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【エッセイ】ネコ様はひなたのかおり

日向ぼっこした猫からは、よく干した布団のような良いにおいがする。かといって人間の体臭ほどにおいが強くないので、相当近づかないとわからない。よく毛に顔を突っ込んでにおいを嗅いでいるが、こういうキモい動きをしても猫は嫌がらない。猫の方も人間のにおいを嗅ぐからお互い様だと思っているのだろうか。

しかし近頃、我が家の猫は無臭である。冬場は日が弱いこともあって、日向ぼっこをしていてもにおいが強くならない。
もともと狩りをする生き物だし、体臭が強ければ獲物に見つかりやすくなる。においがしないのは不思議ではないが、ここまで無臭になるものなのか、と驚きはした。

だが人間の体臭も人それぞれ強さが違うように、猫によっても強弱の個体差はあるようだ。以前、人馴れした野良猫をしこたま撫でたり膝に乗ってもらったり(自分から乗ってくれた)して戯れた日のこと。脱衣所で服を脱ぐと、服からその猫のにおいがした。当時は猫を飼っていなかったが、日向ぼっこした我が家の猫とも違う、獣臭という感じだったと記憶している。

何度も人馴れした野良猫を撫でているが、あそこまでにおいが強い子にはあれ以来出会っていない。人馴れしていたので、人間からご飯をもらっていた可能性もあるし、だとすると狩りの必要もないのだろう。ヒトも肉を食べる方が体臭が強くなるらしいし、ヒトと同じものを食べていると猫も体臭が強くなるのかもしれない。ある意味、においの強さは人馴れした猫の証なんだろうか。憶測でしかないが。

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