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【詩】月明かりとお人形

お人形は高級なものほどぞっとする
ぞっとするなんて言っちゃかわいそうだけど
ほら オルゴール堂の片隅にそんな骨董品のお人形が
座らされている椅子も古びていて たぶん高級
あら そばに注意書きが

『非売品 人形に触らないでください』

このお人形は私みたいな人間にぞっとするとか色々言われて
誰にも抱いてもらえない
もう外は真っ暗 人間のお客がみんないなくなったら
この子は一人ぼっちの夜を過ごす
そんな日々がいつから続いているんだろう
いつまで続くんだろう
高い所に窓がある そうね そこから優しい月の光が差し込めば
お人形も心が和むかも

「神様お願い 窓から月の光を
月の光をこの子にください」

お祈りしたって月が出るわけじゃないけど
私の心の中に月の光が満ち溢れるような心地がした
シューマンとアイヒェンドルフの歌曲
「月の夜」のピアノの伴奏が思い出されて
ああ あれは月の光なんだって
ああ なんて美しいんだろうって
今気づいたのです


とてもきれいな曲です

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