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おぼろげな記憶のアフリカ丼を作ろうとした長い話

アッサラームマレークム!ケイチェルおじだよ。

いったいそれはどこの挨拶かって?セネガルの現地語、ウォロフ語の挨拶だよ。挨拶にしては長いよね。セネガル人は挨拶が長いらしい。日本人の「いやいや先日はどうも~」とか「平素大変お世話になっております」みたいなもんか。

なんでセネガルなのか?それを書くとセネガル人の挨拶の数倍も長くなるけど、書きますw 以下、4000字近くあるので暇な人だけ続きを読んでください。

おいたんがパリにいたとき、今のインドア引きこもり生活からすると信じられないくらい、暇さえあれば外に出て街歩きをしてたんだけど、いくつかお気に入りのエリアがあって、そのなかの1つにパリ東駅からサンドニ門まで南北に伸びる「ストラスブール大通り(Boulevard de Strasbourg)」っていう通りがあったんだよね。地図でいうとこのあたり↓

このストラスブール大通りは、カメルーン、セネガル、マリ、コートジボワールなどの西アフリカ諸国出身の移民の人たちが集まる、パリ随一のアフリカン・ストリートなんだ。

通りでまず目につくのが、いくつものアクセサリーショップ。アフリカ系の黒人の人たちはゴールド系アクセが好きらしくて、キンキラキンのネックレスやら指輪やらが所狭しと店頭に飾られてるわけ。アクセサリーには無頓着なおいたんも興味津々でいろんなお店の前でつい立ち止まって見てたら、あるお店のウィンドウに浜崎あゆみのポスターが貼られててびっくりしたことがある。このときばかりはあゆの偉大さを認識したねw 

次に目を引くのがネイルサロン。一面ガラス張りになってる表には入り口が2つあって、店内は真ん中で仕切られてる。片方が女性用、もう片方がなんと男性用なんだ。そして女性客と同じくらい男性客がいてネイルしてる光景にこれまたびっくり。黒人男性ってオシャレ好きが多いんだねえ。

そしてもちろん、通りにはアフリカ系のレストランもある。そのなかでおいたんが気になってたレストランが、その名もズバリ「BEST AFRICA」っていうお店。店先に大きく張り出されてる料理の写真見てたらどれも見たことない料理ばかりで、しかも全部6ユーロ以内というフランスにしては驚愕の安さ!

ただ、いまGoogleストリートビューで見てみたら、地図上に店名は表示されるものの、外装も変わってMadibaっていうただのハンバーガー屋になってしまったみたい。

中を覗くとお客さんはアフリカ系の人ばかりで、ビビって最初のうちは入る勇気が出なかったんだけど、ある日思い切って入ってみた。

すると、レジのショーケースの中に何種類かの煮込み料理っぽいものが入ってて、客はその中から注文すると奥で温めて出してくれるファストフード形式のお店だった。アジア人でも特に珍しそうにジロジロ見られるわけでもなく、いたって普通の人気ファストフード店って感じ。ショーケースのなかを見てたら、店員のお姉さんが「これは鶏、これは牛」みたいに説明してくれて、とりあえず「牛」で注文。

そしたら、トレーの上の大きな紙皿にこんもりと盛られたお米、そのうえにたっぷりかけられたゴロゴロ牛肉のトマトソース煮みたいなものが奥のキッチンから出てきた。これで6ユーロだったはず。

食べてみたら、かなり辛くておいたんのストライクゾーンど真ん中の味!

夢中でがつがつ食べたけど、とにかく量が多くて日本のスタ丼以上はある。お腹いっぱいになりすぎて、食べた後その日1日何もする気がしなくなる系のガッツリ飯でした。

あまりに好きになりすぎて、その後も何回か食べに行ったし、さらにシャトールージュっていうストラスブール大通りの少し北にあるもう1つのアフリカ街にもBEST AFRICAの支店(どっちが本店か分からないけど)を見つけて、そこで食べたこともある。支店も本店と同じ味・同じ量だった。

残念なのは写真を撮ってなかったことと、行くたびにいつも「牛」ばかり注文して、他の料理を探求しなかったこと。その「牛」すらも正式になんていう料理なのか調べずに勝手に「アフリカ丼」って命名してたからね。

日本に帰ってきて10年以上がたって、あのアフリカ丼が恋しくなってきた。そこでネットで探索開始。まずは"Paris BEST AFRICA"で検索してみたら、「パリのアフリカレストラン、ベスト10」みたいなのばっかり出てくる。そりゃそうか。手を変え品を変え小1時間ほど検索してたら、シャトールージュ店の情報は少し見つかったものの、メニューの詳細などは分からず。

そこでふと日本語で「パリ シャトールージュ ベストアフリカ」で検索してみたら、シャトールージュ店の情報に加えて、料理についても詳しく触れられてる素晴らしいページを発見!

食に関する貪欲さではやっぱり日本人スゴいわ。店内の写真も料理の写真も解説もしっかりある。1時間近く英語・フランス語の情報探してもほとんど見つからなかったというのに…

この寺下光彦氏の記事によると、BEST AFRICAの料理は主に「チュウ」と呼ばれるセネガルの煮込み料理だそうだ。代表的なものとして「チュウ・ヤップ(チキンの煮込み)」、そして「チュウ・アバ(モツの煮込み)」が紹介されてる。記事に出てくるチキンとモツとほうれん草のチュウの3種がけなんてめっちゃ美味そう。モツまであるなんて知らなかったよ。牛以外にもチャレンジしとけばよかったと激しく後悔してる。

チュウはフランス語では"thiou"と綴るようで、「thiou boeuf」で検索したら牛のチュウもレシピがいろいろ出てくる。想像した通りではあったけど、牛肉を玉ねぎやパプリカなどの野菜とトマトソースで煮込むだけのようだ。おいたん的にはザイカレーのスパイスなしバージョンって感じだし、あるいは以前作ったグヤーシュの辛いバージョンとも言える。

まあこれなら簡単に作れるな…って思った途端に拍子抜けしてしまって、これじゃあいつも作ってる料理と変わらない、アフリカ感もあまりなくてつまらないじゃん、って思ってしまった。

そこでセネガル料理について調べてたら、日本からは青年海外協力隊やバックパッカーがたくさん訪れてるようで、食に関しても情報が豊富にある。チュウ以外にセネガルの煮込み料理として「ヤッサ(yassa)」と「マフェ(mafe)」というのもあるらしい。

簡単に言うと、トマトじゃなくてレモン汁でマリネした玉ねぎで煮込むのが「ヤッサ」で、チュウにピーナッツペーストを加えたのが「マフェ」のようだ。

せっかくだからピーナッツペーストを入れてマフェにしてみようと思って、隣町のセントチェリーズヒル(笑)まで行って、無糖無塩ピーナッツ100%のピーナッツバターを買ってきました。

作り方は、まず大きめに切った牛肉をニンニクと生姜のみじん切りと一緒に炒めて圧力鍋に移し、さらに玉ねぎとニンジンを炒めて圧力鍋に加えます。さらに好みで辛くしたい場合はバラペーニョを追加(日本では生の辛い唐辛子ってなかなか手に入らないからね)。ローリエとブイヨンキューブ1個入れて、水適量加えて20分ほど圧力をかけます。その後ホールトマトとピーナッツバターを入れて適度なとろみになるまで煮ます。ピーナッツバター入れる以外はザイカレーグヤーシュと作り方はほぼ一緒。

さて、ここでバナナを用意します。

血圧が高めのおいたんにぴったりの低糖度バナナ。

これ1本を切ったものをどうするかというと、前日の沖縄天ぷらの残りの油に入れて揚げます!

高めの血圧にぴったりを台無しにする揚げバナナ!

なんでバナナ?って思った人もいると思うけど、実はBEST AFRICAのアフリカ丼には揚げバナナが添えられてるんだ。本当はプランタン・バナナっていう甘くない青いバナナを使うらしいんだけど、さすがに日本ではなかなか手に入らないので低糖度バナナで。

完成したのがこちら↓

揚げバナナに加えて、アフリカ料理と言えばオクラかなって思ってオクラのツナ和えも添えてみた。もう何がなんだか分からないメニュー。それにしても見た目は完全にカレーだな。

しかし味はカレーとは違う、ピーナッツバターの濃厚なまろやかさとトマトの酸味とバラペーニョの辛さが合わさった、初めて食べる味です。美味しいけど表現しずらい。

揚げバナナと一緒に食べてみます。

これまたますます分からない味になってきた。揚げバナナは、まあ悪くないかなって味です。ベストアフリカで食べたときと同じような味になった気がする。

よく考えたら、そもそもマフェは辛い料理なのかどうかすらあやしい。ネットでは「セネガルのハヤシライス」って表現してる人もいたから、甘い料理なのかもしれない。

アフリカのなかでもセネガル料理は美味しいと評判らしい。魚を使った料理も豊富で「日本人の舌に合う料理が多い」っていう記述もちらほら。今回の件でセネガル料理に俄然興味が出てきたので、今後も積極的に探求していきたいと思います。

おわり。





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