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重松清「また次の春へ」を読んで

重松清「また次の春へ」を読んだ。短編集ということもあり、死を扱っている割には、さらさらと文字を追える感じだった。

7つの短編の内6つが東日本大震災について取り扱っているお話だった。

3つ目の短編「しおり」では、「翌日にまさか自分が死ぬと思っていないことを表す行為」の一つとして、「読みかけの本にしおりを挟む」行為が取り上げられていた。死者が生前に行った「読みかけの本にしおりを挟む」ことと同じような行為はきっと他にも沢山あって、残された人はその痕跡を見つけたいのか見つけたくないのか……私には分からない。

5つ目の「五百羅漢」は、模試(?)か何かで一部分を見たことがあるお話だった。模試で一部分を読んだときと、随分印象が変わった。もっと陰鬱なお話だと思っていたが、全て読めばかなり優しいお話で驚いた。

あたたかな家族を目当てに重松清さんを読んだ。期待通り、あたたかな家族ばかり出てきた。家族の誰かが亡くなったときに、残された家族が激しく悲しむような家族は、普通の家族ではなく、偏差値高めの優良家族だと思うのですが、偏差値高めの優良家族ばかり出てきて、4つ目あたりからちょっと冷めてきたので、別の本を挟みつつ読めばよかった(空き時間、この本しか持ち歩いてなかったので、一気に読んでしまった)。


重松清さんの作品の中では「十字架」が一番好きです。

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