狙い目の銀行株はあるか? 割安株の探し方 vol.6
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前回の記事では、私独自の基準でスクリーニングした割安銘柄22業種105社のうち、銀行株に絞って見てきました。
銀行株特有のリスクはあれど、投資先候補から外すには早計ということでしたね。
本記事では、前回リストアップした銀行株のうち、直近実績を基に買いに値する銘柄がないか分析したいと思います。
①分析対象の銀行株を再確認
vol.1の記事でピックアップした銀行株15社の内訳は以下のようになっております。※一部順不同
(8306)三菱UFJフィナンシャル・グループ
(8316)三井住友フィナンシャルグループ
(8411)みずほフィナンシャルグループ(8308)りそなホールディングス ―――――――――――時価総額1兆円の壁
(8304)あおぞら銀行
(7327)第四北越フィナンシャルグループ
―――――――――――時価総額1,000億円の壁
(8524)北洋銀行
(8336)武蔵野銀行
(7322)三十三フィナンシャルグループ
(7173)東京きらぼしフィナンシャルグループ
(8558)東和銀行
(8713)フィデアホールディングス
(7184)富山第一銀行
(7161)じもとホールディングス
―――――――――――時価総額100億円の壁
(8563)大東銀行
これらの銀行株の一株あたり利益及び配当金の実績推移を見ていきたいと思います。
②銀行株の業績推移はどんな感じ?
①で上がっている全銘柄について、四季報を基に、一株あたり利益及び配当金の直近2-3年及び将来2-3年の見込みを見てみました。
簡単にまとめると、以下のようになっております。
UFJ :利益横ばい、配当は増額
みずほ:18.3月期をピークに19.3期は急激悪化(システム減損による)。その後は苦戦が続く見込み。配当金は横ばい
SMBC:利益配当共に横ばい
りそな:利益横ばい、配当微増
あおぞら:利益配当共に右肩下がり
第四北越:上場したてで株価が右肩下がり
北洋:利益配当右肩下がり
武蔵野:利益は波のある横ばい、配当横ばい
三十三 :利益右肩下がり、配当横ばい
東京きらぼし:利益やや上振れ期待の横ばい、配当横ばい
東和:18.3期以外は利益右肩下がり、配当19.3期で増配
フィデア:利益右肩下がり、配当横ばい
富山第一 :利益右肩下がり、配当横ばい
じもと:利益配当共に横ばい
大東銀行 :利益右肩下がり 配当横ばい
こう一覧化してみると、業界全体として一株あたり利益は横ばいもしくは右肩下がり、配当はほぼ横ばいということがわかりますね。
各銀行、収益モデルの転換を図っているとはいえ、数字になって現れるのはまだまだ時間がかかると言えそうです。
③投資検討に値する銀行株はあるか?
それでは、各銀行の業績推移を確認した上で、今からでも買うに足る銘柄はあるのでしょうか。
時価総額1兆円超と100〜1000億円の銀行とで2パターンで考えられると思います。(あおぞらと第四北越は一旦除きます)
(1)時価総額1兆円超(メガバンク)
メガバンクはグループ内に業界大手の証券、信託銀行、VCなどあらゆる金融機能を持っています。
例えばみずほ銀行ではみずほ証券の店舗とは別に、みずほ銀行内にプラネットブースと呼ばれる証券用の小部屋があるなど、銀証連携も積極的に進められています。
つまり、メガバンクほどの金融機能を持ったグループ体であれば、時間はかかるかもしれませんが、それぞれの機能のノウハウやネットワークを活かし、グループの収益モデルを古いものから大きく組み替えていくことも不可能ではないと考えられます。
実際に、19.3月期の時点で、三菱UFJや三井住友FGにおける銀行以外の『非銀行業務純益』比率は5割ほどまで高まっています。
また、すぐに実現することはないでしょうが、メガバンク同士が統合してギガバンクやテラバンクと呼ばれるほどの規模を有する金融機関になることもありえないことではないでしょう。
個人的には、メガバンクの中では、最大手であり三菱財閥という圧倒的なバックボーンを持つ三菱UFJフィナンシャルグループが一番堅実に保有していられると思います。
(2)時価総額100〜1000億円の地方銀行
ここに該当する銀行は、メガバンクと異なりグループ内に高度な金融機能が備わっておりません。
また、優秀な人材の比率はメガバンクよりも低いので、自力で収益モデルを変えるというのは非常に難しいと言えます。
一方で、メガバンクに比べて規模が小さく身軽なため、地銀同士の合併等による拡大戦略が可能になります。
ただし、単純にくっついたから問題ないというわけではなく、収益モデルをどう変換するかという根本的な課題が残っているので、個人的には地方銀行の株式を今から買うのはあまり有効ではないと考えます。
※参考 president online 『地銀マンの給与はバス運転手と同じになる』
④まとめ
以上、各銀行について簡単に業績及び配当推移を見てきました。
結論としてはやはり業界全体で苦戦が続く見込みで、その中でもメガバンク(特に三菱UFJフィナンシャル・グループ)はまだ買いを検討できる銘柄と言えそうです。
次回の記事では、(8306)三菱UFJフィナンシャル・グループについて、さらに分析を進めていきたいと思います。
※これまでの記事はこちら⇒割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)
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