ツクル10テン(ツクルテンテン)を作ってん!
前回の投稿から随分と間が空く投稿になってしまいました。
しかも当初は「ツクルテン」について、遅くとも2021年中には投稿予定だったので、全体の1/7程度の下書きを、本日まで3年間放置していたことになりますw
遂に2024年7月20日(土)14時より、WT-GP主導による、名作ツクルテンの進化版「ツクル10テン」のクラウドファンディングがMakuakeに開始‼
※最終日:8月15日(火)
現在、11日が経過しましたが、既に本日の7月31日(水)の時点で、180人を超えるご支援(720%)を頂いており、この場を借りて感謝申し上げます。
また本日『ツクル10テン』PVのロングバージョン(3分間)も公開しましたので、通常バージョン(90秒)と併せ、商品の到着までに遊び方を予習しておいて頂けると嬉しいです♪
本作『ツクル10テン』のお話をさせて頂く上で、当時公開できなかった本作の元版である「ツクルテン」の製作秘話や、本プロジェクトページではまだ公開されていない、上級ルール等についても書きたいと思います。
ツクルテンを作るきっかけになった「字札」
2020年の12月に、20年程前まで沖縄県の具志川という地域のみで遊ばれていた「字札(じーふだ)」という、カードゲームのPnP版(地域の伝承ゲームを研究されている石川久さんが、現地の方に打診されて分かった正確なルールと再現性の高いデザイン)を遊ばせて頂く機会がありました。
その後、2022年春のゲームマーケット(国内最大のアナログゲームイベント)にて、上記のPnP版のデザインを元に、「島札(しまふだ)」というタイトルでリリースされています。
詳しいルールはこの場では割愛させて頂きますが、一から十と馬と車(12種類)が各4枚にもう1種類の鬼と呼ばれる札が1枚、計49枚の札を使って3人または4人で遊びます。尚、各札の表面には0から5点の点数が描かれています。
手番では必ず手札から1枚を場(開始時には規定枚数の札が公開済み)にオモテ向きに出すのですが、その際、場に出した札と同じ種類の札があれば、ペアにして自分の手元で得点(点数は札に表記されており、2枚の合計がその点数)にできます。
そしてペアの有無に関わらず、更に山札の一番上から1枚を場に公開し、その際にまた場札と同じものがあれば、ペアにして得点にできます。
但し、鬼札(3点)だけはペアにならないので公開した人の得点になります。
面白いのは、このゲームには基準点というノルマがあり、各自の得点と基準点との差分がそのディールでの得点になるのですが、これに役が加わります。
12種類のうち3種類に役があり、一人で対象の種類を4枚全部獲得すると、自分以外の相手からそれぞれ規定の点数を得ることができます。
このゲームはカードのめくり運次第に見えますが、絶妙な得点バランスと、先程の「役」を揃える醍醐味で、かなり中毒性の高いゲームに仕上がっています。
この「同じ種類を4枚揃える」という、博打的ロマンに取り憑かれたのが、本作を作るきっかけになったのです。
スタート当初
ボードゲームにおいて、テーマがあるか否か。
ゲームにもよると思いますが、やはりテーマはある方を好まれる方が大半だと思います。
私は余りその辺りは気にしない方で、どちらかと言えばシステム寄りです。それでもそのシステムに合ったテーマがあればマッチングしたい派です。
ツクルテンの場合も、4つ集めると特別な恩恵を受けることにし、宝探しをテーマにしてはみたのですが、どうしても字札の絵合わせカルタ的な部分から脱却出来ず、一旦忘れることにしました。
システム作り
《数字のみのデザインが好き》
昔から数字のみ、あるいは数字+αくらいで留まっているカードゲームが大好きで、定番どころだと、「ニムト」「ゼロ」「支離滅裂」 「ウントチュース」「THE GAME」。
数字+チップだと「ゲシェンク」「23」「ゴーレム」(チップイット、トゥーアンリミテッド)等。
《ラミー系またはゴーアウト系が好き》
「麻雀」「UNO」「大富豪」「ハギス」「ティチュー」「ラマ(L.A.M.A.)」自薦になりますが「535」(Five Three Five、Oh!Meow!Bow!)
試行錯誤の末、「同じ種類を4枚揃える」はあくまでも麻雀でいう一つの役(本作ではボーナス点)として留め、「手札の数字の合計をぴったり《10》にする」のを「第一目的」、最終目的は「総得点で一位になること」に決めました。
テストプレイにおける、スタート時のカード構成
麻雀は34種類×4枚という牌構成になっており、同じ種類を4枚揃えて「カンツ」という組を作る「カン」という行為があります。
となると、同じ数字が4枚以上は必要で、0〜9の一桁の数字をすべて使うことにしました。
この時点で40枚。2〜4人まで遊べるようにしたいので、同じ種類を4枚揃えるのがボーナス枠とした場合、他に最低2枚は必要だと考え、6枚手札に。しかしこれではセットアップの時点で残り枚数が16枚。各自が引けるカード枚数はたった4回。実に物足りないw
そこで色違いの2種類×各40枚の計80枚にしてテストプレイを始めました。
これが中々のクソゲー
一部の熱烈なツクルテンファンの間では、「これは発明だ!」と言われるツクルテンの代名詞「特殊コンボ」(数字の圧縮)ですが、クソゲー時代は製品版とはカードの使用枚数も数字の幅も異なり、使用色も3種類あったりと、散々テストプレイを繰り返す毎日。
周りの面子を始め、テストプレイ会等では、ゲームデザイナー仲間からは「もう諦めた方が良い!」「悪いけど、時間的に無理だし(ゲームマーケット合わせの場合)、自分なら絶対に世に出さない」等、私自身への気遣いも含めたアドバイスでした。
天からのお告げ(ツクルテンだけに)
当時、残念ながらゲムマに出展できる新作を九分九厘諦めていたところ、お風呂に浸っている最中に、例のギミック(数字の圧縮システム)が天井から
降りてきました‼
その翌朝、高齢の母親(当時79歳)に遊んでもらったところ、「ケンイチ、これやったらおかあちゃんでも遊べるわ!」(一瞬、目を疑いましたが、一番自分を応援してくれる人の言葉なので信じましたw)
ツクルテンをゲームマーケットに出展
残念ながら2021年のゲームマーケット大阪(2月)では、宣伝不足等もあり、本作の魅力を十分にお伝え出来ず、60個が精一杯でしたが、この春のゲームマーケット(4月)では大阪の5倍近くをお買い上げ頂けました。
その後は通販等でも人気を博し、累計販売個数800個の後、現在は一部のショップ様を除いて絶版となりました。
実はこの2カ月後の12月上旬に最愛の長男(享年22歳)が他界してしまい、2021年は最高と最悪が同時に来た、一生忘れることのできない年になりました。
しばらく数カ月は何も手につかない状態でしたが、息子の死を機に、彼の分まで一日一日を後悔しないように精一杯生きようと心に決めました。
そして息子が亡くなった年に生まれた「ツクルテン」を、私が彼のことを一生忘れないように育んでいけたらと。
皆さんには忘れた頃にふと、「ツクルテン」というゲームを思い出して頂けたらこんなに嬉しいことはありません♪
ツクルテンの超豪華版『ツクルテンタイル』
久しぶりにレーザーカッターが使いたくなり、自分用のツクルテンを試作することにしました。
そして2022年9月の御殿場で開催された「ボードゲーム大祭」にて「ツクルテンタイル」の初出展が叶いました。
ツクルテンタイルについて
※これまでの記載内容と重複する箇所が多々ありますので、読み飛ばして頂いても構いません。
第1回ツクルテンタイル体験会
2022年10月10日(月・祝:ツクルテンの日)、有難いことに本作を所持(関西では3箇所)して下さっている、ボードゲームカフェ「7Gold」様(東大阪市の近鉄長瀬駅から徒歩10分)にて、ツクルテンタイルを3セット使って「第1回ツクルテン大会」が開催されました。(1か月前には体験会とプチ大会を開催)
第1回ツクルテン大会の決勝戦は、成績上位の「似顔絵探偵」や「アナフラ騎士SHOCK!」のおーつぼさん、「4人じゃたりない!妖精パーティー」「エカルタ」「アナウメモグラ」のヨーースケさん、「パクっとプリっと!」のさかしんさん、「カイコー!」のしどノコさんの4名で熱戦が繰り広げられ、この日が初プレイのヨーースケさんが見事優勝されました‼
ツクルテンの韓国版『MAKE10』
ツクルテンの韓国版『MAKE10』は、ツクルテンタイルを2022年の秋のゲームマーケットに予約販売(12名)という形で出展したのですが、韓国のMTS GAMES社の代表の方が一緒に出展していた「ツクルテン第2版」を購入されました。
そして韓国に帰って社内で遊ばれたところ、大変気に入って頂き、2023年には元のデザインが一新され、「MAKE10」が誕生しました。
またMAKE10は憧れのボードゲームの祭典「SPIEL Essen 2023」にも出展されました。
MAKE10とOh! Meow Bowについて
※これまでの記載内容と重複する箇所が多々ありますので、読み飛ばして頂いても構いません
nillさんとの出会い
2023年のゲームマーケット秋に長崎のボードゲームメーカー「Sunny Bird」の代表タイラさんから、「長崎のアクセサリーショップを手掛けられている、麻雀好きの社長さん(株式会社ニルの代表、原田健一郎さん)が「麻雀をモチーフにしたゲームを作りたいのだけど、誰か良い人を紹介して欲しい」とのことで、ゲームマーケット会場内にある、サニーバードブースの裏側で本件のお声掛けを頂いたのがきっかけでした。
当初はその後、3人共この案件のことをすっかり忘れていたのですが、当方からタイラさんに打診したところ、「それでは一度ミーティングしましょう♪」となりました。
既に企画案は頂いていたのと、原田社長から「麻雀+すごろく」みたいなということでその後もテストプレイも行ってきたのですが、いかんせん麻雀とすごろくの相性が悪くて、中々進展しませんでした。
そんなとき、原田社長が「ツクルテンという発明品」があるじゃないですか!
ツクルテンをニルが得意とする製法で木製タイル版を出しましょう!と、一気に方向転換することに。
この企画が決定してからは、バイタリティあふれる原田社長(来年還暦の私より4つ上)の行動力とレスポンスの速さで早々と試作が始まりました。
私の方もこの時点で最新版の「MAKE10」と、取り回しの良さもピカ一の「ツクルテンタイル」を参考にしつつ、この「ツクル10テン」の独自性と所有欲を満たすためにどうすべきか、ここに注力しました。
大久保さんのデザイン
最初に作品の顔となるイメージキャラクターとして、「10」にちなんで動物の「テン」を採用することにしました。
ちなみにテンをモチーフにしたボードゲームといえば、「もんじろうシリーズでもお馴染みで、生涯の師と仰ぐゲームデザイナー「居椿善久」さんの「テンガロン」が有名です。
それを株式会社ニル様に在籍されているデザイナーの「大久保瞳」さんにお伝えしたところ、あの愛くるしい「赤テン」と「青テン」を生み出してくださり、更に大久保さんから例の「テンテンタイル」のデザイン(山桑の実をあしらった紫タイルの5~8)を見せて頂いたときは色弱対応もバッチリで「めちゃ、素敵やん‼」状態でした。
尾崎さんの動画製作
過去に自分の作品の動画を作るために、スマホで撮影して慣れない編集アプリで何度か試みたことがあるのですが、こちらのセンスは全くなく、すぐに挫折してしまった記憶が…
このプロジェクトのPVは先程の大久保さんと同じく、株式会社ニル様に在籍されているデザイナーの「尾崎華菜」さんが手掛けてくださいました。
先日、このロングバージョンPV(3分間)も公開されましたが、何度観ても飽きないのと、とにかく丁寧で誰にでも理解できるわかりやすさ。また、BGMの選曲も含めて、非常にセンスのある方だなぁと感心しました♪
原田社長の半端ないこだわり
原田社長が最もこだわりを持たれたのは以下です。
・パッケージ以外すべて木製(MDF)
・40枚の得点チップも含めたパッケージサイズと収納方法
・タイルのサイズとタイルスタンドのサイズ&溝の幅
パッケージ内は、下にタイルスタンドが4列×2段、その空いた隙間に得点チップを立てて8枚×5列、
そして上段には上皿があり、その中に5×3列×4段+余り2枚、それとボーナス役表4枚と説明書1枚
※画像は開発中(タイルには手貼りのシール)のもので、製品版(印刷)とは異なります。
数字タイル61枚、親マーカー1枚、得点チップ40枚、タイルスタンド8本(2本で1組、ボーナス役表4枚、説明書1枚で3,600円(クラファン価格)はお値打ち価格だと思います
基本ルール(簡単)と上級ルール(病みつき)
ようやく本題というか、原田社長から「クラファンページには基本的な遊び方しか載せていないのと、さすがに支援ペースが落ちてきたので、説明書や上級ルールの情報を載せたい」とご要望(実は開始時の時点で載せましょうと打診したつもりだったのですがw)がありましたので公開します。
ツクル10テン説明書(画像:粗くてすみません)
本作でこだわったのは、元版のツクルテンを初めて発表した際、初プレイで難しいと脱落された方々が一定層いたのは、まだ記憶に新しいです。
なので今回「ツクル10テン」を支援して頂いた方には、同じような体験をされないように、基本ルールに注力しました。
本ページにあるPVで、ゲームの目的と基本的な遊び方はご理解頂けたと思います。
◇基本ルール
いち早く手札8枚の数字の合計を「10」にすることを目指します。
「10」にすることができたら、ストックから1点チップを受け取って下さい。
親は毎ラウンド時計回り順に交代します。
先に4点を獲得した人が勝ちです。
◇上級ルール
上級ルールでは、基本ルールにはなかった「基本点」と「ボーナス点」、そして「親の継続」が加わり、基本ルールでは体験できないようなエキサイティングな遊びかたができます。
・基本点
親で上がると「3点」、子で上がると「2点」(今までは1点)
が保証されます。
・ボーナス点
ツクルテンファンにはお馴染みの、ロック(麻雀でいうリーチ:鳴いていてもOK)、ツーレッド(赤を2枚だけ含む)、シリアルペア(3連番ペアを含む:色は問わない)、リアルテン(特殊コンボなしで上がる)等が外され、ストレート(ツクルテンタイルやMAKE10から)ツーブルー、エイト等が加わったのとボーナス役の名前を変更したものがいくつかあります。
元々「ツクルテン」は、今や「Mリーグ」のようなスポーツとしてもとらわれるようになってきた「麻雀」という、とても面白く奥の深いゲームが好きです。
そして私自身が、これまでに遊んできた簡易麻雀系のボードゲームと異なるベクトルで、「ツクルテン」を展開してきました。
ただ想像以上に普及させるのが困難で、一部の熱烈なファンの獲得が精一杯でした。
ただ今回の「ツクル10テン」こそ、基本ルールだけでも十分楽しんで頂けるレベルのものにできたのと、願わくば麻雀と同じように「競技」という舞台にも耐えうるゲームを目指した1つの形でもあります。
麻雀役は「点数の幅」がピンキリで、「役満」を上がることができればもちろん嬉しいですが、点数の低い役でも複合すれば高い点数が得られるのが魅力です。
ツクル10テンでは、上記のような「役の複合」を麻雀では味わえないギミック(数字の複合)により、たったの61枚で麻雀にも引けを取らない面白さを実現しました。
本作の最大の売りは、2人から4人まで遜色なく楽しめるゲーム性です。
そして本作に十分慣れた方には、「誰かが25点を獲得するまでプレイする」という「ヴァリアントルール」もお勧めです。
本来なら1つ1つ、ボーナス役をご説明したいところですが、その部分については本プロジェクトが終了し、支援して下さった皆様自身がプレイを繰り返していくうちに、「今、最もお勧めしたいゲーム」の1つになった頃合いにさせて頂けたら幸いです。
御礼
ツクル10テンのテストプレイ等にご尽力頂いた方々
てっちさん&るっこさん(ボードゲームカフェ&ショップinst様)
そうじ店長&ゆうじ店長(ボードゲームカフェ7gold様)
テストプレイ会(ディスカバリーゲームズ様)
北条投了さん(芸無工房 Looser Dogs)
N2さん(ザザンクロスゲームズ)
さかしんさん(さかしんすがの)
てちゅろんさん(ボードゲーム・カフェー賽翁様)
宣伝
ムーブ 様
Sunny Bird様
アートワーク
大久保瞳様(株式会社ニル)
動画製作
尾崎華菜様(株式会社ニル)
製作
株式会社ニル様
プロジェクト実行
WT-GP 代表 原田健一郎様
最後に
最後までお読み頂きありがとうございました。
以下は余談ですが、原田社長は手塚治虫先生の代表作「鉄腕アトム」のIPを所持されているとのことで、今回のツクル10テンを製作するにあたり、駄目元で同じ手塚治虫先生の「メルモちゃん」テーマを提案したのですが、残念ながら却下されましたw
理由はメルモちゃんの「赤いキャンディ」と「青いキャンディ」の効果が、ツクル10テン(ツクルテン時代から)とはある意味「真逆」だったからです。
※赤いキャンディーを食べると10歳若返り、青いキャンディーを食べると10歳年をとる
さすがにメルモちゃんに合わせて赤と青の効果を入れ替えてしまうのは、「これまでのツクルテンファンが納得しないのでは?」となりました。
更にツクル10テンでは色に限らず同色同数字3枚組は「0」として扱うことが出来るのですが、メルモちゃんでは「赤いキャンディ」と「青いキャンディ」を同時に服用したりすると「動物」になったりします。
なのでお手上げですorz
あと本プロジェクトの広報用にどうしても欲しくて探していた「テン」のぬいぐるみを遂にGETしました‼
改めて最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
本プロジェクトを応援したいと思って下さった方が一人でも増えることを願っております。
2024.8.1
ゲームNOWA
かぶきけんいち
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