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銀行株はなぜ割安で放置されるのか? 割安株の探し方 vol.5

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 初めての方は、こちらの自己紹介記事をぜひご覧下さい。


 これまでの株価分析記事の一覧はこちらです。



 vol.1の記事では、私独自の以下の基準で22業種105社をピックアップしました。

(1)東証一部上場
(2)予想PERが8倍以下
(3)実績PBRが1倍以下
(4)配当利回りが4%以上
(5)1単元が100万円以内

 ただし、ピックアップされた105社は業界の偏りが大きく、それぞれの業種特有のリスクがないか自分自身で分析することが重要ということでしたね。

 vol.2〜vol.4にかけて商社株について分析を行いましたが、本記事では、2番目に多かった(15社)銀行株について書いていきたいと思います。

①銀行株の概要は? 

 vol.1の記事でピックアップした銀行株15社の内訳は以下のようになっております。※一部順不同

(8306)三菱UFJフィナンシャル・グループ
(8316)三井住友フィナンシャルグループ
(8411)みずほフィナンシャルグループ(8308)りそなホールディングス

―――――――――――時価総額1兆円の壁

(8304)あおぞら銀行
(7327)第四北越フィナンシャルグループ

―――――――――――時価総額1,000億円の壁

(8524)北洋銀行
(8336)武蔵野銀行
(7322)三十三フィナンシャルグループ
(7173)東京きらぼしフィナンシャルグループ
(8558)東和銀行
(8713)フィデアホールディングス
(7184)富山第一銀行
(7161)じもとホールディングス

 ―――――――――――時価総額100億円の壁

(8563)大東銀行 

 銀行は商社と異なり一般消費者とも密接に関わる業種なので、馴染み深いと思います。

 特に、三菱UFJ、SMBC、みずほのメガバンク3行は赤緑青と色で表現されることもあり、特に知名度も高いと言えるでしょう。

 メガバンク3行にりそな銀行と埼玉りそな銀行を加えた5つの銀行を「都市銀行」と呼び、その他地域密着型の銀行は「地方銀行」と呼ばれます。
※あおぞら銀行のようにどちらにも属さない銀行もあります。

 銀行の3大業務は「預金」「貸出」「為替」ですが、これらの機能は基本的に都市銀行も地方銀行も大差ありません。

 時価総額区分を見ると、都市銀行は時価総額1兆円超で、地方銀行は100〜1,000億円に集中していることがわかりますね。

②なぜ銀行株の投資指標は割安なのか?(PER)

 それでは次に銀行株が割安な理由を見ていきましょう。

 簡潔に述べると、「収益力が落ちているから」という点に尽きます。

 正確には、今後、今以上に収益力が落ちていくと見られているということです。

 収益力が落ちている原因は大きく3つあります。

(1)日銀の低金利政策(金融緩和)

 金融緩和とは経済成長を促す政策の1つです。

 具体的政策は公定歩合操作や公開市場操作などになりますが、簡単に言えば、日銀が金利を下げることで、企業の設備投資や個人の消費を促進させる効果を狙うものです。

 アベノミクスの3本の矢のうちの1つですね。

 実際の大胆な金融緩和により株価は上昇しましたが、一方で日本の市場金利は非常に低い水準を維持したまま今日に至ります。
(例えば個人向け国債の固定5年の利回りでは、驚くべきことにわずか0.05%です)

 銀行の3大業務のうちの「貸出」については、利用者の預金と貸出金利との金利の差(利ざや)により利益を上げるビジネスモデルですが、この長引く低金利により利ざやを取るのが難しくなっています。

(2)貸出先の減少

 また、特に国内では設備投資なども一服し、貸出先が少なくなっているという事情もあります。

 実際不適切な融資の事例としてスルガ銀行のカボチャの馬車事件なども記憶に新しいですね。
参考『「かぼちゃの馬車」事件の実態』

 景気の波が激しい現代においては健全な経営が不可欠であり、株主に対して借金の少なさ(自己資本比率の高さ)をアピールする上場企業も多く、企業は不要な借り入れはできるだけ避けたいと考えています。

 ただでさえ利ざやが取れない上に、数をこなすことも難しくなっているのが銀行の貸出事業の現状と言えます。

(3)キャッシュレス・仮想通貨の普及による為替業務の需要低下

 一昔前までは現金以外でお金のやり取りをしたければ、銀行振込や手形しかありませんでした。

 しかし、現代ではLINE pay やpaypayなどの決済サービスではユーザー間の送金が手軽に行えます。

 そうなると、銀行の3大業務の1つ為替業務の需要が低下しますね。

 またビットコインなど仮想通貨も今以上にインフラが整えば、銀行にとっては脅威になるでしょう。

**③なぜ銀行株の投資指標は割安なのか?(PBR) **

 それでは次にPBRが割安な理由について見ていきましょう。

 簡潔に述べると「現状の純資産額が当てにならない」ということが原因と言えます。

 純資産は【総資産−負債】で計算されますが、銀行の資産の結構な割合を占めるのが貸付金(融資残高)です。
 例えば三菱UFJ銀行だと総資産の4割弱をこの貸付金が占めます。

 PBRが1倍を割っている状態は、会社の清算価値よりも株価が低いので割安というロジックなわけですが、銀行が清算するような状態になった場合、資産に計上されている貸付金はほとんど貸し倒れていると考えられます。

 つまり、清算時には今表面的に見えているような資産(純資産)はなくなると考えられるため、株価は上がらずにPBRも1倍を割ってしまっています。

 一般的な業種であれば、多少なりとも現金化できる固定資産なども持っているでしょうが、銀行の場合現金化できる資産の比率が極端に少ないと言えます。

 こういった要因から、銀行は経常的に割安なPBRとなっています。

④結局、銀行株は買わない方がいいの?

 ここまで、銀行株がなぜ割安なのかを見てきました。

  商社株と同様に、業種特有の理由がありましたね。

 銀行業自体に構造上の問題があるのは間違いなく、確かに割安で放置されているのも致し方なしと言えるかもしれません。

 ただ、私自身はまだ一考の余地ありと思っています。

 確かに昔ながらの3大業務の収益は落ちるかもしれませんが、当然銀行側も百も承知で、投資商品や保険の販売収入に軸を切り替え、また店舗統廃合や人員削減によるコストカットも進めています。

 また、インフラとしてのネットワークは健在なので、会計ソフトのfreeeや、みずほとソフトバンクのJ.Scoreなどを始め、多種多様なサービス業との業務提携も考えられそうです。

 よって、重要なのは以前の収益モデルがどうなるかではなく、新しい収益モデルはどのようなものか、また、どれほどの可能性があるかを詳しく見ていく必要があると考えます。

 それ次第では、割安で放置されている銀行株は絶好のバーゲン銘柄となるかもしれません。

⑤まとめ

 以上、簡単に銀行株が割安な理由を見てきましたが、やはり業種特有の事情(リスク)がありました。

 ただし、それだけで買わない方がいいと判断するのは早計です。

 次回の記事では、各銀行株の直近実績を基に、今後新しい収益モデルを確立できそうな、有望銀行株がないかを見ていきたいと思います。


※これまでの記事はこちら⇒割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)

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