![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/166851479/rectangle_large_type_2_f13f541f7bd2ddab746b785db639cf35.png?width=1200)
【今月のベストレビュー】本が好き!×カドブン Vol.73 『わたしと一緒にくらしましょう』
書評でつながる読書コミュニティサイト「本が好き!」に寄せられた、対象のKADOKAWA作品のレビューの中から、毎月のベストレビューを発表します。
今月はときのきさんの『わたしと一緒にくらしましょう』(著:尾八原ジュージ)レビューが選ばれました!
意外な展開が楽しい、“家”ものホラーの秀作
レビュアー:ときのきさん
夫と離婚し、幼い娘を連れて実家に戻った内藤美苗。折しも両親と兄夫婦は新居へと引っ越しを済ませたばかりであった。格安の中古物件だが、一家心中で住人が全滅したことのある有名な事故物件であり、なかには絶対に足を踏み入れてはいけないといいならわされる部屋があった。
人も羨むような仲の良い一家。平穏な日常が訪れるはずだった――誰もいない筈の部屋から足音が聴こえるようになるまでは。
全盲の霊能力者“よみご”志朗貞明と、ボディーガード兼雑用係の巨漢黒木省吾のコンビが活躍するシリーズ第二作だ。物語は内藤家で徐々にエスカレートする怪事の描写と、その合間に志朗が事務所を構えるマンション“サンパレス境町”でのふたりの日常のやりとりを挟みながら展開する。
この一見無関係な二つの流れがどう合流するかが見どころのひとつ。前作『みんなこわい話が大すき』同様に、ミステリ的な組み立ての巧みさは健在だ。事故物件に秘められた過去の因縁が明かされ、避けがたく訪れるカタストロフへとよどみなく進行する。
読者の足元が崩れ暗闇へとどこまでも底が抜けていくような、後味の悪いホラー小説ではない。“恐怖”と娯楽性のバランスが優れていて、レギュラーキャラクターらの掛け合いは楽しく、ミステリにおける名探偵と同様、何らかの“解決”を保証してくれる安心させてくれる存在でもある。ホラーが苦手な読者にとっては、彼らの存在は救いだろう。
ホラーなので複数の死が扱われるが、登場人物に過度な苦痛を与えたり、ゴア描写に淫したりはせず、描写に一定の節度があるところも品があって読みやすい。
シリーズものだが特に前作を読んでいなければわかりにくいという箇所はないので、ここから読み始めても大丈夫。静かな冬の夜の読書に最適な、現代ホラーの秀作だ。
書誌情報
![画像](https://assets.st-note.com/img/1734923864-KwldLoGZxfAYJ3yrzqasvpXi.png?width=1200)
あらすじ
シングルマザーの美苗は、兄夫婦と両親、祖母が引っ越したばかりの家に幼い娘とともに身を寄せる。そこは有名な事故物件で「ある部屋に絶対に足を踏み入れてはいけない」と言われている。誰もいないはずの部屋から足音が聞こえ、眠ったままの娘がなにかに手を引かれるように寝室を出て行く。この家はどこかがおかしい……。美苗は霊能者を名乗る女性に助けを求めたが、ついにある日、その部屋から娘が意識のない状態で発見される。娘を助けようとする美苗は、この家に隠された、驚愕の過去を知る――。
第8回カクヨムWeb小説コンテスト〈ホラー部門〉大賞を受賞した著者による、戦慄の「家」ホラー!
書名:わたしと一緒にくらしましょう
著者:尾八原ジュージ
発売日:2024年10月30日
ISBNコード:9784041153284
定価:1,870円 (本体1,700円+税)
総ページ数:288ページ
体裁:四六判
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322405000187/
★全国の書店で好評発売中!
★ネット書店・電子書籍ストアでも取り扱い中!
Amazon
楽天ブックス
電子書籍ストアBOOK☆WALKER
※取り扱い状況は店舗により異なります。ご了承ください。