見出し画像

変われないのは意志のせいじゃない? 目標達成のカギは「裏の目標」にあり!

新年の目標がまたもや未達成に終わってしまった…。
どうして自分はリーダーとして変わることができないんだろう…。
なぜ部下や会社は変わってくれないのか…?

そんな風に感じたことがあるのは、きっとわたしやあなただけではないはずです。

「自分のやる気が足りないから?意志が弱いせい?」と自分を責めたり、変わると言いながら変わらない部下にがっかりした、なんてこともあるかもしれません。

でも、それは本当に意志ややる気だけの問題なのでしょうか?
 
実はそうではないんです。
ロバート・キーガンと、リサ・ラスコウ・レイヒーによって書かれた名著『なぜ人と組織は変われないのか?』は、このテーマを解決するためのヒントをわかりやすく紹介しています。
今日はこの本を参考に、人と組織が変われないメカニズムを知り、人間が変わるとはどういうことかを理解し、変化を乗り越えるためのアプローチについて触れていきたいと思います。


改善目標(=表の目標)が達成できないことで満たされる「裏の目標」の正体とは?!

本書によると、85%もの人が、自分が心から望んでいることでも行動にすら移さない、と書かれています。

例えば、ヘビースモーカーの人が医師から「このままだと危険ですよ」と警告され、生活習慣を改めよう!と固く決意したのに、気づけばまたタバコを吸ってしまう…
「人間は、矛盾が服を着て歩いているようなもの」という筆者の言葉が胸に刺さります。
 
この矛盾を解消するにはどうしたら良いのでしょうか?それは、自分自身の「裏の目標」を見つめることです。裏の目標とは、改善目標(=表の目標、とします)を阻害する行動をとることで満たされる隠れた欲求や信念のことです。

事例を交えて説明します。

事例1:組織のリーダー田中さん(名称仮)の挑戦

1. 表の目標:
もっと積極的に権限移譲を行い、新しい考え方を取り入れてチームを円滑にする。
2. 阻害行動:
相手が望んでいないのに、つい口出しをしたり、自分でやってしまう。
3. 裏の目標:
自分のリーダーとしての立場を守りたい。私のやり方で物事をコントロールしたい。
4. 強固な固定観念:
リーダーたるもの、メンバーのお手本でなければならない。自分が関与しないと仕事がうまくいかない。

田中さんはチーム内の仕事の流れをスムーズにするために、部下に権限を委譲しようと決意します。しかし、実際は細かい作業にまで口を挟んだり、しまいには仕事を取り上げて完遂させてしまいます。

一般的にやってしまいがちなのが、見出せた「阻害行動」に対して改善策や手段を検討して手を打とうとすることです。そしてうまくいかない原因の多くが、ここにあります。
大切なことは、その阻害行動を満たしている「裏の目標」は何か?を見つめていくことです。


田中さんの場合は、部下よりも自分が一番完璧に仕事がこなせると実感したい、自分のやり方でやりたいという「裏の目標」があり、それを生み出しているのが、「自分が関与しないと仕事がうまくいかない!」という(自分でも無意識な)強固な固定観念です。
結果、部下はいつまでも田中さんにお伺いを立てたり、自分で考える機会を失い、仕事はスムーズに進みません。


もう一つ。
事例2:山田さん(名称仮)の挑戦

1. 表の目標:
キャリアアップのために、新しい資格を取得する。
2. 阻害行動:
資格の勉強を後回しにして、ついつい友人の飲み会の誘いを受けてしまう。
3. 裏の目標:
資格取得も自分の将来にとっては大事だけど、今の友情、人との繋がりを失いたくない。付き合いの悪い人だと思われたり、嫌われたくない。
4. 強固な固定観念:
人間関係を大切にするためには、友人や大切な人との時間を優先すべき。自分のことは後回しでも構わない。

ここでも、見事に裏の目標は達成されており、「人間関係を大事にするためにはある程度の自己犠牲は仕方ない。自分より他者を優先すべき」という強固な固定観念がベースにあることもわかります。結果として資格の取得は進まず、キャリアアップの目標は達成できません。


このように表の目標と、それを阻害する具体的な行動を見つけられたら、裏の目標を炙り出していきます。
さらに言えば、この裏の目標は「自己防衛」によるところが大きいのです。

なので、ここを炙り出すためには、例えばこんな質問を投げかけてみてください。
 
「阻害行動をとることで、得ていることはなんだろう?」
「自分は阻害行動をとることで、何を守りたいと思っているんだろう?」

など。


表の目標を達成するためには、まさにこの裏の目標と、強固な固定観念に目を向けて、アプローチすることが大切です。



人は、そして組織は変わりたくても変われない。
それは、意志や仕組みだけの問題ではなく、人がそもそも兼ね備えているメカニズムによるものです。
本来改善すべきところへのアプローチが分かると、不必要に自分を責めたり、周囲に苛立つこともなくなるのではないでしょうか?
 
 
次回は、さらに「人は大人になると知性は変わらない(知的成長はある程度のところで止まる)」という考えが誤りであること、その成長の段階を知ることで、表の目標がさらに達成しやすくなる、という内容について書いてみたいと思います。

お読みくださりありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?