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3Dプリントで自作し続けた商品がコロナの中で6000万の売上。趣味だったものづくりが本業になった話

ハンドメイド商品の売り上げ推移

普段の生活で、便利なツールや道具が欲しいと感じることがあると思います。
私は30年以上、家電業を営んでおり、その中で欲しかったアイテムを3Dプリンターを使って実現することができました。
しかも手ごろな機材を使って自宅で量産した結果、こんなにも収益化につながるとは思ってもみませんでした。
そんな体験談を書いてみたいと思います。


売ってないものは作ればいい?

長年私は主にワンルームオフィスの電気のメンテナンスを行っています。特に夏になるとエアコンの修理が大変です。
しかし、ほとんどの故障は汚れが原因です。その中でもよくあるのが送風ファンがゴミで詰まってしまうことです。
高圧洗浄をすれば問題解決ですが、高圧洗浄機を持参しなければならず、見積もりを取ってから作業に取り掛かる必要があります。
真夏に入居者は長い間待っていられないし、手持ちの道具で四苦八苦しながら4時間かけても不完全な掃除しかできず、勝手に行ったことなので請求できません。
そんな問題から新しい発明が生まれました。

冷えてるのに風が出ない
ファンが詰まって風が出ない
歯ブラシでは掃除できない
羽の隙間に入りません
普通のブラシでも羽の内側に届きません

急いでファンをきれいにしようとしているけれど、道具が悪くて困っていました。

応急で掃除するもゴミが取り切れない・・・

それでも掃除を試みると、いくら掃いてもゴミがいつまでも出てくる。。。
結局はエアコンから送風ファン取り出し、水道水で洗い流すか
または、高圧洗浄機を持って出直すことになります。

エアコン高圧洗浄の道具

そこで専用掃除ブラシの研究が始まりました。

ごみを根こそぎ掻き出す、発明掃除ブラシ

3Dプリンターの驚き

最初の試作品では、おもに材料としてベニヤ板を削って工作していました。
それが3Dプリンターを手に入れたことでアイデアの幅を一変しました。
ブラシの角度を自由に設定でき、木材では作れないような内部で曲がったトンネルのような形も作ることもできる。
短時間に試作ができて即座にエアコン修理の現場で実践できるようになったのです。

送風ファンの現物をもとにスケッチ
初期の3Dプリンターで試作品作り


ブラシの角度や枚数の変更が容易です。


板の固定用に針金を貫通させています


試行錯誤の末、オリジナルの掃除道具を完成させました。

初期のオリジナルファン専用掃除ブラシ
内部を空洞化した掃除機接続型


掃除機とつなぐことで先端からごみを吸引します


後端に掃除機ホースをつなぎます
ごみを掻き出し吸引します

約10万円で個人特許取得へ

私の父が発明した紙パック式掃除機は、昭和40年代初めに日立製作所のアイデア募集に応募し、幸運にもそのアイデアが採用されました。父はこの功績で金一封と表彰状を手に入れ、それ以来父は、「特許を取れ!」という言葉が口癖となりました。子どもの頃、父はよく「あの時特許を取っておけば良かった」と後悔しているかのように話していました。

そこで私は、オリジナルの掃除ブラシに特許を取ることを考えました。
自分で使いたい道具を作り、役に立つことが何度もありましたので、他の人にも役立つだろうと考えました。
しかし、特許に関する調査から分かったことは、アイデアが浮かんだからといってただそれを世に送り出すと、特許侵害の可能性があることでした。
特に先進国である日本では、他人の権利を守るためにも特許出願は避けて通れないことがわかりました。

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