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中小建設2社(イチケン、大末建設)の株価の見通しは? 割安株の探し方 vol.44

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 株まとめ@元証券マンと言います。

 初めての方は、こちらの自己紹介記事をぜひご覧下さい。

 これまでの株価分析記事の一覧はこちらです。


 vol.32の記事で、2019年12月6日の株価により、以下の基準で銘柄スクリーニングを行いました。

(1)東証一部上場
(2)予想PERが8倍以下 
   ※8倍以下の理由はこちら
(3)実績PBRが1倍以下 
   
※1倍以下の理由はこちら
(4)配当利回りが4%以上 
   ※配当利回りの注意点はこちら
(5)1単元が100万円以内


 その結果、13業種35社が抽出されました。

 今回の記事では、その中で4番目に抽出数が多かった、建設業の銘柄について見ていきたいと思います。





①建設業の概要

 建設業の企業は大きく3つに分類することができます。

(1)ハウスメーカー
 住宅建設を行う企業になります。家の販売が目的で、実際の施工は下請けの工務店が行うというパターンが通常になります。

(2)工務店
 ハウスメーカーが家を販売する企業であるのに対して、工務店は家を建てる企業と言えます。公共施設や商業施設など大規模な案件をこなす工務店もありますが、大部分の工務店は地域密着型の個人宅の施行のみを行っています。

(3)ゼネコン
 元請として各種の工事を一式で受注し、工事全体のとりまとめを行います。



 ちなみに、建設業の時価総額上位3社は以下のようになっています。
(2019年12月23日終値時点)

(1)大和ハウス工業:2兆2,645億円 PER 8.9倍、PBR 1.33倍 ※ハウスメーカー
(2)積水ハウス:1兆6,061億円 PER 11.4倍、PBR 1.30倍 ※ハウスメーカー
(3)大東建託:1兆0,243億円 PER 10.2倍、PBR 3.51倍 ※ゼネコン

 ※2019年11月末、建設業平均:PER  10.2倍、PBR 0.9倍
 ※2019年11月末、東証一部平均:PER 17.4倍、PBR 1.2倍


 1位、2位はいずれもゼネコンではなくハウスメーカーですね。

 上位3社の建設会社はいずれも同セクター平均よりは割高でしょうか。

 大東建託のPBR以外はそれほど大きく割高という印象ではないですね。


 また、参考までに、その他のスーパーゼネコンの数値を見てみましょう。

<スーパーゼネコン>
(1801)大成建設:PER  8.6倍、PBR 1.3倍
(1803)清水建設:PER  9.0倍、PBR 1.16倍
(1802)大林組:PER 8.0倍、PBR 1.09倍
(1812)鹿島建設:PER  7.9倍、PBR 0.97倍

 ハウスメーカーである大和ハウス工業、積水ハウスと比べると指標が割安ですね

 ゼネコンはハウスメーカーに比べて大小問わず株価が伸び悩んでると言えるかもしれません。


 では次に、具体的な割安銘柄について見ていきましょう。





②スクリーニングにより抽出された建設業の割安銘柄は?

 vol.32の記事(2019年12月6日付)でスクリーニングを行った結果、以下の銘柄が抽出されました。

※時価総額は2019年12月23日時点の終値です。


(1847)イチケン 130億円 ※中堅ゼネコン。商業施設の新築・内改装がメイン。首都圏、関西地盤に全国展開。パチンコのマルハンが32%保有の筆頭株主

(1814)大末建設 106億円 ※地方ゼネコン。マンション等の民間建築が主力。関西メインで、首都圏の比重も上昇中。ミサワホームと資本業務提携


 商業建築の(1847)イチケンと民間建築の(1814)大末建設で、対照的な2社ですね。

 時価総額100億円程度と、規模は小さい2社となっております。





③各銘柄の業績及び配当推移は?

 それでは、各銘柄の一株あたり利益及び配当金の推移を見ていきましょう。


(1847)イチケン:一株利益は18.3期がピークで、現在は右肩下がり。配当は維持

(1814)大末建設:一株利益は波が激しい。配当はやや増配傾向


 配当の推移は悪くありませんが、一株利益はどちらも苦しいですね。

 シンプルに業績の見込みが悪いので、各種指標が割安になっていると言えそうです。

 それではなぜこの2社の業績は悪化してしまっているのでしょうか。





④なぜ不動産株は割安なのか?

 それでは次に建設株が割安な理由を見ていきましょう。

 ↓の過去記事でも触れていますが、大きく以下の3点になります。


(1)オリンピックが開催される2020年以降、需要が頭打ちになる可能性があるため
 これはイメージがしやすいかと思いますが、五輪効果で特に東京を中心に建設業界の受注は順調でしたが、2020年をピークに右肩下がりになるのではと懸念されています。



(2)企業側が業績予想を低めに出してくるため
 建設業は業界全体として、利益が大きく出ていることを隠したがる傾向にあります。これは、儲けすぎていると国民からのバッシングが大きくなることを恐れているためと考えられています。



(3)東京都関連の公共工事で、価格が相場よりも高すぎると批判が出ているため
 東京五輪や築地新市場関連の工事で、相場よりも高いのではないかと問題視されており、こうしたニュースがゼネコン業界全体にネガティブな影響を与えています。

『【東京オリンピック】仮設競技場建設に3000億円 見積もり甘く誘致時の4倍に』



 以上、3点を見てきましたが、中小特有のリスクというよりはゼネコン業界全体のリスクと言えます。

 中小ゼネコンはより影響を受けやすいため、指標が割安になっていると考えられます。

 また、今回取り上げた2社は業績の推移も芳しくないので、割安なのも致し方なしと言えそうです。






⑤投資対象となり得る建設株はあるか?

 ここまで、建設株が割安になっている理由について見てきました。

 これらを踏まえ、僕個人としては今回挙げた(1847)イチケンと(1814)大末建設は、いずれも投資対象とはなり得ないと考えます。

 ゼネコン業界自体のリスクもさることながら、中小であり、今後の業績の見込みも苦しいので、買える要素がありません。

 その他の業種で割安株を探すのが良いでしょう。





⑥まとめ

 今回は、建設株の2社について見てきました。

 結論としては、(1847)イチケン(1814)大末建設の2社とも、投資対象とはなり得ない銘柄だと考えます。

 他の銘柄分析に時間を使うのが良いでしょう。


 

 次回は、vol.32(2019年12月6日)の記事で抽出した銘柄のうち、化学業の2社(昭和電工、タキロンシーアイ)について見ていきたいと思います。

 次回もよろしくお願いします。



 本記事の内容がよかったら、これまでの記事もぜひご覧ください。

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