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化学メーカー徹底分析! 割安株の探し方 vol.11

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  ※今までの記事はこちら⇒『割安銘柄の探し方シリーズ(記事まとめ)』

 

 さて、vol.1の記事では、私独自の以下の基準でスクリーニングをかけて、22業種105社をピックアップしました。

(1)東証一部上場
(2)予想PERが8倍以下
(3)実績PBRが1倍以下
(4)配当利回りが4%以上
(5)1単元が100万円以内

 ただし、ピックアップされた105社は業界の偏りが大きく、それぞれの業種特有のリスクがないか自分自身で分析することが重要ということでしたね。

 vol.2〜vol.4にかけて商社株、vol.5~7にかけて銀行株、vol.8では建設株、vol.9〜10にかけて不動産株ついて分析を行いました。

 本記事では、5番目に多かった(8社)化学メーカーについて書いていきたいと思います。

①化学メーカーの概要について

 あまり馴染みのない業種かとは思いますが、化学メーカーとはそもそも、化学反応を伴う生産プロセスにより財の生産、供給を行う企業全般のことを指します。化学製品は樹脂やゴム、合成繊維の総称で、石油や天然ガス由来の物質を合成や重合を繰り返して製品にします。

 身近なところですと、5G関連の電子部品材料に使われる酸化チタンや自動車関連の機能性材料などが今後重要になってきます。

 ※参考 日経新聞『「CASE革命」主役は素材 化学メーカーなど競う』
 
 また、化学セクターの上位を占めるのはほとんど総合化学メーカーなのですが、これは一般的に基礎原料から川中、川下の各種製品までの一貫生産を行う企業のことを指します。

 さて、ではこちらの前提を踏まえて、各種指標が割安であった化学銘柄を見ていきましょう。

②割安な化学メーカーの具体的銘柄は? 

 vol.1の記事でピックアップした化学セクター8社の内訳は以下のようになっております。

(4188)三菱ケミカルホールディングス 1兆2,267億円 ※総合化学首位

―――――――――――時価総額1兆円の壁

(4005)住友化学 8,211億円 ※総合化学
(4183)三井化学 5,212億円  ※総合化学

―――――――――――時価総額5,000億円の壁

(4004)昭和電工 4,513億円 ※総合化学。電炉用黒鉛電極首位。石油化学、ハードディスク外販、電子材料用ガス、アルミなど事業幅広い
(4631)DIC 2,973億円 ※インキ世界首位。樹脂、電子材料等へ展開(4208)宇部興産 2,475億円 ※総合化学。機械、セメント、化学、医薬、ナイロン原料

 ―――――――――――時価総額1,000億円の壁 

(4215)タキロンシーアイ 621億円 ※プラスチック加工大手でIT向け樹脂板首位。樹脂系建材でも高シェア
(4249)森六ホールディングス 413億円 ※化学品と樹脂加工製品の2本柱。樹脂加工はホンダ向けが9割
  

 一覧で見てみると、時価総額数百億円から1兆円オーバーまで幅広いことがわかりますね。

 これは中小企業しか抽出されなかった建設株や不動産株とは大きく違い、商社や銀行株に似ていますね。
  ※参考『割安銘柄の探し方シリーズ(記事まとめ)』

 割安で放置されているのは、企業の規模問わず業界全体についてネガティブな要因がありそうです。

③各化学メーカーの業績推移

 では次に、各社の一株利益及び配当金の直近実績及び今後の見込みを見ていきましょう。

(4188)三菱ケミカルホールディングス:一株利益・配当金ともに横ばい
(4005)住友化学
:一株利益右肩下がり、配当維持
(4183)三井化学:一株利益・配当金ともに横ばい
(4004)昭和電工
:一株利益右肩上がり、増配傾向
(4631)DIC:一株利益は17.12期をピークに苦戦、増配傾向
(4208)宇部興産
:一株利益は横ばい、増配傾向
(4215)タキロンシーアイ
:一株利益は横ばい、増配傾向
(4249)森六ホールディングス:一株利益は波あり、増配傾向

 総括としては、増配傾向の企業は多いものの、肝心の一株あたり利益はぱっとしませんね。
 
 ただ、目覚ましい企業がない一方で、右肩下がりの企業もそれほどありません。
 その点では、収益性に変化が起きにくい業種と言えそうです。

④なぜ化学メーカーの投資指標は割安なのか?

 それでは次に化学株が割安な理由を見ていきましょう。
    大きく以下の2点になります。

(1)アジア経済の減退リスク

 化学業界の最近の動向としては、中国経済の減速や米中貿易摩擦のあおりを受けて、収益性の高い汎用化学品(アンモニア、ポリエチレン、エタノールなど)の採算が悪化しています。

 実際に、三菱ケミカルや住友化学の主力製品であるメタクリル酸メチルの市場価格は18年夏から19年春にかけて3割近く下落しています。

(2)価格競争リスク
 
 ビジネスモデル特性上、『ブランド』が価値を持ちにくい業種のため、海外企業の国内市場参入、関税引き下げなどによる輸入品の流入、ジェネリック品の台頭などにより各社厳しい価格競争に晒されています。

 以上、2点を見てきました。
 どちらも短期的に改善するのが難しい問題で、かつ製品の特性上専門性が高いため、なかなか一個人投資家では分析が難しい面もあります。

⑤結局、化学メーカー株は買わない方がいいの?

 ここまで、化学株がなぜ割安なのかを見てきました。

 アジアを中心とした世界経済の減退リスク価格競争のリスクが懸念されています。

 個人的には、世界的な人口はまだまだ増加傾向にありますので、化学製品自体の需要は急激に低下することはないと考えます。
 一方で、価格競争のリスクというのは避けようがないので、競争力の高いある程度規模のある大手化学メーカーの方がいいと思われます。

 その点では、三菱ケミカル・三井化学・住友化学の大手3社は規模としては申し分ないのですが、業績及び配当推移がいまいちパッとしないので、それに次ぐ時価総額である(4004)昭和電工を詳細分析するのがよいと考えます。

⑥まとめ

 以上、簡単に化学メーカー株が割安な理由を見てきました。

 時価総額数百億円から1兆円超まで幅広いラインナップでしたね。

  次回の記事では、割安化学メーカー株のうち最も買い検討できそうだった(4004)昭和電工ついて詳細分析をしていきたいと思います。


   ※今までの記事はこちら⇒『割安銘柄の探し方シリーズ(記事まとめ)』

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