2015.9.1 「共有できません」

 このところ饒舌な母は、ヘルパーによる介助方法の違いについて不満を訴えていた。介助方法が違うと、少ない力をどこに集めてよいかわからないし、痛みが出ることがあると。

 その日のヘルパーは介助がとても上手な方だった。全てが丁寧なのだ。ひとつの動きの前に、母に何をするか伝える。ひとつ動くごとに、母の姿勢を確認し、整える。一見、時間がかかるようだが、痛みがなく、動いたあとの姿勢が安定しているため、次の動きにスムーズに移れる。食事や排泄にも好い影響が出る。トータルでかかる時間は少ないのではないだろうか。

 ヘルパーと母に許可をとって、動画撮影し、ケアマネジャーに送った。「全ての事業者で共有して、介助方法を統一してほしい」と。しかしそれは叶わなかった。理由は個人情報保護だという。次善の策として、口頭での伝達を提案くださったが、成果を得るのは難しいだろう。 

 母の不満を解消できないことも、高い技術が評価されない業界の仕組みも、残念だと思った。