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【ブックガイド】垣根涼介を初めて読むならこの5冊!

『極楽征夷大将軍』(文藝春秋刊)で第169回直木賞を受賞した垣根涼介さん。ハードボイルドから歴史小説まで、どれを読んでも超面白い垣根涼介作品の中から、特に絶対おすすめの5作品を、垣根さんご本人のコメントと共にご紹介します!



垣根涼介を初めて読むならこの5冊(著者コメント付き)

ワイルド・ソウル 上(新潮文庫刊)

大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞、史上初、三冠に輝く傑作。
国と外務省に騙されて、アマゾンに棄てられた日本人移民たち――。

その地に着いた時から、地獄が始まった――。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは、政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す! 歴史の闇を暴く傑作小説。

新潮社オフィシャルHPより引用

著者コメント
初期の代表作。そして今も代表作(だと思う・笑)。
当時、これほどの熱気で小説に打ち込めたことは幸せだった。

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信長の原理 上(角川文庫刊)

信長の渇望と、家臣たちの焦燥。信長の内面を抉る、革新的歴史小説!

織田信長は、幼少時から孤独と、満たされぬ怒りを抱えていた。
家督を継ぎ、戦に明け暮れていた信長はある日、奇妙な法則に気づく。
どんなに鍛え上げた兵団でも、働きが鈍る者が必ず出る。その比率は、幼い頃に見た蟻と同じだ。人間も、蟻と同じなのか……と。
信長は周囲の愚かさに苛立ちながらも、軍事・経済の両面で戦国の常識を次々と打破。怒濤の血戦を制してゆく。
不変の“法則”と史実が融合した革新的エンタテインメント!

出版書誌データベース(Books)より引用

著者コメント
私が書いた歴史小説の中では、最も完成度が高い。
織田信長という人物の生き方を「パレートの法則」で切り取ってみた。

★下巻の詳細はこちら


室町無頼(新潮文庫刊)

応仁の乱前夜、幕府に食い込む道賢と民を率いる兵衛に出会い、少年才蔵は成長していく。

応仁の乱前夜。天涯孤独の少年、才蔵は骨皮道賢に見込まれる。道賢はならず者の頭目でありながら、幕府から市中警護役を任される素性の知れぬ男。やがて才蔵は、蓮田兵衛に預けられる。兵衛もまた、百姓の信頼を集め、秩序に縛られず生きる浮浪の徒。二人から世を教えられ、凄絶な棒術修業の果て、才蔵は生きる力を身に着けていく。史実を鮮やかに跳躍させ混沌の時代を描き切る、記念碑的歴史小説。

新潮社オフィシャルHPより引用

著者コメント
応仁の乱直前の時代に、「蓮田兵衛」という実在したアウトローを見つけ出した。
その時点で、もう書こうと即決。自分が大好きな世界観に落とし込めるとワクワクした。

★下巻の詳細はこちら


極楽征夷大将軍(文藝春秋刊)

祝・第169回直木三十五賞!
混迷の時代に天下を獲った足利尊氏のリーダー像

動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。
足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて後醍醐天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。
一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。
 
混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。

文藝春秋オフィシャルHPより引用

著者コメント
史実を読めば読むほど、足利尊氏の「馬鹿馬鹿しさ、極楽蜻蛉ぶり」が照り輝いて見えた。
その人物造形が出来た時点で、ある程度の物語の出来は既に約束されていた。


武田の金、毛利の銀(KADOKAWA刊)

乱世の沙汰も、銭次第。
『光秀の定理』『信長の原理』に連なる、直木賞受賞第一作!

上洛した織田信長に呼び出された明智光秀は、とある任務を下される。数の信奉者である信長は、敵対する大名の財力を把握する必要があった。中でも武田と毛利の資金源である湯之奥金山と石見銀山の見定めは不可欠である。ただし、そのためには敵地の中枢に潜り込み、金銀の産出量を示した台帳を確認しなくてはならない。見つかれば命の保証はない危険な道中である。光秀は盟友の新九郎と愚息を伴って隠密裏に甲州へ向かう。駿河湾の港・田子の浦にたどり着いた三人は、そこで土屋十兵衛長安と名乗る奇天烈な男に出会い――。

出版書誌データベース(Books)より引用

著者コメント
自作の中で最も好きな歴史小説・『光秀の定理』のスピンオフ。
明智光秀、愚息、笹の葉新九郎という三人組のキャラは、今も私の一番のお気に入り。

★本作の詳細はこちらの記事をチェック!


著者プロフィール

垣根 涼介(かきね・りょうすけ)
1966年長崎県生まれ。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる三冠を達成。05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で本屋が選ぶ時代小説大賞、23年『極楽征夷大将軍』で直木賞を受賞。その他の著書に『ヒートアイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』『信長の原理』『涅槃』などがある。


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