あったかい空間体験。『死んだけどあのね展』
足を止めて下さった方によって、展示会の雰囲気や作品との鑑賞方法が変わる。
カップル同士で手を繋ぎながら、同じ死別物語を読んでいたり。
一緒に来た友達がこの話おすすめだよって、隣の友達に渡していたり。
子供が、「このわんこの死別物語ママいいんじゃない〜?」ってお母さんに渡していたり。
様々な鑑賞者の姿を見て、『死んだけどあのね展』をして良かったなと、改めて思いました。そして、4月4日をもって無事に終了することができました。ありがとうございます。
そして、みなさんが、この展示に足を運んで下さったおかげで、学べたことが沢山ありました。私が学べたことを伝えることによって、この展示の時に自分の悲しみを吐露してくださった方々などに、少しでも恩返しができたらなと思っています。このnoteの他にも記事を書いているので、お時間があったら読んでみてください。
4月5日 展示会最終日 14時45分
私のSNSを見て、展示行きますと連絡をしてくれた同じ大学の子がいた。
一度も面識がないし、どんな人生を送ってきた人なのかわからない。
初めて見た彼女は、満面の笑みで「初めまして!」って挨拶をしてくれた。
そして、「死んだけどあのね展の告知を見て、すごく来たかったんだよね。久しぶりに渋谷に来た!」と話してくれた。
彼女が作品の一つを手にとってしばらくした時、
「きくちゃん(私)がお母さんを亡くした時に、自分も脳出血して左半身麻痺してさ。なんか、悲しみって1つじゃないし、乗り越え方もいくつもあるよねっていう言葉にすごく共感できたんだよね。」
って泣きながら話してくれた。
すると、同じ空間にいた鑑賞者の方とプロジェクトメンバーが彼女の近くに寄って、背中をさすって、みんなが彼女の抱えていた悲しみに寄り添っていた。
彼女からはメッセージとして、
こんなことを送ってくれた。
この展示を企画している中で、鑑賞者同士だったり、メンバーと鑑賞者の間での交流は全く考えていなかった。本当に奇跡的な出会いが生み出した、あったかい空間だった。
私のプロジェクトメンバーは、愛を沢山持っていて、誰にでも同じように優しさを与えることができる。このメンバーでプロジェクトを動かして良かったなと思ったし、鑑賞者同士でも心理的安全性を保てる空間を作り出せたのは良かったと思う。
人間の持つ優しい愛がこんなにも視覚的に見えた瞬間は、本当に本当に美しかった。これがパーソナル的な空間だったり、違うメディアを利用した発信だったら、生まれなかった体験だったと思う。
100人いたら100人の悲しみがある。
今回の展示には、300人以上の方が足を止めて作品を見ていただきました。
すぐに心のページが開かなくても、いつかこの展示を思い出してくれますように。みんな大丈夫だよ、頑張らなくて。少しずつ、ゆっくりね。