ダーウィンの呪い 千葉聡著 講談社現代新書(2023年11月発行)
これは「タイトル買い」です。著者が千葉先生ということもあり、なんかまたとんでもないタイトル付けたな、と思って手に取りました。
このタイトルから単純に考えれば
「ダーウィンが放った一言によって、のちの人々がその呪縛にとらわれて困っている」
というものかと思うでしょうが、実際にはまったく逆で、本書の紹介文を引用すると
でした。近そうに見えて実際には逆でしたね。
この紹介文にある3つの呪いについて本書では「誰が」「いつ」「どのような経緯で」世に広めたのかが丁寧に描かれています。
生物学に親しんでいる方々なら、これらの「呪い」と称されるものがおおいなる誤解である、と認識されているでしょうから、ある意味で「バカかお前は」と登場人物に汚い言葉を投げかけたくなります。
かなり「客観的」に読まないと「胸糞悪い」気持ちになるでしょう。
もちらん(たまに、ですが)変な方向に行きかける議論や風潮に「待った!」をかける研究者が登場して、その人をとても応援したくなります。
そしてこの話題には避けて通れない「優生学の悪夢」。もちろん本書でもきちんと説明されています。
そして千葉先生らしい視点で、これから起きるかもしれない危険性についてもやさしく、そして毅然と警告してくれています。
専門用語もそれなりにあって、しかも研究者たちの歴史を紐解いていくので、難解に感じる部分もありますが、一度は目を通しておきたい内容ですね。特に途中で挫折しかかっても最終章は読んでおきましょう。
でも、帯の「絶賛!」はまだしも「興奮!」てどうなんだろう。
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