マガジンのカバー画像

本のある日常

44
書店員として働く私が、本のことについて書いたエッセイ集です。
運営しているクリエイター

#休日のすごし方

マンガを貪り読みたくなるときもある

「マンガを貪り読みたい」 その衝動に駆られた私は、ヨダレを垂らしながら近所のツタヤに向かった。 歳を重ねるにつれて理性が強くなり、休日でも何か生産的なことをしないと気がすまないようになってしまった。 例えば、堅苦しい本を読んだり、一日中外出をしたり。 常にどこか焦っていて、自分でも何をこんなに焦っているのかわからない。 そんな日々を積み重ねていると、どうしようもなく無為な時間を過ごしたくなるときがやってくる。 私はそんなとき、ひたすらマンガを読むようにしている。 それも堅

夜の本屋を冒険する

休日の夜にどうしても寂しくなってしまうことがある。 そんなときは、散歩がてら家の近くのお店に行く。 幸い近所には夜遅くまでやっているコンビニやリサイクルショップなどがある。 その中でもお気に入りは本屋に行くことだ。 その本屋は格別に品揃えがいいというわけではない。 むしろ、店員のやる気のなさが棚に表れていて、品揃えは並以下である。 そんな本屋でも、近所にあって夜遅くまでやっているというだけで、愛着が湧いてくる。 あてどなく店内を回り、気になった本をパラパラとめ

居酒屋のあと二次会として本屋に行く

居酒屋で酒を飲んだ後は本屋に行きたくなる。 酔った心地であてどなく本を見るのが楽しいのだ。 二次会で居酒屋に行くよりも、よほど健康的で文化的で、ついでにお金もかからない(けっきょく何冊かは買うのだが) このnoteは、そんな「二次会としての本屋」のススメである。 まず時間帯なのだが、おすすめは昼飲みだ。 というのも、本屋は閉まるのが早い。 この資本主義社会において、17時に店を閉めるというスタンスをつらぬくのは立派なことである。 その姿勢を尊重し、お昼から飲める店で一次会を

本が好きだと町が楽しくなる

私は社会人になってから本を読むようになった。 本を読むようになってから変わったことはたくさんあるのだが、その中でもうれしかったのが、”町”が楽しくなったことだ。 本が好きになると、当然のように本屋に行く頻度が増える。 そうなってくると、行きつけの店、ちょっと遠いけどそれでも通いたくなる店、入るのにちょっと勇気のいる老舗というように、本を通した町との関わりができてくる。 最近、近くの町に小さな古本屋ができた。 その町は、私が住んでいるところからは何駅か離れており、普段は行く