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大体の人は「代替」を「だいたい」と読まない

「代替品」「代替クーポン」

「だいがえひん」「だいがえクーポン」
と読まれがちである。
辞書によると、この読み方も正しいらしい。そして漢字文化資料館によると、意外と長く使われている読み方のようである。

たしかに文章はともかく、音声で「だいたい」と聞いて頭に浮かぶのは「大体」の方だ。音で聞くのと、文字で見るのとではわかりやすさが違ってくる。

その昔ファーストフード店でのアルバイトしていた頃、クーポン対象商品の取り扱いがない場合は他の商品がクーポン対象となった。お客さんには、例えば
「エビバーガーのクーポンですが、当店では取り扱いがないため、フィッシュバーガーのだいがえクーポンとしてご利用頂けます」
といった形でご案内することになる。マネージャーから説明を受けたときも「フィッシュバーガーの"だいがえ"クーポンとしてご案内してね!」と説明していたし、それで伝わっていた。

言葉にとって一番大切なことは、正しさではなく、相手に主張が伝わるかどうか。考えや気持ちを伝え合うために言葉がある。
交替、に内包されない「本来とは違う、代わりに用意されたもの」という意味。それこそが「代替」のキモである。伝えたいことが伝わることが一番であり、読み方など些末な問題なのだ。


……ということをわかっていても、「だいがえひん」と言われるたびに心のなかで(「だいたい」だよな……)と思ってしまう狭量さは一生変わらない気がしている。

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