
大体こんな調子なのだと言う。


妹は超が幾つもつくほどのガリ勉だったので、勉強をしたくない、と言う子の気持ちが分からないのだと言う。
だから、「勉強しなさい!」と日々叱らなければいけないことが、本当はとても嫌で。本人の好きにさせてあげようかな…と思うこともしょっちゅうだそうだ。
でも、将来の自分の息子のことを考えると、やっぱり勉強はしておいた方がいい。勉強して、色々なことが分かるようになったり、できることが増える、その楽しさに気づいて欲しいそうだ。

ふむふむ。


しばらくして、宿題を終えた甥っ子と二人きりになった時に、さり気なく切り出してみた。

私:コウはさ、勉強嫌い?
コウ:うぅ〜ん。勉強よりも、ゲームしたりマンガ見てる方が面白いなって思う。

うん、素直。

私:そうかぁ。ちなみにどんなマンガが好きなの?
コウ:ドラえもん!
私:(そうだよね、君、ずっと好きだよね)へぇ。どこら辺が特に好き?
コウ:のび太が「助けて!」ってお願いした時に、色んな道具で解決してあげるところ。のび太のことを絶対見捨てないで、助けてあげるドラえもんがカッコ良くて好き。

なるほどなるほど。
のび太のどんなお願いも、絶対に解決してあげられるドラえもんがカッコいいんだね。

私:でもコウは、ゲームしたりマンガ読むことが好きなんだよね?それって、どっちかと言うとのび太っぽいよね?
コウ:…。
私:お母さんがさ、コウに勉強しなさい、っていつも言うのって。勉強することで、色んなことを知ったりできる様になって、困っている人を助けたり、解決できる人になれると思ってるからなんじゃないかな。
それって、ドラえもんみたいだよね。

少しの沈黙の後、コウからこんな言葉が出た。

コウ:…別に勉強が嫌いってわけじゃないんだよね。
私:そうなんだ? どんな勉強だったら好きなの?
コウ:観察したり、調べたり、実験したり。そう言うのは好きなの。


そうかそうか。
確かに、コウは、昆虫、動物、恐竜、宇宙のこととかめちゃくちゃ詳しい。
登校時に、アリの行列の観察をしていて、時が経つのも忘れるほど没頭し、遅刻をしたなんてエピソードも聞いたことがある。
興味があることは、とことん探求する子だ。


コウとの、そんな会話を、妹に伝えた。
妹も、確かに宿題は、国語や算数など、コウの好きな領域のものではないなぁ、と。
勉強(全般)が嫌いと括ってしまっていたけど、決してそう言うわけじゃなかったことに改めて気づいていた。


後日、コウの誕生日に。
天体望遠鏡をプレゼントした。
その日から毎晩、コウは月や星を観察していると言う。
携帯撮影もできる機能も付いていて、時折、撮影した綺麗な月の写真をメールで送ってきてくれる。
とんだロマンチック野郎だ笑


ふと。
自分の子供の頃のことを考えた。

両親から褒められることは、やはり一番嬉しかった。
けれど親以外の大人…学校の先生だったり、おじいちゃん&おばあちゃん、親戚のおじさん達や、近所の大人たち…
そう言う人たちから、褒められたり、話を聞いてもらうことで、誇らしい気持ちになったり、嬉しくなったことも確かにあったなぁ、と。


その子の可能性、興味の種がどんなところにあるのか。
そこを発芽させたり、伸ばすには、どんな風に関わることができそうか。
親とはまた違う、もう一歩外側からの視点で、関わっていけたら良いのかな。

そして、こちらから見えた景色を、親に伝えてあげることで、
親の気づきや安心にも繋がるなら、これも嬉しいことだ。


そんな新しい楽しみに触れた出来事でした。


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