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話し言葉の書き方(Udemyコース用粗稿)

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Udemyコースにしようと思って書き始めた原稿を特別にnoteで公開します。
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話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)㉙

自分の声で伝えようUT07_01 ここまで、話し言葉と書き言葉の違いをいろいろとお話してきました。 最初にもお話したように、今「話して伝えること」はたいへん注目を浴びています。 ただ、普通にお話をすることに偏っているような気もしますね。 口から先に生まれてきたような人は別にして、普通の人は原稿なしにしゃべるのは結構大変です。 だから話すという場でも、とりあえず原稿を書くというのは、おすすめです。 最後にこれは言っておきたいのです。 「書いた原稿を大事にするな」

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)㉘

プロンプターを使おうUT06_02 プロンプターをご存知でしょうか? 総理大臣や官房長官が記者会見する時に、カメラとの間に透明な板状のものを置いて、話をしているのをテレビなどで見たことはありませんか? あの透明な板がプロンプターです。 カメラ側から見ると透明ですが、話している人の側から見るとそこに原稿が映っているのです。 話に応じて内容もスクロールしていくので、手元の原稿に視線を落とすことなく、前を向いたままで話ができます。 ああいう本格的なプロンプターでなくても

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)㉗

話すのではなく演じようUT06_02 今度は、自分でカメラの前に立って話をしてみた経験からお話ししたいと思います。 話すための原稿を作って、その原稿にもとづいて話をする、というとどうしても「原稿を読む」と思いがちです。 実は、この時に3つの考え方があります。 ひとつめは「原稿を読む」。 ふたつめは「原稿にもとづいて話す」。 そして3つめは「原稿の内容を演じる」という3つです。 原稿を読む まず「原稿を読む」という考え方はよくありません。 よく政府の閣僚などが

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)㉖

いいナレーションとはどんなもの?UT06_01 さて、ここまでは話し言葉を文章として綴ることについてお話をしてきました。 ここからは、少し話し言葉を実際に「声」として届けることについて、少しだけお話しましょう。 ただし、私はナレーションの原稿を書くプロではあっても、それを声にするプロではありません。 最近でこそ、Udemyのような場所で自分自身が話して情報をお届けすることもはじめました。 しかし、以前まではもっぱらプロのナレーターの方に原稿を渡し、声にする部分はお願

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)㉕

いい文章が作れないUT05_04 文章を書くのが苦手、という人の中には 「自分は文章が下手だから」 と思い込んでいる人がいます。 そういう人は「書けるものならこんな文章を書きたい」というお手本のような作家や文筆家がいることもありますね。 相手はプロ中のプロですから、比べると自分の文章が下手くそに思えるわけです。 「いい文章が書けないのなら、いっそ書きたくない」 そんな思いでいる人はちょっともったいないですね。 いい文章を書こう、とするから書けないのかもしれませ

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)㉔

語彙が少ないUT05_04 「ボキャブラリーが少ないから、文章が書けないんだ」 という人がいます。 ボキャブラリーというのは、使える言葉の範囲ですね。 ボキャブラリーは少なくてもかまいません。 話し言葉は日常語をできるだけ使ったほうがよい、とお話しましたね。 だから日常語を使って文章を作っていきましょう。 難しい言葉を知らなくても文章を作っていいんです。 むしろ、そのほうが伝わりやすいんですよ。 文章をすらすら書く人はいろいろと難しい言葉を知っています。

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)㉓

内容が思いつかないUT05_03 「内容が思いつかない」というのは、本当じゃありません。 言いたいことがないのなら、文章を書こうとはしないはずです。 実は「内容がまとまらない」んだと思います。 この点への答えは、シンプルの原則です。 「一文一意」という言葉を思い出してください。 言いたいことひとつだけを、一文に書くんです。 最初は、思いつくままに文章をひとつひとつ書いていきましょう。 文章の順番は後から整えたらいいので、気にせずどんどん書いていくといいでしょう

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)㉒

文章が書きにくい3つの理由UT05_02 「私はどうも文章を書くのが苦手です」 という人がいます。 その人が極端に無口かというとそんなことはなく、話してみると話し好きだったりします。 話し言葉だったら普通に内容を伝えることができるのに、文章は書きにくい。 その理由はなぜでしょうか? 私には3つばかり思いつきます。 「内容が思いつかない」 「語彙、ボキャブラリーが少ない」 「いい文章が作れない」 この3つなんですが、これは全部その人の思い込みです。 なぜな

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)㉑

話し言葉は、わかりやすい書き言葉UT05_01 ここまでお話してきたことを理解していただいた方は、もうわかっておられるでしょう。 話し言葉は書き言葉にも応用ができる、ということを。 書き言葉と話し言葉は、どちらも同じ日本語なんです。 決して別の言葉ではありません。 ここまでお話してきたのは「話し言葉」を「書く」ということです。 それは、極めてわかりやすい書き言葉についての説明でもあります。 最近は、書き言葉で話し言葉のように表現する機会が多いです。 たとえば、

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)⑳

「です・ます」調と「だ・である」調UT05_04 話し言葉の基本は「です・ます」調です。 ナレーションとして考えても、「だ・である」調なのは、カッコつけた感じに聞こえます。 ドラマのドクターXのナレーションとか、「プロフェッショナル仕事の流儀」などのドキュメンタリーのナレーションが思い浮かびます。 どちらも、ちょっとカッコつけたナレーションじゃないですか。 私も、こうしたカッコつけたナレーションを狙って書いたことがあります。 でも9割9分は「です・ます調」で書いて

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)⑲

理解の順番を整理しようUT05_03 書き方のセクションで、文章の分割のしかたに触れました。 複文になってしまっている文章は「で」とか「が」など、接続詞の出てくる部分で単文に分割するとよい、と言いました。 複文は、いくつもの事柄を束にしてどかっと渡して来るイメージです。 受け取った人はそれを解いて、それぞれを理解しないといけないわけです。 それに対して、いくつかの単文に分解された場合は、ひとつひとつ手渡しするイメージです。 受け取った人は、渡された順番にひとつひと

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)⑱

やまと言葉を使おうUT05_02 日本語って複雑です。 というのは、日本語というものは、三重構造になっています。 まあ、外来語というものは、わかりますよね。 近代になって欧米から入ってきた言葉です。 欧米とはそもそも言語がちがいますから、だいたいカタカナで書かれます。 こうした欧米由来の外来語はわかりやすいです。 これに対してもうひとつの外来語ともいえるのが、漢語です。 漢語、漢というのは昔の中国大陸にあった国の名前です。 つまり、中国から伝わってきた言葉で

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)⑰

日常語を使おうUT05_02 じゃあ、話し言葉風に文章を書くには、何に注意をしたらいいのでしょう? 一番気にしたいことは、単語の選び方です。 できるだけ、日常語を使うようにしましょう。 日常語というのは、ふだんご家族と話をするような時に使っている言葉、と思えばいいでしょう。 すごいキャリアをお持ちの専門家であっても、ご家族とは専門用語を使って話をされているわけではない、と思います。 たぶんご家族と話をする時に使う言葉と、仕事の時の言葉は分けて使っているはずです。

話し言葉の書き方(Udemy用粗稿)⑯

書き方⑤ 形容詞は直前に置くUT04_06 形容詞というのは、おわかりですね。 後にくる言葉の状態をあらわす言葉です。 この文章の中では「美しい」という言葉が形容詞です。 ですが、この場合美しいのは「沖縄」なのか「海」なのか、どちらだと思いましたか? 解釈が二通りありえます。 「美しい沖縄」にある海、という解釈。 「沖縄の海」が美しい、という解釈。 日本人なら誰でも、沖縄の海が美しいことは知っていますから、見過ごしてしまいそうです。 でも、たとえば次の文章だ