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電博、はたまた広告代理店の未来(1/2)

じぶんの専門分野は広告であり、就活や転職を考えている方から今後の広告業界どうなるのでしょうか?と質問を頂く機会が多いので、書いてみたい。

結論から言うと、今後数年は特に既存の広告代理業はデジタル化の進化による構造的要因により、厳しい状況になっていくと思われる。

構造的要因としては下記の3つがあげられる。
①TVメディアの相対的なパワーダウンの本格化
②TVバイイングシステムの自動化の推進
③デジタルシフトに対するケイパ不足

そもそも海外の広告エージェンシーを見ていただければわかるが、広告代理業は代理業の名の通りで間に入る付加価値は高くない仕事と思われており、実際給料もそこまで高くない。それが日本において電博をはじめ広告代理店がここまで大きな力を持ったのはTVや新聞等のオールドメディアが寡占状況にあり、そこを徹底的に押さえたことが大きい(俗に言う吉田秀雄モデル)。その圧倒的な競争力を基に高マージンを設定し、そのマージンを前提に様々なマーケティング支援やクリエイティブを無料提供してきたのがこれまでの経緯だった。


これがデジタル化の進展により、一気に力を失いつつあり、構造的に崩れ始めているのが現状だ。
特にTVは代理店にとってドル箱の商品であり、積極的に売りこみ何とか市場を維持してきた。が、資生堂をはじめ広告主サイドが学習を進め、自らデジタルシフトを進める意向を示し始めている。加えて、これまで電博が人力でメディア交渉して枠を抑えていたバイイングが自動化されることで、代理店の交渉力や人間力が活きる部分が相対的に減っていく。こう言う未来が電博の現場でバリバリやっている人に言わせると、後5年くらいでくると思われている。

最後に、上記を読んで、それなら電博も圧倒的なネットワークや資金を使って、デジタルシフトをすれば良いのではと思うかもしれない。しかし、それが出来ない(少なくとも広告領域では)のが現状だ。ここは何個か理由があるが、まずデジタル広告はマージン率が圧倒的に低い、そのわりに手間や工数がTV等のオフラインと比較してかかる。加えて、人材的にもデジタル広告に強い人材の層がそこまで厚くないという問題がある。
そんなこんなをしている間に電博がサイバーエージェント等の専業デジタル広告代理店にノウハウやスキルのレベルでもう取り返せないレベルで大きく差を付けられてしまった。電通や博報堂は様々な専業代理店を取り込んでいるが、なかなかCAとの差を埋めるのは難しいというのが現状だ。
またそれなら広告領域以外となるが、それに関してもエンジニアはいないし、クリエイティブも必ずしも体験設計やそれを基にプロダクトへ落とし込める訳ではなく、デジタル系のケイパが社内に圧倒的に足りない状況になっている。。

このような苦しい状況にある電博がどのような挽回策を考えているのかを次回記載してみたい。

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