『虎に翼』と夫婦別姓 ~寅子に共感、私の経験~
こんにちは。カブトムシの母@朝ドラ好きです。
今日の『虎に翼』では、明律大学の学友が久しぶりに集まり、寅子の再婚を祝福。ファンには嬉しい回でした✨
それはそうと、航一にプロポーズされた寅子は、姓が変わることに戸惑い、航一と話し合いの末、事実婚を選びます。
相手に姓を変えてほしいわけじゃない。ただ、自分の姓のままでいたいって気持ち、私も理解できます。
私自身は法律婚を選んだけれど、姓を変えたくはなかったので。
「選択的夫婦別姓制度」
私が初めて「選択的夫婦別姓制度」について知ったのは、今から約35年前の高校生の頃でした。
確か、学活か何かで社会問題について考えるというのがあり、その頃、少し話題になっていた夫婦別姓がテーマとなりました。
まず、無記名で「もし、自分が結婚したら別姓にしたいかどうか」というアンケートが取られました。
私は結婚しても自分の姓は変えたくないと思っていたので、別姓に賛成にしました。
その結果…
なんと、別姓に賛成なのは40人のクラスで私一人だけでした。
「賛成は一人だったんですけど、誰ですか。よかったら、意見を聞かせてもらえませんか。」
と司会の子が言いましたが、クラスでたった一人⁉
私の感覚おかしいのかな?
なんだか恥ずかしくなって、手を挙げることができなかったのを30年以上たった今でも覚えています。
その頃は、結婚したら夫の姓に変えるのは当たり前、むしろ、好きな人の姓に変わるのは喜ばしいこと、という価値観が普通だったので、私は完全に変わり者でした。
なぜ別姓にしたいのか
どうして夫婦別姓にしたかったのかというと、男女同権を主張したかったわけではなく、ただ
自分の姓が大好きだったから。
私の旧姓はとても希少で、親族以外に聞いたことがありません。
自己紹介するとたいてい、「珍しい名字ですね。」「きれいな名字ですね。」と言われます。
一度、大学生のとき、バイト先で名乗ったら「あ、私の友達にもいる!」と言われて、そんなこと言われたのは初めて!と思ったら、それは私の妹のことでした。
そんな姓に誇りと愛着を持っていたので、私が結婚するまでに別姓が認められるようになるといいなぁと思っていました。
そういう意味では、私にとって「姓=アイデンティティ」ということかもしれません。
しかし、30年以上たっても、別姓は認められていません。
私の旧姓は近い将来、この世から消えてなくなってしまうでしょう。
それはとても悲しいことです。
絶滅危惧種は守ってもらえるのに、どうして希少な姓は守ってもらえないのかなと、残念に思います。
通称にも面倒がある
結局、私が結婚する時になっても別姓は認められないままでしたが、寅子のように事実婚にしたり、国に違憲を訴えたりするほどの気概はなく、もやもやしながら姓を変えました。
そんな私なので、当然、仕事は「通称」です。
私の学生は私の結婚後の姓は知りません。(※ 私は日本語教師)
姓の扱いは職場によって違うようで、私は2カ所の学校で仕事をしているのですが、一つの学校の教員証は旧姓(通称)で、もう一つの学校のは結婚後(戸籍姓)で書かれています。
時々、何か提出する書類を書いたり、判子を押したりするときは、どちらにすればいいのか迷います。
自分でもだんだん訳がわからなくなってきて、以前、すごく疲れていた時、メールを書いていたら、「お世話になっております。〇〇(通称)です。~ それでは、よろしくお願いします。△△(戸籍姓)」とちぐはぐなメールを送ってしまいました。
急いで小学校に連絡したとき、通称を名乗ってしまったこともあります。
また、クレジットカードを旧姓のまま使っていたら、ポイント交換できなかったり、ふるさと納税ができなかったりして、仕方なく名義変更しました。
これについては、名義変更していなかった私が悪いのでしょうが、できる限り、生まれた時から使っていた名前を使用していたかったのです。
困ったのは、日本語を教えるボランティアをしていた時です。
私はプライベートでは、結婚後の姓を名乗るようにしていますが、そのボランティアには職場の同僚の先生もいたので、どちらを名乗るべきか悩んでしまいました。
まあ、この程度の不便では、法律を変える理由として弱いかもしれませんが、先日、聞いたある事例では、パスポートに旧姓を併記していたため、入国時に怪しまれ、別室に連れて行かれたということです。
通称を使用したことで、犯罪者のような扱いを受けるなんて、ひどい話ですが、同姓を法律で強制する国は世界でも稀なので、理解されないのも無理はありません。
ということで、通称が使えれば別姓は不要だろうというのは、違う気がしています。
外国人には理解されない
日本語の上級の授業では、日本の社会で話題になっていることについてディスカッションすることもあるので、これまで何度か夫婦別姓について取り上げたことがあります。
が、中国や韓国では別姓が当たり前、他の国においても同姓が法律で強制されているわけではないので、「選択的夫婦別姓制度」の何が問題なのか、皆、理解できず、ディスカッションになりませんでした。
私自身は、立場上、中立であろうと別姓反対派の意見も紹介してみたのですが、「伝統的な家族の形が壊れる」「家族としての一体感が保てない」「離婚が増える」「手続きが面倒」など、根拠のないものばかりで、説得力に欠けるため、それを聞いて「同姓にすべきだ」という留学生は誰もいませんでした。
日本よりずっと家族関係が親密な中国や韓国を見ていると、姓が家族の結びつきの根拠になるのかは疑問です。
そう言うと、「日本と他の国は違う」「中国や韓国が別姓なのは、女性蔑視によるものだ」と言う人もいますが、反論として弱い気がします。
そもそも、全ての人が別姓にしなければならないわけではなく、したい人だけが別姓にする「選択」なのに、どうして認めてもらえないのでしょうか。
確かに、子どもがいて家族で行動する場合は、全員同姓の方が都合がいいというのはわかります。
それなら、結婚前の姓を戸籍姓とし、結婚後の姓を通称にできたらいいのにと思います。
そうすれば、結婚後、全ての公的書類やカードの名義変更をする煩わしさもなくなるので、いいと思うのですが。
同姓にしても不便がある
これは、あまりないケースだと思いますが、先日、結婚後、姓を変えたことで面倒な手続きをしなければならないことがありました。
来年から「登録日本語教員」という国家資格ができるのですが、私は試験免除のため、30年近く前に取得した「日本語教育能力検定試験」の合格証明書を提出しなければなりませんでした。
その際、旧姓で取得した資格であるため、戸籍の写しを提出し、本人証明をしなければなりませんでした。
戸籍をとるのに400円。最近はマイナンバーカードでコンビニでも取得できるので、手間も金額もたいしたことはありませんでしたが、そういう問題ではなく、どうして女だけが、こういう面倒なことをしなければならないのかと、もやもやしました。
まとめ
最近の世論調査では、選択的夫婦別姓制度の賛成派が反対派を上回り、時代の変化を感じます。
ただ、私が見たあるデータでは「もし、選択的夫婦別姓制度が認められた場合、あなた自身は別姓にしますか。」という質問に「別姓にする」と答えた人は非常に少なかったです。
そんな少数派の問題なので、議論が始まって何十年もたった今でも認められないのでしょう。
既に改姓してしまった私にとって、もう直接関係のある問題ではなくなってしまったのですが、『虎に翼』を見ていたら、何だか無性に語りたくなってしまいました。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。
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