【短編小説】買って帰って食べるだけのことなのに。
去年の冬のことだ。
いつもの時間、いつもの帰り道。
いつも通りの場所のはずが、私の目に留まった一つの自動販売機。
赤を基調とした鮮やかな色彩にインパクトのある文字。
『自宅でお店のラーメンの味が楽しめる・・だと・・』
気付けば私は財布を取り出していた。
この高揚感は少年に戻ったようだった。
新しいゲームソフトを買ってもらい、
帰りの車で意味のない説明書を読んでいる時の、あのワクワク感があった。
『1000円か、、』
しかしながらなかなかの金額だった。
そう。お小遣いが60