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かっきーのやっちゃいました!! No.006 「私たち」がイキイキと目指せる「ビジョン」を描く#01

いよいよ4月!

新年度を迎え、事業活動においても新たな一歩を踏み出そうとされている方、気持ち新たに中長期のビジョンや計画を立てられる方も多いのではないでしょうか。

私自身、昨年12月~2月、東京のある企業でのビジョンづくりのプロジェクトにご一緒し、ともに駆け抜けていていました。

急にカタカナがでてきましたが、ビジョンとは、どんなものでしょうか?

Wikiぺディアには
ビジョン - 経営における用語。事業者が近い将来に達成すべき姿。戦略および方針管理が目指すよりどころ
「姿」とあるように企業として目指す具体的な将来像を姿が見えるようにするものと考えたいと思っています。

取り組みにあったっては、
「会社のビジョンはあるのだが、社員一人ひとりが自分事だと思えていない」や「自分事とするため、自分たちのビジョンを考えてもらったが、現在の延長線上のものになってしまい、ワクワクして目指したいものにならない」というビジョンについてヒアリングするとき、よく耳にする課題をいただきました。

そんな課題からスタートした取り組みでは、1月に自分たちの言葉でビジョンは出来上がり、3月に行ったフォローアップミーティングではメンバーの主体的な行動が生まれ、会社にも変化が起こり始めましたと教えていただきました(メンバーの活動が大企業の上層部を動かし、本部体制の再構築など想定以上の変化に戸惑いましたが・・・)。

本noteでは、本件や他企業での経験を基に、
・なぜ会社のビジョンが自分ごとになりにくいのか
・自分ごとにするためにどんなふうにビジョンづくりを進めたのか
をファシリテーターの視点でご紹介したいと思います。

なぜ会社のビジョンが自分ごとになりにくいんだろう?


会社のビジョンは多くの場合、社長や上層部、幹部が考え提示されることが多いです。事例の会社も規模が大きく、そのようないわゆるトップダウンで展開され、浸透をめざしたものでした。

そうしたビジョンはポジティブな未来を目指すものであることがほとんどなので、社員から反対や抵抗こそ起こりませんが、心から「自分も目指したい!」と思えたり、「実現のために自ら動き出そう!」という気持ちが湧くかというとそうでなかったり、うんざり感を伴う「やらされビジョン」になってしまっているケースも残念ながら見受けられます。

もちろん、トップの想いとしてビジョンを表明することはとても大切です。

展開方法の工夫や粘り強い教育などで、納得感を得たり、実現への動機づけをすることもできますが、基本的に人間は「他者がしたいこと」を押し付けられたと感じた瞬間に「やらされ」になってしまい、自分事としてそれに向けた主体的な行動がされなくなってしまいます。

そのため、トップダウンでのビジョン展開は自分ごとになりにくいと考えています。

「やらされビジョン」にならないための対話のステップ


「やらされビジョン」にならない一番の方法は、そのビジョンの実現に関わる人達が声を出し、「ともに描いたビジョンである」という感覚を体験できる過程で作成するということです。

「声を出し」の方法はアンケートがてっとりばやいとは思いますが、あまりおすすめしません。

忙しい中でのアンケートは「とりあえずやっておこう」と、表面的な回答になってしまったり、回答する時の状況や文脈を揃えることが難しく、回答者のそのときの状況が影響して本当に思っていることが書かれなかったり、違うように書かれてしまったりということが多々あります。

もっとも効果的なのは対話による方法ですが、「わたしたちが目指したいビジョンは?」というテーマで漫然とやっていくと、とりとめのない対話でいったりきたりして膨大な時間がかかってしまうのがネックです。

対話的なアプローチであっても、「対話の問い」を変えながら段階的にに行っていくと、一人ひとりの考えが語られ、自分も目指したいと思えるビジョンを描くことができます。

STEP1:私、私たちを突き動かしているものは何だろう?


そもそも未来を実現する主体である自分たちはいったいどんな存在なのでしょう?どんな想いを大切にし、どんな願いをもって、これまでどんな力を発揮してきたのでしょう?

対話でビジョンづくりに取り組む際には、未来を描く前に、そもそも自分や自分たちがどんな存在なのか?どんなアイデンティティをもっているのかということを明らかにしておくことをお勧めしています。

今回取り組んだ企業でも、ビジョンをつくり、実現する主体である自分たちを知ることからはじめました。

人の行動を促す力の源になっているものは直接的なスキルや能力だけでなく、「信念」「価値観」「願い」「望み」「希望」などその人の意識の内側にあるものです。

忙しい日常の中では、自分や自分たちについて省みる時間が充分に持てないことが多く、そもそも自分や自分たちがどんなことを願っている存在なのか、アイデンティティについての検討が置き去りになりがちです。

それが自分の中で、自分たちの中で明らかでない状態で「実現したい未来」を語ると、表面的なきれいごとになってしまったり、他者や会社への忖度に流されてしまったり、まとまりなく共有できるものにならなかったりということになりがちです。

まずは、会話したり、一人の時間を持ったりしながら、自分について思いだしたり、考えたりする時間を持ちます。

それを声に出して共有し、フィードバックしあうことで、自分がイキイキと活動できるときに突き動かしているものを意識化することができます。

チームで行う場合、一人ひとりの違いを明らかにした上で、一人ひとりが持っている価値観や願い同士の繋がりについても意識化しておくと、それがビジョンを描く時の心理的なガイドとなります。

12月~2月に取り組んだ組織では、チームでそれに取り組み、一人ひとりの願いとそれから導かれるチームが願うことを形づくる言葉やイメージを紡いでいきました。

STEP2:私、私たちが心から望む「未来の姿」はどんなものか?


STEP1で明らかになった「私、私たちを突き動かしているものは何か?」を持ちながら、いよいよ未来を描いていきます。
未来を描く手順として行ったことは、以下の通りです。

1.「未来を想起するウォーミングアップ(ミニワーク)
2.「私が望む未来」を描く(個人イメージ)
3.「私たちが望む未来」を描く(チームイメージ)
4.意味の確認(言語化)
5.未来に名前をつける(言語化)

未来を想起させるようなウォーミングアップを行った上で、「私が望む未来」を個人で表現し、共有し、問いかけや、語られたことに感じたことをわかちあった上で、自分が持ち込みたい要素を選び出し、それを持ち寄って「私たちの未来」にしていきます。

その上で、そこにある意味について対話し、出てくる言葉を書き取り、最終的にはその未来を象徴する名前を付けるところまで行いました。
ビジョンというのは文字通り「映像的な」ものなので、未来を描く際は、いきなり言葉や文章で考えるのではなく、よりその未来を脳裏に描けるように、イメージで表現することから始めることをお勧めしています。

私はLEGO🄬ブロックを使うことが多いのですが、オブジェや絵、歌、寸劇など言葉以外で表現する中には無意識レベルの思考も入り込み、複雑な要素が描かれるため、あっと驚くようなものが描かれることもしばしばあります。
表現したことを素材に、これはどんな意味をもつかなと対話し、そこで出てくる言葉を書きとめ、まとめることで「自分たちが参画した体験」が残るビジョンとなります。

実現したいビジョン例「笑顔あふれる会社」(一部)

この過程が楽しく仲間との相互理解が深まるものになると、「早く実現したい!」という声があがることも少なくありません。

これまでビジョンづくりをお手伝いした組織それぞれで、ユニークな名前のビジョンが生まれましたが、この体験を通じて生まれたビジョンを示す言葉は、特別な言葉と体験としてひとりひとりの中に残り、チームで取り組む際の共通言語になったり、実現につながる自発的な行動の発想のもとになったりします。

ここまでで、目指したい未来のビジョンが表現されました。
続くステップはビジョンが絵にかいた餅にならない為に、

STEP3:「未来の姿」を構成するものは?
STEP4:実現するための自己組織化

と続けていきました。

後半については次回ご紹介したいと思います。

個人や組織のビジョンを描く際のヒントになる部分がありましたら幸いです。

今回もお読みいただき、ありがとうございました!

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