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これで、ほんとにおしまい、長田弘。

長田弘さんを愛読してきた家人へのプレゼントを買いに丸善本店へ。


幾度目かの結婚記念日。

夕暮れの東京駅

されど、詩集、著作のほとんどは、もう家人の本棚にある。

もしかしてこれなら、という作品を見つけた。

『風のことば 空のことば ~語りかける辞典』は、長田さんが11年に渡って選者を務めた読売新聞「こどもの詩」で選んだ詩に添えた選評を、あいうえお順に編集した辞典のような“詩集”、2015年に亡くなった長田弘さん最後の詩集です。

月島の、お気に入りのお鮨屋さんの赤酢にぎりを堪能し、仙台からやってきたバーマンにバーボンソーダを作ってもらい、家人は記念日を楽しんでくれた。

朝が来て、家人は、こどものように、声を出して詩の辞典を読んでいる。

「ああ、もうこんなことば、無くなるんだね...、おしまいなんだね」

大丈夫だよ、ほら、長田さん、残していったよ。

本が、詩集が、小説だって、あるじゃない。

<あ>
あさ[朝]

起きなきゃいけないときに起きるのが、おとな。
起きたいとおもうときには起きるのが、子ども。

⇒どんな詩だったんだろう? いつも寝坊しちゃうこの詩かなぁ...

<ほ>
ほん[本]

本棚の本はね、立ったまま眠っている。
手に取って、横に開くと目を覚ます。
起こす? 眠らせておく?

⇒本、読むのきらい?

<さ>
さよなら

生まれて、おおきくなって、死んでゆく。
一ぴきのカブトムシがおしえてくれるのは、
いのちの物語。

⇒そう、死んじゃったのかぁ...

<わ>
わすれもの[わすれ物]

大事だから無くならないんじゃない。
無くならないからものが大事なもの。
便利なものはすぐ無くなるけれど。

⇒大丈夫、大丈夫。

長田さん、これでほんとにおしまいだね。

#読書の秋2022

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