【2024年6月】角川文庫の新刊一覧
2024年6月13日、角川文庫の新刊が発売となりました!
本記事では、日本文学&キャラクター文芸のラインナップをご紹介します。
★ 角川文庫 2024年6月新刊
佐藤 究『テスカトリポカ』
第165回直木賞受賞!
心臓を鷲掴みにされ、魂ごと持っていかれる究極のクライムノベル!
メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。生き残った三男のバルミロは、追手から逃れて海を渡りインドネシアのジャカルタに潜伏、その地の裏社会で麻薬により身を持ち崩した日本人医師・末永と出会う。バルミロと末永は日本に渡り、川崎でならず者たちを集めて「心臓密売」ビジネスを立ち上げる。一方、麻薬組織から逃れて日本にやってきたメキシコ人の母と日本人の父の間に生まれた少年コシモは公的な教育をほとんど受けないまま育ち、重大事件を起こして少年院へと送られる。やがて、アステカの神々に導かれるように、バルミロとコシモは邂逅する。
重松 清『かぞえきれない星の、その次の星』
笑いながら泣いてて、 心の中では、もっと泣いてた。
出張先から帰れなくなり、幼い娘と毎日画面越しに会話する父親。
3年前に母を亡くし、新しいママと初めて迎えるお盆に戸惑う少年。
母の都合で転校をくり返しながら、ミックスルーツである自分へと向けられる言葉に悩む少女。
いじめを見て見ぬふりしていたことを、偶然出会ったおじさんに言い当てられてしまった中学生――。
ままならない現実を生きる人たちのさみしさを、ちょっとフシギなやさしさで包み込む、11の物語。
辻村 深月『闇祓』
あいつらが来ると、人が死ぬ。 辻村深月、初の本格ホラーミステリ長編!
転校生の白石要は、少し不思議な青年だった。背は高いが、髪はボサボサでどこを見ているかよくわからない。優等生の澪は、クラスになじめない要に気を遣ってこわごわ話しかけ徐々に距離を縮めるものの、唐突に返ってきた要のリアクションは「今日、家に行っていい?」だった――。この転校生は何かがおかしい。身の危険を感じた澪は憧れの先輩、神原一太に助けを求めるが――。学校で、会社で、団地で、身の周りにいるちょっとおかしな人。みんなの調子を狂わせるような、人の心に悪意を吹き込むような。それはひょっとしたら「闇ハラ=闇ハラスメント」かもしれない。「あの一家」が来ると、みんながおかしくなり、人が死ぬ。だから、闇は「祓わなくては」ならない――。辻村深月が満を持して解き放つ、本格長編ホラーミステリ!
湊 かなえ『ドキュメント』
湊かなえが描く、学園青春×ミステリ小説!
事故に遭って陸上競技をあきらめた圭祐は、ひょんなことから放送部に入部する。3年生の引退後、仲間たちとともにコンテストに挑むことになった。偶然手に入れたドローンを武器にテレビドキュメント部門の撮影を進めていたところ、煙草を持った陸上部の逸材・良太の姿が映り込む。真実を探っていくと、騒動の陰で糸を引く思わぬ人物にたどり着いてしまい……。部活にかける情熱と予測不能な事件を描く、学園青春エンタメ!
宮部 みゆき『よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続』
この部屋で語られる怪談は、ひとの心を解きほぐす
江戸は神田の袋物屋・三島屋は風変わりな百物語で知られている。語り手一人に聞き手も一人。話はけっして外には漏らさない。聞き手を務める小旦那の富次郎は、従妹であるおちかのお産に備え、百物語をしばらく休むことに決めた。休止前最後に語り手となったのは、不可思議な様子の夫婦。語られたのは、かつて村を食い尽くした〈ひとでなし〉という化け物の話だった。どこから読んでも面白い! 宮部みゆき流の江戸怪談。
米澤 穂信『黒牢城』
第166回直木賞受賞! ミステリ史に輝く金字塔
本能寺の変より四年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起こる難事件に翻弄されていた。このままでは城が落ちる。兵や民草の心に巣食う疑念を晴らすため、村重は土牢に捕らえた知将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めるが――。
事件の裏には何が潜むのか。乱世を生きる果てに救いはあるか。城という巨大な密室で起きた四つの事件に対峙する、村重と官兵衛、二人の探偵の壮絶な推理戦が歴史を動かす。
伊吹亜門『幻月と探偵』
ここは夢の楽土か、煉獄か――?
1938年、革新官僚・岸信介の秘書が急死した。秘書は元陸軍中将・小柳津義稙の孫娘の婚約者で、小柳津邸での晩餐会で毒を盛られた疑いがあった。岸に真相究明を依頼された私立探偵・月寒三四郎は調査に乗り出すが、初対面だった秘書と参加者たちの間に因縁は見つからない。さらに、義稙宛に古い銃弾と『三つの太陽を覚へてゐるか』と書かれた脅迫状が届いていたことが分かり……。次第に月寒は、満洲の闇に足を踏み入れる。昭和史と本格推理が融合した、重厚な歴史ミステリ。
伊与原 新『オオルリ流星群』
「ここで始めたい、もう一度」。星がつないだ、心ふるえる大人の青春物語。
人生の折り返し地点を過ぎ、将来に漠然とした不安を抱える久志は、天文学者になった同級生・慧子の帰郷の知らせを聞く。手作りで天文台を建てるという彼女の計画に、高校3年の夏、ともに巨大タペストリーを作ったメンバーが集まった。ここにいるはずだったあと1人をのぞいて――。仲間が抱えていた切ない秘密を知ったとき、止まっていた青春が再び動き出す。
喪失の痛みとともに明日への一歩を踏み出す、あたたかな再生の物語。
君嶋 彼方『君の顔では泣けない』
これぞ入れ替わりの真骨頂! 圧倒的リアリティを激賞された受賞作、文庫化!
高校1年生の坂平陸は、ある日突然クラスメイトの水村まなみと体が入れ替わってしまう。どうやら一緒にプールに落ちたことがきっかけのようだ。突然のことに驚き、戸惑いながらも入れ替わったことはお互いだけの秘密にしようと決めた2人。しかし意外やそつなく坂平陸として立ち振る舞うまなみに対し、陸はうまく水村まなみとして振る舞えず、落ち込む日々が続く。まなみの家族との距離感、今まで話したこともなかったまなみの友達との会話、部活の顧問からのセクハラ……15年間、男子として生きてきた自分が、他人の人生を背負い女性として生きること。いつか元に戻れる日を諦めきれないまま、それでも陸は高校を卒業し上京、そして結婚、出産と、水村まなみとしての人生を歩んでいくことになる――入れ替わった後の15年を圧倒的なリアリティで描く、第12回小説野性時代新人賞受賞作!!
近衛 龍春『南部は沈まず(上)』
大震災、大津波から復興を遂げた、東北の雄・南部一族の知られざる戦い!
戦国北端の武将・南部氏。だが、そこには内紛の種がいくつも芽を出そうとしていた。当主となった南部信直は、領地の統治を試みるが、同族と熾烈な争いが勃発。さらに安東氏、拡大を続ける伊達氏、そして南部から独立した津軽氏までもが迫ろうとしていた。奮戦する信直をよそに、天下統一の波が押し寄せ──。大津波、大震災、そして戦国の波を乗り越え、手腕を発揮した南部氏を描く、長篇歴史小説。
近衛 龍春『南部は沈まず(下)』
東北の雄、南部氏を描いた傑作歴史小説!
戦国北端の武将・南部氏。だが、そこには内紛の種がいくつも芽を出そうとしていた。当主となった南部信直は、領地の統治を試みるが、同族と熾烈な争いが勃発。さらに安東氏、拡大を続ける伊達氏、そして南部から独立した津軽氏までもが迫ろうとしていた。奮戦する信直をよそに、天下統一の波が押し寄せ──。大津波、大震災、そして戦国の波を乗り越え、手腕を発揮した南部氏を描く、長篇歴史小説。
千野 隆司『成り上がり弐吉札差帖 公儀御用達』
父の仇は俺が討つ! 銭の力で侍に挑む若者の出世奮闘記!
旗本の黒崎が札差・笠倉屋にやってきた。すでに借り入れできない配下の侍に、さらに十両貸せと言う。突然の無茶な金談に違和感を覚えた弐吉は、2人の繋がりを調べ始める。黒崎は、弐吉の父の死にまつわる疑惑の相手でもあった。ただならぬ思いで黒崎に迫る弐吉に、公儀御用達の品の怪しい動きが見え隠れするのだが、確かな証が見つからず……。行き詰まった弐吉は、命がけである勝負に出る。
決意と覚悟のシリーズ第3巻!
仁木 英之『モノノ怪 鬼』
アニメ『劇場版モノノ怪 唐傘』始動! 薬売りのスピンオフ小説第2弾!
戦乱の時代。常人離れした体躯と武勇を持つが、実際は心優しき乙女の小梅。そのあまりの強さから「鬼御前」と異名をとっている。その小梅と山で恋に落ちたのが、帆足鑑直。玖珠郡帆足郷の若君だ。二人の父親はかつては手を組んでいた当主同志なのだが、訳合ってお互いをけん制しあっている。帆足孝直の父は帆足郷の当主で山間の小領主として苦労が絶えない生活を送っており、息子はその苦労を間近で見ていた。小梅の父は古後摂津守で、玖珠郡の盟主として人望はあるが、一方で小賢しい策を弄しがちだ。小梅は鑑直と結婚するが、島津軍が攻めてくる。「鬼道」と自ら呼ぶ妖の術を操る僧は人々を惑わし妖怪たちが跋扈し始めたその時――薬売りが現れ、モノノ怪を斬る! 「モノノ怪」スピンオフ時代ものシリーズ第2弾!
新 八角『小説 劇場版モノノ怪 唐傘』
ついに新作公開! 『劇場版モノノ怪 唐傘』の監督監修の公式ノベライズ!
アサは文字書きの仕事にあこがれ大奥へやってきた優秀な新人女中。一方、同期のカメは仕事が不得意で先輩にいじめられてばかり。アサは彼女のお世話に追われるが、それでもカメといるときはからっぽな自分の中に何か豊かなものを感じることができるのだった。大奥では集団に染まるために、大切にしてきたものを捨てろという。自分の想いを殺すこと、それでも捨ててはいけないもの……。少女たちは悩み、そして――事件は起こる。様々な過去を背負い大奥にやってきた女中たち。大奥を舞台に繰り広げられる、彼女たちの情念がモノノ怪を生みだす――。そこに現れるのは、謎めいた薬売り。形、真、理が揃ったとき、薬売りの退魔の剣がモノノ怪を斬る!
松岡 圭祐『シャーロック・ホームズ対伊藤博文 改訂完全版』
新たなホームズ譚を描き出す、極上の歴史ミステリ!
ライヘンバッハの滝でモリアーティ教授と戦ったシャーロック・ホームズは、兄マイクロフトの助けを借りて日本へ向かった。イギリスに来ていた際に面識をもった伊藤博文のもとで世話になっていると、日本を訪問していたロシアのニコライ皇太子が、警備中の巡査に斬りつけられ負傷をした。日露の関係を揺るがす一大事件に、ホームズは伊藤博文とともに巻き込まれていく――。全米ベストセラー、正典の矛盾を解消した名編、改訂完全版で登場!
松岡 圭祐『続シャーロック・ホームズ対伊藤博文』
全米ベストセラー待望の続編!
シャーロック・ホームズは探偵業を引退し、ロンドンを離れて一人で養蜂を行っていた。久々に会ったワトソン博士と話をしていると、伊藤博文が満州で独立運動家の何者かに暗殺されたという報せが届く。
ロンドンに戻って伊藤博文”惜別の会”の招待状を受け取ったホームズのもとに怪しい女が現れ、「伊藤博文を殺した真犯人の存在」をほのめかす文章が彫られた仏像を渡して姿を消していった――。
全米ベストセラー待望の続編!
汀 こるもの『最強の毒 本草学者の事件帖』
美麗で変人な本草学者と同心見習いのバディが、江戸の難事件を解き明かす!
江戸は浅草の札差店で、10人もの奉公人が同時に亡くなった。同心見習いの紺之介は、夕食の味噌汁に一匹の虫が入り込んでいるのを発見。毒と思しき昆虫の正体を突き止めるため、「天才」と名高い本草学者(科学者)を頼ることにした。日暮里に佇む屋敷を尋ねると、現れたのは美麗な変人学者・香西朝槿。口を開けば悪態が出てくる偏屈ものと協力して、事件に挑むことになる。本草学の知識で謎を解く、全く新しい捕り物帖!
吉上 亮『テトラド2 統計外暗数犯罪』
被害者が大切な人だった。裁く者は公正でいられるか?
冲方丁氏、大森望氏推薦!
「奴がいる地域では犯罪発生率が必ず上昇する?」
不自然な犯罪の多発を目の当たりにした警察官の永代正閏は、統計外暗数犯罪調整課の正暉と静真から、元凶というべき存在を告げられる。他人の感情を増幅させるというその男は、2年前の拘置所火災で正暉と静真、永代にとって掛け替えのない人の命を奪っていた。「共感」が炙り出す罪を理解し、悪を裁くすべはあるのか。正義のジレンマに真っ向から挑む、近未来警察小説、解決篇!
白土夏海『縁切り姫の婚約』
縁切り神社の娘と「特格神社」の御曹司の契約婚約から始まるじれキュン物語
神々に護られ、神社が強い力を持つ日本。
「縁切り神社」の娘、綿本雪音(わたもと ゆきね)は屈託のない明るい少女。
しかしある日、神社が襲撃されてしまう。
襲撃者は名前に「雪」が入る術者を殺すと言い、雪音は危機に陥るが、
御景藤矢(みかげ とうや)という青年に救われる。
彼は日本を陰で守る「特格神社」の後継者で、
ある切実な理由から、雪音の家が持つ「縁切りの力」を欲していた。
そしてその力を得るため、雪音は藤矢と「契約婚約」することになり……!?
東田 直樹『自閉症の僕の毎日』
「朝、目覚めたとき、そこにあるのは昨日とは別の世界です」
「朝、目覚めたとき、そこにあるのは昨日とは別の世界です」自閉症の作家・東田直樹が25歳のときに綴った一年間の日々の記録。単行本『絆創膏日記』を再編集の上、新しいコラムや詩を増補。
堀本 裕樹『富士山で俳句教室』
気鋭の俳人が富士山句百をセレクト。山歩きが楽しくなる俳句の入門書。
日本一の山、富士山。信仰の対象、芸術の源泉として、世界文化遺産として世界中を魅了するこの山は、勇壮で優美、寂寥と、四季さまざまの表情を見せる。
対峙する者の鏡でもある富士山は、俳句にどう詠み継がれてきたのか。
動植物、生活、天文、行事などの視点で、近世から現代まで百句を精選。
富士山の名句を鑑賞しながら、擬人法、遠近法、比喩、掛詞、リフレインといった技法についても解説。学びながら楽しめる、俳句の入門書。
推薦:武井壮(タレント、百獣の王)
★ 角川文庫の夏フェアもスタート!
6月は毎年恒例の夏フェアもスタートします!
今年のテーマは「カドイカさんとひらけば夏休みフェア2024」。
本記事でご紹介した新刊以外にも、魅力的な作品が勢ぞろいです!
ぜひチェックしてみてくださいね!
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