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20221203『THE FIRST SLAM DUNK』

ネタバレありの感想になります。
寝不足のまま映画を見て興奮状態に突入したまま書き殴ったので全然まとまってないですが、この気持ちを忘れないために残します。

マジでとんでもない映画がこの世に誕生してしまいましたね……。公開前から色々とボロクソに言われてきたし、実際にプロモーションが……と思うところもあったけど、COURT SIDEとかを読んで「"今の井上監督のスラムダンク"をスタッフがここまでして引き出そうとしてるんだ。絶対すごいものを見せてくれる」と信じて今日の公開を待っていて本当に良かった。色々な意見とか感想があると思うけど、自分としては、バスケシーンに、ストーリーに、全てに惹き込まれた、めちゃくちゃ嬉しい映画でした。ブラボー!!!

バスケシーン、破茶滅茶にこだわっていただけあって、マジで本物のバスケの試合を色々なカメラワークで見ているように感じたといっても過言ではないくらいすごかった。原作で描かれていた山王戦のプレーはもちろんなんだけど、マンガのコマに描かれているプレーに至るまでの流れや(例えば三井が3Pを打つまでに赤木がスクリーンをかけるシーン)、コマとコマの間にある描かれていないプレー(例えば得点後のエンドスローイン)が描かれ続けていたことによって、試合展開がブツ切りになっていなかったことが、実際の試合を見ているような感覚を生み出すことに大きく貢献しているように感じましたね。そして、さすがプロバスケ選手を起用してモーションを撮っているだけあって、一つ一つのプレーのリアルさも半端なかった。さっきも挙げた、赤木のスクリーンから三井が3Pを打つシーンとかマジで鳥肌モン。だって、赤木がスクリーンをちゃんと2回かけてる=かけ直してるの、ヤバいよ。実際の試合では普通のことなんだけど、やっぱりアニメに"スクリーン"を落とし込むと、バチッとスクリーンに引っかかるシーンしか描かれないことが殆どで、“スクリーンのかけ直し”は少なくとも自分は見たことなかったし、こんなリアルなスクリーンプレーは、この映画じゃなかったら見ることができないモノだったなぁと、映画全編の中でもかなり鮮明に覚えている印象的なシーンでした。

ストーリーは、山王戦を”土台”とした、リョータの話。リョータが物理的にも精神的にも"大きなもの"と戦い続ける、そんな新しい話。名言とされるセリフや名シーンもカットされていたり、リョータをはじめとした各キャラの回想が試合途中に差し込まれていたので、あくまでも山王戦は話の"土台"なんですよね。”原作をなぞって山王戦を描いていた"ものではないから、この映画に"原作の山王戦"を期待していた人にとっては不満だったかもしれないけど、山王戦をこんな風に"使える"のも、またスラムダンクなんですよね。これが新しいスラムダンクなんだなと。山王戦の使い方に関しては、もう驚きしかなかったです……。

でもでも、山王戦が使われていると言っても、ただただ"雑"に扱われているワケでは全くないし、山王戦でなければならないことも見える内容だった。山王戦という”土台”は、赤木と木暮が築いてきた"湘北の土台"と同じくらいしっかりしていて、そして濃い。だからこそ、リョータのストーリーを新しく付与ことができる。リョータ(とソータ)が持っていた週バス、赤木も持っていたやつだよね……とか、新しく描かれた部分で色々と気づくシーンもあったとは思うんだけど、それは全部、お客さんの中に山王戦が生きているから実現できたこと、それくらい原作読者の中に山王戦が刻まれている。そして、それくらい刻まれているからこそ、"宮城リョータ用"の山王戦に変化させることができる。変化というのはアングル、視点の問題で、リョータの話に矢沢と安西先生の話は厳しく言えば必要がない、みたいな。そうやって変化させつつ、新しく描かれた過去を織り交ぜながら山王戦を「宮城リョータが"大きいもの"に立ち向かっていく話の、ひとつのゴール・節目」として描いていたし、沢北という、どデカい相手とアメリカでマッチアップする新しい結末に繋げる役割を担っていた。このシーンがない、あのシーンがない、こんな山王戦は……みたいな話も分かるけど、そうじゃない。これは山王戦なんだけど、”原作で描かれた山王戦”ではない。新しいアングルから切り取られた、新しい山王戦。でもこの話は、"原作で描かれた山王戦"がなければ成り立たない。このあたりは自分の中でも上手くまとまってないのだけれど……そういう印象を強く受けたし、もうただただすごいと感じましたね。

また、少し別の角度から見ると、この映画が山王戦が描かれた理由が見えてくると思う。小さい(小さかった)宮城が、大きなものと立ち向かい戦い続ける話。藤間に牧、深津と、デカいやつとのマッチアップは原作でもたくさん描かれていたのに、さらに新しい話が出てきて、デカいやつとのマッチアップにとんでもなく深い背景を持たせた上で、最終的に沢北とマッチアップするのは、もうこれしかないだろ!って感じだった。ミニバスの相手、公園で1on1した三井、三井軍団とのケンカ、山王工業と日本No. 1ガードの深津。そして、期待も身体もデカかった兄のソータ、そのソータの死によって生まれてしまった母との大きな溝。これらと向き合い戦い続けたその先にいるのが、「負けた」という財産を手に入れて更に強くなったPGの沢北。沢北がアメリカに渡ってPGの役割もこなすようになる、というのは海外での日本人選手の試行錯誤の結果として納得しかない(八村や渡邊が外のシュートを武器として会得したように)し、日本No.1ガートの深津のその先にいる存在としても、誰かも分からんポッと出の外国人とかじゃ面白くないし浅すぎる。こうなるともう、必然的と言ってもいいほど、リョータのマッチアップの相手は日本一の高校生プレイヤーだった沢北しかいないんですよね。そして、この結末から色々と掘っていくと、沢北の成長も描かなければならないから山王戦になるワケだし、その山王戦に大きな意味を持たせるためにも、リョータにとっても母にとっても大きな存在だったソータが「勝つ!」と語ったのが山王工業になるワケだし、その大きな存在だったソータが語った山王工業との舞台に立てるまで大きくなり、母とも向き合えるまでに成長した、というリョータの成長過程のゴール・節目としての山王戦でもあるし、そうなると必然的に亡きソータのことを忘れられずリョータと向き合えなかった母がリョータと向き合う大きな転機になるのも山王戦になるワケで。リョータの物語を描くにあたって、山王戦でなければならなかった理由、というのが結末から次々と見えてきて、全てが繋がってくるように思えたんですよ。もちろん全部を拾えてるとは思ってないし、拾いきれてない部分の方が多いとも思うし、ただの思い込みかもしれないけど、自分が覚えてる限りの多くのものが映画の中で、まるで必然かのように、最初から最後までめちゃくちゃ納得できる形で描かれていたように思いました。

なので個人的には、映像的にもストーリー的にも、もう文句のつけようがない、本当に新しい、”初めて見るスラムダンク”というのが、この映画には詰まっていたように思います。スーパーウルトラハイパーミラクルブラボーフィルムです。

でも、スラムダンクはビックコンテンツすぎるので、ファンひとりひとりが作品に対して色々な想いを抱いているのは忘れてはいけないし、この映画に対する色々な意見も否定するつもりは1ミリもない。だけど少しでも「井上雄彦が創るスラムダンク」が好きなのであれば、この映画に向き合ってみて欲しい。見ないなんてもったいない。ありきたりではあるけど、そう思える作品でした。

個人的には、感想ブログとか書くのが苦手で、いつも文字として何かを残すことから逃げがちな自分が、まとまってなくても、どんな形でもいいから文字として感想を残したいと思って、ここまで色々と書いてきたくらい惹き込まれた、とんでもなく大好きな映画になりました。絶対また見に行きます。

最後にどうでもいいことを。
春子ちゃんも彩子さんも、ちょろっと映ってた藤井さんも、めっちゃ可愛くなかった!????
新しい初めて見るスラムダンク、最高!!!
萌えに知見のあるスラムダンクファンのオタクさんのご意見、お待ちしております。

おわり

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