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買い出しと寺院とそれからナニカ 【ネパール紀行】

日付: 2019/02/21

目覚めと行動開始

僕の実家は田舎だ。朝、鳥のさえずりで起こされる事がよくある。カトマンズの朝は、バイクの音で起こされた。初めてのゲストハウス、格安宿、敷布団も薄いベットだったけれども、フライトの疲れが溜まっていたからかぐっすりと寝る事ができた。朝食は屋上で出されるらしい。遅めに起きた自分が向かった頃には人で一杯だった。昨晩風邪を引いていた彼は元気そうだ。よかった。朝食の内容はパンに卵焼き、紅茶、そして何かおかず(忘れた)。帰国後、他の外国の朝食付き格安ゲストハウスに泊まったのだが、格安宿の朝食はどこも同じような気がする。思いの外、景色がよい。

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ネイティブ英語についていけず、他愛のない会話には混ざれなかった。

朝食を食べたら行動開始だ。トレッキングガイド、サンゲが来るまでにいくつかの装備を買う必要があった。散歩がてら、買い出しに向かう。ネパールでの買い物は、活気に満ち溢れていた。有名ブランド品のパチモンが多く、値段は安いが品質もそれぞれ。そんな中、少しでもいい品質のものを少しでも安く買う。様々な商品を見比べ、店員と値段交渉をする。今までにない経験で話やエピソードとしては聞いていたけれども、新鮮だった。値切りの方法は先に調べてきたが、いつもうまく行くとは限らない。一番いいやり方は、他の値段とかに左右されず、その時「思ったより安く買えた、ラッキー」と思う事だろうなと思った。

この日、僕はトレッキング用のズボン1着、Nalgen(笑)、手袋、高山病の薬を購入した。それぞれ1900 NRs (≒ 1900 円)と400 NRs、500 NRs。Nalgen(笑)のボトルは本物よりボトルが薄く、また文字がすぐに擦れて消えてしまう代物ではあったが、トレッキング中の利用だけと考えれば充分。高山病に効く市販の薬といえばダイアモックスなのだが、最近ネパールではダイアモックスは出回っていないらしい。薬局の主人から、ダイアモックスではないけど同じ効果と説得された得体の知れない薬を購入した。使う事がないように祈るばかりだ。

一見混沌して見えたカトマンズの街中だったが、慣れてくると大体同じタイプの店で8割を説明できることに気がついた。アウトドアショップ、カシミールの布とか置いてある店、両替店、仮面とか置いてあるみせ、SIMカードが大体だ。同じような景色、迷子になる。地図を広げて座っていたら、周りになぜかネパールの人が集まって座ってきた。最初、物売りかと思ったけれども、ただ単に興味らしい。会話が弾む。地面に直に座る外国人が珍しかったらしい。会話が弾み、仲良くなれた気がする。ネパールの人は優しい。

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パチモンのTHE NORTH FACE. Tが既に少しほつれている。

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アウトドアショップ、入り口狭く、奥行きが長い

サンゲと会う

お昼前にサンゲがゲストハウスにやってくる予定だった。ご対面である。約束時刻を約束通り遅れてサンゲが迎えにきた。第一印象は、「おじさんとお兄さんの中間くらい」だった。この後の会話で互いの年齢を聞くくだりがあった。
「そういえば、サンゲって年はいくつなの?」
「想像してみて」
「低めに見積もって33」
「29だよ」
ちなみに僕の年は25だと推測された(実際には22)。初めてあったサンゲはどこか口数が少なかったのだが、後々聞くと緊張していたらしい。笑うと愛嬌ある顔になるのだが、無表情だと仏頂になり、何か気に触ることをしてしまったのではないかと不安になる。「買い物はしたか?」「イエス、したよ」。ペマさんは日本語が達者だったが、サンゲは日本語は話せないため、英語での会話となった。昼ごはんは例によってダル・バートだ。

サンゲのバイクに跨がり、ネパールで一番古いと言う寺院に向かう。気持ちはトレッキングに完全に向かっていたため、それほど期待はしていなかったのだが、思いの外大きな寺院だった。山といい、木といい、人間は大きなものに惹かれる生き物なのかもしれなく、またこれは人類共通の価値観なのかもしれないと思った。寺院だけではなく、大小様々なマニ車も置かれている。マニ車とは、お経が彫られた回転する柱のようなものであり、1回転させるごとにお経を1回唱えたことになる便利グッズだ。今回の旅の成功を祈って高速回転させた。徳ポイントが非常にたまった気がする。

寺院には大量の猿が我が物顔で闊歩していた。寺院全体が猿山であり、猿との距離が非常に近かったため、自分も猿になった気持ちになった。ちょうど、バナナが売られていたので、買ってしまう。思えばここ近辺の屋台では大体バナナが置かれている。横を見ると、サンゲもバナナを頬張っている。ここに来ると猿になった気分になって、バナナが欲しくなるのも人類共通の価値観なのかもしれない。

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目はブッダ・アイと呼ばれ、仏様はいつもみているよと言うことらしい

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サルとの距離は近い。

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バナナ売りの少年

引っ掛かり

寺院には、2015年のネパールでの大地震の爪痕がまだ残っていた。いや、寺院だけではなく、カトマンズの中心街ですらレンガの瓦礫がまだある。ネパールの道路は荒れており、至る所で地面が露出している。バイクや車の量がとても多いため、乾季には粉塵が舞い上がり、PM2.5の巣くつと化していた。このことは今後の記事で深く触れたいと思う。

そんな景色を横目に、日頃考えもせず享受していた日本のインフラの恩恵を感じとる。このようなインフラではなく、日本のインフラを享受するためには何円払う意思があるのかと言うような、WTP (Willingness To Pay) のようなことを考えてしまう。おそらく粉塵は肺癌とかの原因になるのだろう。だけど、それを改善する余裕やお金がない。どこから改善をすべきなんだろう。そんな事がずっと頭で回っていたのだが、ふとネパールの人が瓦礫の横で卓球を楽しんでいる風景を見た。貧困、環境、人権、様々な問題は複雑だけど、その時を生きると言うか、人は思った以上にたくましい種なんだろうなと言うか、単純に考えればいいんじゃないかなと、その時思った。

寺院から戻り、明日の荷物の準備をした自分は夕飯に出かけた。早くも日本料理店だ。MOMOTAROと言う料理店には寿司やラーメンと様々な日本料理があった。かっぱ寿司定食なんて誰が食べるんだろうと思いながら、あんかけラーメンを頼む。ラーメンではなく、あんかけ焼きそばが出てきたが、美味しかった。手記を見る限り、寺院から戻ってきた後は昼間に思っていた社会問題についてはなんも考えていなかったと思う。ネパールの社会問題への問題意識より、これから始まるトレッキングへのワクワクの方が高かったからだ。明日はジープでトレッキングスタート地点に向かう。朝が早いためそそくさと準備とチェックアウトの手続きをして、僕は眠りについた。朝と同じく、夜のカトマンズも賑やかだった。

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卓球を楽しむ。あるもので楽しむ。

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MOMOTAROのあんかけラーメン(?)

次回: ジープの旅とトレッキング開始




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