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隙間に生きている三男へ

かあちゃんにはひとつの大きな悲しみがあった

かあちゃんは悲しみに捕らえられてしまった

そして他にはなにも見えなくなった

かあちゃんは子どもたちのことが見えなくなった

2022年の夏を忘れた

川も

海も

プールも

花火も

山も

キャンプも。

そして季節を見失った

あの人の骨を抱えてうつろな心に閉じ籠っている

その脇で

瑞々しく弾ける君がいる

どこにも連れて行ってもらえなくても

明るさを失わずにゲームをしている

いつも寝るのが遅くなって

眠いまま保育園につれて行かれても

無邪気に友達と笑い転げてる

大人が機能しなくなっても

子どもというのは自分の生きる隙間を見つけて

まっすぐに生きていく力があるというのか

そればかりではなく

2022年の夏から

急に言い始めた

「かあちゃん、かわいいね。」

と、毎秒ごとに

かあちゃんの悲しみを知らずとも

肌で心で感じ取ってしまうのか

その地球大の愛の大きさを

愛の枯渇したかあちゃんには測り知ることができない

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