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オードリー・タンさんの「デジタルとAIの未来を語る」の装丁が意図するもの

暑くなったり、寒くなったりと忙しいですが、いかがお過ごしでしょうか?こういう目まぐるしい変化に対応するには、心を落ち着けるために、家にこもってコーヒーを片手にゆっくりと読書が一番ですよね。(この記事は過去に私がお取引先に送ったメルマガを再編集しています)

・・・・・あ、すみません・・・在宅勤務で仕事中でしたw

というわけ(どういうわけ?)で、先日(業務時間外にw)読んだ本が、とても良かったので少しご紹介します。

台湾の新型コロナウイルス感染防止対策で中心的な役割を果たした一人であり、デジタル担当政務委員(日本でいう閣僚)のオードリー・タンさんの「デジタルとAIの未来を語る」です。

複数の企業を立ち上げた起業家、アップル等のIT企業顧問を歴任、ご自身がトランスジェンダーなど経歴、背景だけでも魅力的な方。本の中では新型コロナウイルスへの台湾の取り組み方をはじめとして、分かりやすい言葉で「ツール」としての「デジタル」を語っています。また「デジタル(世代)」と「アナログ(世代)」を繋ぎながら公共の利益のために行動されている姿も印象的で、感性がビシバシと刺激されました。

本の具体的な中身についてはさまざまな方が書かれているため割愛しますが、紙を取り扱う業界の人間として面白いと思ったのが、この「紙の本」の装丁(構造)です。

「カバー」の表表紙は本人の写真をバックに文字の一部が金の箔押し加工をした上質系の「手触りのある」紙。アナログ的です。

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しかしカバーを外すと現れるのが、「つるりとして光沢の強い」両面キャストコートといわれる紙でした。デジタル感たっぷり。

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さらに上の画像のように表表紙・裏表紙(外側)は「白」ですが、見返し(表表紙・裏表紙の内側)は「黒」の光沢のあるキャストコート紙です。

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さらに、見返しの遊び(表紙をめくると出てくる1枚目の紙)もキャストコートで表側は黒の光沢、裏側は白で光沢のない手触りのある紙。これは見返し紙の選択上、結果的にかもしれませんが、面白く仕上がっています。

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そして、著者名やタイトルの書かれた「扉」は手触りのある黒い紙。

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著者ご本人の「アナログ(上質系の紙)⇔デジタル(光沢の強い紙)の往来」「異なるもの(白・黒)から共通する価値を見つけて繋ぎ合わせる、包括する」を表現したデザイン意図を面白く感じました。白と黒での表現は0と1で表す(デジタル的な)プログラム構造も意識しているかもしれません。

正直言えば、私は近接する業界にいたためデザイン意図に着目しましたが、一般的にはその意味するものは伝わらない気もします。それでもこのような構造にしたことに「この本をより多くの人に伝えたい。装丁(本の構造)の意図も分かる人には分かる。その想いは伝わり、広がるはず!」という人への信頼や本気を感じました。とても良い本なので宜しければ、読んでみてください。

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