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Mr.D
スラムの中とは思えない、立派な構えの家の門の前に立ち、バックスは一呼吸おいた。
門番はいない。
意を決して門を開き、中庭を通っていく。あたりは静かで、人気がない。
家の中に入る扉にノックする。
「入れ」、と、野太い声が聞こえた。
--黒人少年ギャングのボスか。いったいどんなヤツなんだろう。少なくとも腕っ節はすごいだろう。何かドジったら、帰れんかも知れんな。
覚悟を決めて、バックスは中に
Dr.D Institute
「ふう、暑いな」
日増しにひどくなる日の照りが、容赦なく体を差して皮膚が痛い。それに加えて、止まらない汗が下ろしたてのシャツに染みこんで、体に触れる感覚がヌルヌルして少々気持ちが悪い。
「仕事じゃなかったら、冷えたビールでも飲みたいところだ。」
まだ昼すぎだしな。いや、時間なんて関係ない。ニーズのあるところで商売するのが、マーケティングだろう。禁酒令でもあるまいし、一杯くらいかまわんさ。
バックス