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探してた短歌が見つかった





ずっと探していた短歌をやっと見つけ出した。

ドリンクバーのコーラは薄し 恋人が気になる男の話をしだす

笹公人『念力レストラン』より


これだー!

部屋の掃除をしていたら、読んだ歌集の特に好きだった歌を溜めていた4年前くらいのファイルを見つけて、もしやと覗いて見たらいた。かなり気持ちがいい。笹公人さんな気はしていたんだけど、該当の歌集が図書館になく、買うのも後回しにしてしまっていた。

短歌を読んで気になること、2点。

①恋人の「気になる男」は、身近な人間か芸能人か。
②どうして恋人に対して「気になる男」の話をしたのか。

そして確実に読み取れるのは、彼(恋人の性別がどうだったとしても書き手は彼ではないかと思った。女性だったら解釈が変わるのかもしれない。今回は書き手・男性/恋人・女性だと思って進める)は関係の弱い立場(より惚れている方)にいるということ。

「気になる男」が身近な人間か芸能人かで、真逆の読み味になるのがおもしろい。いや、芸能人だとしても他に好きな人間がいるということが嫌な人もいたりするんだろうか。身近な人間だとして、僕と君の共通の知り合いか君だけの知り合いかもわからない。

どうしてわざわざ気になる男の話を恋人の前でしたりするんだろうと思ったけど、たぶん恋人は「気になる男の話をしていることに気づいていない」んじゃないかと思う。彼女のことがだいすきな僕が、僕ではない男の話をたのしそうにする恋人の顔を見て、ああいまはその人のことが気になっているんだなあと理解する、ファミレス。
たしかに、恋人が気になる男の話をし出すなら、ファミレスのような気がする。

わたしはこの短歌を、当時(ツイートの時期ではない)いいなと思っていた人が身近な女性の話をしている顔を見てあ、好きなんだって胸がぎゅっとした時に、なんかこんな短歌あったよな… と思い出したので、こういう風に読んだけど、全然違う意味合いだったらそれもおもしろい。
胸がぎゅっとした時にただ落ち込むのではなく、こんな短歌あったなと思えるわたしはチャーミングで好きだ。

もしほんとにその相手と十年とか二十年一緒にやっていくとしたら、気になる人の話くらいできた方がいいんだろうと思う。気になる人の話を聞いてあげられるのは、疑わずにいられるとき、相手の中でじぶんが不動の一番であると確信できているときだけだから、そんな相手と巡り合えたら。
なんて書いてみたが、ほんとうにそう思っているのかはわからない。別に出会いたくないかもしれない。

友人の結婚が続いたり、身近でカップルが生まれていたりして嫌でも(全く嫌ではない、恋の話は楽しい)恋愛のことを考える時間が増えたが、わたしにはやっぱりなにもわからない。便宜上、傾向として「背が低い人が好き」とか言うことはあっても、背が高いだけで人を嫌いにはならない。背が高い人を好きになることもあるのかもしれないと思う。わからないから、気持ちに正直に向き合っていくしかない。そういうのって自然にしていれば、その人のことを考えたり、連絡を取りたくなったり、会いたくなったりしちゃうはずだから。とかは、少女漫画脳すぎるだろうか。

コーラが薄いなって思ってる時点で、彼自身も話をあまり真面目には聞いていないのかもしれないと思った。


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