ポケットの中の小時間旅行、あるいはクロノスタシス。
別れ話を仄めかさせたら世界一のコンテンツことアイドルマスターシャイニーカラーズの送る最新シナリオイベント「ヒカリと夜の音楽、またクロノスタシス」読んでからイルミネーションスターズの「FELICE」聴いたら馬鹿みたいに涙が出た話をしようと思います。
ずっと貼ってなかったけどリンク貼ることにしたエライ(遅い
ネタバレあるけど今回は…いいかな、踏んでから読んでも…(意志薄弱
花に嵐の喩えもあるさ
今回のイベント、何に一番ビックリしたかっていうと
「人生にありふれている『離別』のドライさ」を直球でぶつけてきたことなんだよね。
「遊び方」に示されているように、インターネットによって時間と空間が圧縮された現代社会において、『離別』は縁遠くなったように思える。
放課後クライマックスガールズのシナリオイベント「many screens」ではその「近さ」が優しく、温かく描かれていたが、「クロノスタシス」ではどうか。
話そうと思えばボタン一発で言葉を交わすことができる。
会おうと思えば小さな窓を通して視線を交わすことができる。
この指先で通話ボタンを押せば
この指先でアプリを立ち上げれば
そんなことをしなくたって
挨拶の一つでも交わせば埋まるはずの距離が
あの日こぼれた何かが作ったヒビが、
亀裂になって、
溝になって、
いつのまにか、心が億劫の断崖の上にいる。
なんて、さみしいんだろう。
星にすがるように伸ばした手も、
いつしか下ろして毎日の中に埋もれていく。
現実にありふれた何かをスケッチするときのシャイニーカラーズの手つきはどこまでも写実的であろうとするからこそ、どこまでも乾いて、冷たい。
人と何かが離別するときの原因は、何よりも心だ。
逸らしてしまう視線、もつれてしまう舌先、あと一歩を躊躇う足、ボタンを押せない指先。
ずっと近くにあると思っていたものと自分の間に、無限にも等しい心の距離が潜んでいたと気付くときの感情は、筆舌に尽くしがたい。
だから君たちは歌う
アイドルマスターシャイニーカラーズの世界観の中で、「クロノスタシス」は「アイドルたちが歌う歌」への一つの回答が示されたシナリオだったのではないかと思う。
「アンカーボルトソング」では、在りし日の記憶を留める「ベスト盤」として象徴に置かれた、「歌」。
しかし「クロノスタシス」においてそれは、過去の記憶を属性として内包したまま、希望の灯として描かれる。
凛と澄んだ 心に幾千の星
あなたへ 贈るソナーレ
聞こえますか？ この胸が瞬いて
溢れるように 生まれるメロディア
時間も空間、心の距離すらも一瞬で跳躍する、輝く一粒。
全てを救うわけじゃない、離別を繕う訳じゃない。
あの日を今に一瞬だけ引き延ばす、鞄の底で儚く煌めく星光。
耳を澄ませたら 会えるように
小さな幸せの粒を
吹き込んで 散りばめて
届けている あなたの元へ
ずっとも永遠もないことくらい、とっくに彼女たちは知っていて。
それでも、ふと見上げた先に、いつか見送った影が走り去っていく向こうに。
始まりのヒカリが輝いていますように。
あなたがいるから どんな時も
想いは光る 音になる
穩やかに しなやかに
証を刻んでいる
私がいるから いつの日にも
小さな幸せの粒を
詰め込んで 願い込め
届けている あなたのそばへ
以下ポエムに入りきらなかった散文
まあまたモチーフの使い方が小癪～、過去と今が接続される一瞬をクロノスタシス、影送りに被せるとか普段何を食ってるんだ教えてほしいマジで。
「Y/M LoveLetter」、「かいぶつのうた」で培われた「アイドル(主役)」を語らせすぎず、描きすぎず、舞台装置にすることによって輪郭でテーマを浮かび上がらせる文章構築が上手くなったな！シャニマス！という感じでした。
これに関してはもっとアイドル描いてくれや！という意見もあるけど定期的にやってほしいんだよね。アイドルにフォーカスした話はPカードだったりオファーやらなんやらでSカードも増やしていくつもりでしょうからそっちに期待大。頼んだぞ高山くん。
語り口としては「銀曜日」が近いってよく言われてるのもうなずけるぐらい静かで丁寧な筆致、グーと思います。
正直テーマとしては5thより前からやってきたことなので「何回擦るんだよ…」の域に到達しつつあるけど何度擦っても旨いものは旨いんだよな。
イルミネでやるとパンチ力がやっぱり違うし。
でも本当にこれ読んでからFELICE聴いたら涙がありえんくらい出てしまって、
同じ症状に陥る人類が一人でも増えればと思って筆を執った次第。
おめーもday2のFELICEで呼吸困難になるんだよ！！１１！円盤まだ！？？！？
(これはこのシナリオからFELICE以外の曲を感じ取った感情を否定するものでなく、イルミネで泣いているあなたの症状をより重篤にするための試みです。ご理解ください。)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？