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マルタでだるまはどうでSHOW!

 2022年あの夏の3ヶ月間は、私の人生の中で最も濃厚な期間であったかもしれない。すべては駄洒落から始まった。2021年3月世界を巡る旅へと退職。コロナウイルス蔓延の為、日本旅を経て海外渡航のタイミングをみていた。2022年4月、退職時に同僚が言っていた「マルタは行けるらしいよ」奇しくも前職の社会福祉法人で最後に所属していた事業所で”だるま”を製造していた。60年の歴史があり、材質は近隣の老舗ケーキ店から紙製の卵パックを頂き、資源の活用。SDGsの名称が出る前から長年に渡り実施し、流れ作業で紙を加工しだるまへと成型していた。利用者さんに適材適所に作業を分けたり、工程を作り皆で一つ一つを制作していく。縁と繋がりに「マルタ、だるま、マルタ、だるま」駄洒落も絡めて日本の伝統工芸で縁起物の、DARUMAを広めたら面白いのでは?突如何か舞い降りたかのように閃く。マルタの印象は海好きにはたまらない国だなとテレビ(世界さま~リゾートなど)で見惚れてはいた。ガイドブックもあまり出版されていないので、情報が少ないのが逆に魅力的。首都が世界遺産でとても美しく、気になっている国ではあった。また日本人の英語語学留学先でフィリピンのセブ島に次ぎ、じわじわと人気が出ているのを知り、イギリス領の歴史からヨーロッパで公用語が英語という点にも注目。社会人の友人が休暇の合間に留学した話を聞き、短期から長期まで世界中から人が訪れるようだ。
 さてどのようにマルタでだるまを広めるか。周りの方々を御巻き込みし自分では思い付かないアイデアや、予期せぬ化学反応のようなユニークさ、ミッションのように義務を持つのは面白いのではないかと頭に浮かぶ。所属するコミュニティで、だるまブレスト会を開催することとなった。タイトルの「マルタでだるまはどうでSHOW!」は「しょう」はテレビ番組、水曜どうでしょうを彷彿とさせるが、海外で「見せる」まさにSHOW!ショータイム。会ではお力添えや新たなアイデアが出た。一人で考えていたら、良くも悪くも凝り固まったアイデア止まり。義務でもないしと、案自体が宙ぶらりんにも成りかねない。些細な思いつきに乗って下さる方や酔狂な方々には有り難く、なんだか面白くなってきた。終了後、渡航までの準備を始める。マッチ売りの少女ならぬ、だるま広めの五黄の寅女。人との繋がりが生まれる、リアルストーリーができそうだ。

だるまアイデアmission
①マルタ観光局
 15回ほどマルタへ行ったことがある局員さん。現地にお詳しく情報をお聞きし、質問にもお応え頂く。現在は完全ノーマスク、自主防衛や対策は忘れずに。人口の倍近くの猫が住むとされ、通称猫の島とも呼ばれるとのこと。
②岡山県倉敷市玉島だるま
 倉敷の美観地区にありブレスト会にて以前旅先で購入した方の話に、即座にその場に参加されたゴーストメッセンジャー様が店舗と連絡を取って下さり上陸。顔なし無地1号サイズを購入し、後述のBTSだるまへと変身。
③備前焼
 岡山・備前にて、友人のご紹介で伺った。工房内も見学させて頂く。備前焼は焼き物のなかでも1000度の低温、10日間ほどゆっくりじっくり焼くのが特徴とのこと。製法から落としても割れにくく、強固な仕上がりでとっても素敵な品々。なんとお猪口にだるまがスッポリ。土のぬくもりを感じながら、和の心をお伝え編はどうでSHOW。
④留学エージェント
 様々な経験を得たいと観光ビザ内の3ヶ月間のヨーロッパ滞在。エージェントを探し1ヶ月は国際交流や海外生活、英語力向上に留学。だるまを広めることにいきなり街中に行くのは、イメージが付きにくい。スクールやフラットで友人を作り、現地の生活に馴染んでいった方が幅も広がりそうだ。2ヶ月間は念願の海外地中海のへそと呼ばれる、利便性の位置にあるマルタを起点に隣国を旅する事とした。
⑤持参するだるま準備
 後述のcommunication&toyだるマルタ(国旗柄)を前職から特注。BTSだるまは韓国アイドルグループのファンである妹分の友人がオリジナルペイント。2018年BTSはマルタを訪れ、彼らの毎年恒例の旅行 - Bon Voyageシーズン3-を撮影したとのこと。フランス語でBon Voyageは旅の意なこともあり、共にロケ地などを巡ろう。Messengerだるま各種を友人らに書いてもらい、ミッションインポッシブルとは過言だがメッセージを込めて託されただるま。私が渡す対象者を探し、だるまを介してお互い知らない会ったことがない、両者を結ぶだるま。いつかどこかで会えたら、そんなワクワクを想像しながら。あとoriginalpaint用に白塗りだるまをネット注文。

 2022年5月マルタへ向け出発の日がやってきた。数年ぶりの成田空港。電光掲示板を見ると、心が騒つくのを思い出す。行ってマルタります、身体はだるまにならないよう気をつけます。いざ搭乗。トータルは22時間のフライト予定で過去最長だ。エミレーツ航空の機内は夜発なのもあり、薄暗さの中に天井に星があり、まるでプラネタリウム。久方ぶりの飛行も、空飛ぶ絨毯でアラビアンナイトの世界へと夢かうつつか。興奮のままに機内食も運ばれ、ワインで旅立ちに乾杯。旅の幕開けを実感する。まずは経由地ドバイ、そして途中に機内待機の経由地キプロスへ。上空からは街並みに海のブルー。いつか降りて訪れてみたいと思う美しさであった。45分程待機し離陸、ついにマルタへ到着。降り立つとカラッとした暑さに太陽ギラギラ、Bongu!(マルタ語でこんにちは)空港では恐る恐るであるがもう外していいんだと、no maskの世界。興奮のままタクシーに乗り、市街へと向かった。その日は宿泊先周りを散歩し、空気に触れながら念願のマルタを噛み締め、夜景に浸り眠りに付いた。スクール初日、最初に驚いたのがマルタに集まる人々。東京都のわずか半分ほどの面積しかない小さな島国に、近隣のヨーロッパだけでなく、アフリカや南米など世界各地にバックグラウンドを持つ留学生が溢れていた。さらには学生や社会人に限らずリタイア後の夫婦までが、同じ留学生として集う。スクールの受け入れ幅が広いため留学期間も人それぞれで、多忙な社会人でも休暇を利用して留学ができる。プロフィールに関係なく、誰でもどの段階からでも学習できる、そんな多様性を受け入れる土壌が整っているのが、とても印象的。

だるまmission&episode
 マルタ生活にも慣れ始め、いよいよ”マルタでだるまはどうでshow!”を始動。「だるまは普及、えがおは波及」をモットーに3本柱で広める。売りつけと思われぬよう手短に、爆弾と思われぬよう気を付けて。
①communication&toy
 どこでもだるまと言えるくらいに、多くの方と写真を撮ったり実物を見せることでだるまの存在が伝わる。言葉がなかなか話せなくても、交流ツールとなった。こちらの一つ、二つパターンのアプローチに十人十色のリアクションをして下さる。手に取り転がそうとしたり時にはバーに訪れた際、ビリヤードの球にダルマを混ぜたりと玩具としても存在感を示す。耳当てにし卑弥呼様!と言わんばかりのフォルム。積み木にしたりとこちらのワンパターンなアクションに、様々なリアクションを返してくれるのが楽しい。相手も自国のラッキーチャームはなんだろうと思い返したり、調べたりされる事もあった。(例えばアメリカはうさぎの尻尾がラッカーチャームらしい、何度か訪れているアメリカだが知らなかった)延べ50人ぐらいには普及できただろうかリアルで直で会うのが難しくなった時代。それ以前からリアルが好きな私にとってその場で笑顔も見れたことが最高に嬉しい。現在はネットに1枚の写真をあげてそれを万人の人が見ることができる。でも私は一人一人対面で向き合うことが好き。
②messenger
 ミッションインポッシブル”とは過言ですが、メッセージを込めて託されただるま。私が渡す対象者を探し、だるまを介してお互い知らない会ったことがない、両者を結ぶだるま。いつかどこかで会えたら、そんなワクワクを想像しながら。元職場先輩からの和紙貼りだるまは、早速バーで出会った日本語のタトゥーを入れているブルガリア女性へ。
③original paint
 出会う方、ひとり一人に自分だけのオリジナルで自由に絵付を楽しみ、プレゼントする。だるまとはざっくりの説明(英文の手書き紙説明書きを見せて願いを込めて左目を入れ、叶ったら右目を入れる。色により意味があり、例えば金は金運上昇など)各自の趣向や国籍柄も表現されて一つ一つがなんとも独創的。私は様子を見ながら、その方のお名前に充てる漢字を考える。人柄や雰囲気を感じ取り、当て字になることもあったが、なるべくご本人にも意味を伝え、記入させてもらうようにした。

・記念すべき1人目フラットメイトのコロンビア出身キャロライン。
that's so good!と彼女は爽快に絵付をスタートしてくれた。コロンビアの縁起物を見たり、音楽を聴きながら。お互いの文化や好きな物事を話す。2日前にフラットのリビングにてレジェンド級サイズのゴキブリが出現。彼女が言うDont’worry!にはとても包容力がある。イントネーションやニュアンス。意味が増すくらいに感じる。それが真の言語だろう。
∧←無数に描かれたマークは、彼女が好きな映画〝リメンバー・ミー”に出演するキャラクターの鼻の形とのこと。私は漢字で彼女の人柄を現す文字を込めて、”伽路楽音”と記入させてもらい、意味を伝えた。彼女は音楽が好きでいつも陽気、自分の路を進む方。女性に使用することが多い伽は「人と「加」を合わせた字で話し相手になることや優しさを表す字。私自身も離れていた漢字の勉強となり、また日本語の素晴らしさを振り返るいい機会となった。一人目が彼女で本当にうれしくたのしい時間となった。

・ クリーニングスタッフのネパールの方
 フラットに週1回クリーニングに来て下さる業者の方。毎週来る方が異なるが、この日一仕事を終えリビングで休憩しているところ、お話しさせて頂いた。快く筆を取り始め、ネパールは仏像が多い。特徴を表すかのようにゴールドに塗り、頭部を大仏の螺髪にしたかったようだがなかなか難しい。ご本人に似た柔和な表情のだるまが描かれプラディルさん”譜楽寧留”と名入れ。

・ バー常連&店員2名白塗り渡す
 カウンターに一人飲みに来ていた常連さんのレッデントさん。バーでだるまはと勢いと試みであったが、話かけ説明するなり相槌と共に聞いて下さった。紙の説明書にも目を通し、見ながら筆を進め始めた。色使いも細かく5色ほどの多色使いで見る側も楽しい。緑とゴールドを広範囲に赤目のだるまに力強さもあった。席は隣に列となり、私の説明もどうにか伝わったか、受け取ろうとして下さる振る舞いが嬉しかった。レッデントさん”列伝士”と名入れ。仕事中の店員さんには時間がある時にと、白塗りをお渡しした。

・ クラスメイト8名
 スクールのクラスでは1ヶ月の留学で最後の週、先生に話し有難いことにレッスン前、クラスの皆さんにダルマペイントの時間を頂いた。20歳のコロンビア・アルフレッド”有歩赤”。クラスメイトのリビアの方とはスクール卒業後も時折連絡を取り、「japanese daruma girl」と「リビアおじ(私より年齢がだいぶ上なので)」と呼び合ったりしている。他のクラスメイトはタラン”太嵐”。ファドル”風和道留”。タティアナ”樹千亜南”。ナビル”那陽流”。クリスティン”紅莉栖天”。ダイアン”大亜弐”。ファビル”風和麦酒”。

・ルームメイト2名
 20歳でまだ若く、最初はあまり気が進まないような反応で、なんだか時間も申し訳ないなとも思っていたところ。書き始めると扇風機で乾かしたり2度塗りも、一番ハマっているように見えたイディリス”虎杜琳寿”。隣ではアクリルガッシュを指で描く、ホワン”保安”。

・アラブの涙となったチュニジア
 1ヶ月のマルタ生活の終盤に、2ヶ月間のヨーロッパ旅プランを計画し始める。当初はすべてマルタで絵付やメッセンジャーだるまを渡し、完結と決めていた。思っていた以上に交流ツールとなるし、まだ手元に12個ある。まずはチュニジアへ荷物にならないよう、白塗り2個を持っていくことにした。「続編~世界でだるまはどうでSHOW!」とでも名付けておこう。
 宿泊先近くのギャラリーへ、はじめに拙い説明にいつものカンペ。だがアラビア語とフランス語が主のチュニジア。wifiもないので片手にgoogle翻訳が使えない。アナログ、bodylanguageはどこまで通用するか自分を試す機会でもある。親子がいるギャラリー、自前の絵の具やチョークにスポンジも。娘さんは不思議そうな表情から徐々に筆が進み、向かい合うお父さんの様子を所々見ながら、オリジナル性に溢れる。途中紙で仰ぎ乾かしながら、リラックスしてきたようで笑顔を見せてくれた。ふとお二人の様子を見ながら、この1ヶ月が脳内でリプレイした。一人一人の姿を思い出し、自然とニヤけてしまう。こうして国境を越えて、今ここにいる。この流れは偶然か必然か、御縁が自分にはしっくりとする。目の前にいる親子の姿にただ感動してしまった。嬉しいことがあると人は素直になるのだろう。浸っているうちに絵付は進み、娘さんは顔の表情を塗り直したり、鮮やかなドットカラー。お名前の”堂和亜”を書かせてもらった。お父さんはチュニジアングリーンから、なんと白塗り。斬新さから色が浮き出て、好きなエンジェルの羽。チュニジアの国旗にファティマの手、名産オリーブ。ご自身で以前知ったという漢字も記入された。最後にありがとうの伝え合いと連絡先を交換し、記念写真。だるまを部屋に飾って下さった。バイバイとまた会いましょう。チュニジアの国旗は三日月と星であるが、よく見ると満月に囲まれている。だるまの形は円で縁となり、今日は満月。嬉しさに眠れぬ夜となった。

 その後ヨーロッパ旅はスケジュール的に詰めつめであった為、友人がいるドイツ・ベルリンにて絵付けをしてもらっただけとなったが、どこでもだるまの如く旅のお供にフォトは撮り続けた。ポーランドでは駅に向かう道中、広場にて少年達と目が合い、思わず微笑む。なんだか無性にふれあいたくなり、ただ時間はあまりない。手短に一緒にだるまと撮影し少年よ、大志をありがとう!世界中で混乱も落ち着かない日々にも、日常に安らぎと繋がりを感じさせてくれるsmile。リアルっていいな、またパワーをもらった。だから先へ進める。不思議なアジアのおばちゃんに話しかけられても、動じない少年たちよ。ふむふむ、ポーズは握り拳に親指を立てたグッ!おかげで私も大志を抱けそう!

・マルタでだるまはどうでSHOW~深夜にナンパはしてないでせう~
 落とし物からこうなるとは。そんなんある話だっちゃ、ではそれまでだが厄年寅女には沁みたのである。マルタステイもラスト1週間。国民的ビールCISKを飲みながら、海沿いのベンチにて夜風と景色に浸っていた。ふと左耳に手を当てるとピアスが、ないっ!チェコで購入し、作り手の方が素敵であったことを即座に思い出す。対した移動距離はないので足跡を辿る。1周し、うーむ見当たらない。2周目で見つからなかったら暗いし、明日の朝探そう。すると近くのベンチで休んでいた青年がWhat happened?と声をかけてくれた。
探し物はなんですか~?
Dropped earrings.
見つけにくい物ですと~。
ステイ先は近いし明日の朝探すから大丈夫です、ありがとうと伝える。するとどんな形?どのあたり?高価な物?など質問されながら、一緒に携帯で明かりを照らし捜索開始。「Where are you from?」海外の方とはこの一文からコミュニケーションを取る事が多い。セルビアの彼、ジャパンの私。「ジャパン!好きなアニメがあるよ、ドラゴンボール!」おぉっ!おらっ悟空などなど話が弾む。彼の上半身は美しく鍛えられていて、トレーニング後の一休みだったのか。何かスポーツしてるの?と尋ねると、フットボール!海沿いの鉄棒エリアを利用後で、マルタのセミプロリーグに所属しているとのこと。話をしながら探す姿に、優しさとありがたさと申し訳なさとで切り上げようと伝える。「thank you!」に対して、日本語は「ありがとうでしょ!」とお得意げに返してくれた。ドラゴンボールにフットボール。ボール、丸、脳裏にだるまが登場。ベンチへ戻る彼を見送るはずが、まだここにいるかな?5分、いやっ3分で戻るから少しだけ時間ある?と伝えるとok!
 ダッシュでステイ先へ、白塗りと私自身がペイントしたドラえもんを持ち、カムバック。夜も更けるので、手短を念頭に。ドラえもんは知らないようだ。他の方のだるまペイントの様子写真を見せて、だるま説明カンペを差し出す。暗いのでもしよかったら、時間あるときにオリジナルでペイントしてみてねとお渡し。自分では描かないの?と言われ、私は一人一人のオリジナルを描いている様子を見るのがとても好きなのと伝えた。ドラゴンボールからお互いの国のスポーツ、私がなぜマルタに来たのかなど会話のキャッチボールもしつつ、そうえば君の名は?と尋ねるとogiさん。年齢は?若いと思っていたが18歳だった。名前はよく漢字に変換し記入させてもらっているが、無性に書きたい衝動に駆られた。
街灯で照らされた明かりでogi”扇”。ドラゴンボールの星を書かせて頂く。左目入れはご自身で。扇の意味は末広とも言えるし、開いた時に先端が広がる。これから世界へ羽ばたく彼にぴったりだと思う。ドラゴンボールのマークの星も、まさにスターだ。会うべく人とは御縁で、いつかどこかで会えるかもしれない。予定調和のない次のリアルを楽しみに、心から彼の活躍を願い、世界のどこかで。全身で夢を応援します。余談でドラゴンボールのポタラは、界王神が持っている1対のイヤリングを、2人の戦士が身に着けることで行う合体がある。落とし物がピアスであったのはたまたま。フュージョンしたいのではないよ、とお言付けしたい。
 翌日宿泊先のベランダで出会ったゲストさんにペイントしてもらう。日本の漫画話をしながらピエール”陽恵留”、アリジー”有路”、クリスチャン”栗西荘”の3名。

messengerだるまの嫁ぎ先
カラフル:元職場先輩からあなたの願いが叶いますように。
→マルタの父こと酒場で仲良くなったアンドロ”安堵呂”。
ブルー:とある殿方より、誰もがみんなハッピーに!「~ゾウ」、もしくは「スズキ」に似た名の方へ。
→何度かご一緒させて頂いた、朝トレーニングのシブイケな隊長にお渡し。クリスさんで3文字の似つかわしい名。Everyone  is happy!とご一読して下さった。
ゴールド:よく宿泊させて頂く愛猫がいて、日本のサンセバスチャンこと美食のお宅。青い目が素敵な、いつか誰かがM邸行きのチケット猫耳だるま。
イエロー:パンマダムより、パン好きパン名人に出会えたらいいなと。マルタはリコッタチーズや豆を詰めた惣菜パイのようなパスティッツィが名物。街中はパスティッツィだらけだが、breadをパンパン探しに行く。
→バーの隣で出会ったフィリピンご出身のRegineさん(ゴールド)Joyさん(イエロー)久々にアジアの方とばったり。以前2度訪れたことがある(マニラとセブ島)フィリピンのお話から今のマルタステイについて。パン好き、いつか日本に行きたい、海も。これはドンピシャ。あまり飲まないspritz。ほろ酔いと眠気でさらにカタコトになってしまったが、いつか再会しましょう。
ピンク:地元の親友より、彼女は今幼い子供がおりなかなか旅行にいけない為、「私を旅行に連れてって~」と背面に「traveling with me」と記入。旅好きの仲良くしたいなと思った方へ、一緒に旅をしてもらえたら嬉しい!との想いを込めた分身だるま。いつかどこかで会えたら、そんなワクワクを想像しながら。
→バーで出会ったマルチーズ女性のリズ里寿。旅好きで日本にも行ってみたいようだ。
レッド:僭越ながら私から、意中の人がいれば渡します!amazonprime番組”バチェロレッテ”の薔薇と掛けまして、ではございません。
→手元にはまだ赤だるまがコロリ。あっ自分から渡すのだったわ。クライマックスへ、さぁどうなるのでSHOW!
この日行きつけと呼びたいバーにて、マイケル真衣毛留。マスターのサイモン酒伊門。皆さんありがとう。
 日本への帰国便で空港ラウンジにて3ヶ月間を振り返った。ストリートピアノの音色が妙に心へと響く。マルタでの出会いで、おひとり気になる方が居ることに気付き、メッセージを送った。「あなたに出会えてよかった、またマルタへ行きます」。相手の返事は「僕もあなたに会えてよかった、マルタを好きになってくれてありがとう」と返事が来た。いまだに赤だるまは手元にはある。連れて帰るが誰かに渡すまでは、持ち続けることにしておく。この国にはぎゅっと温かさと面白みが詰まっている。日本でも素敵な笑顔に触れたが、海外では言葉や意思疎通に於いて、うまく伝わらないことが多い。その中でだるまを介し、たくさんの人と交流できた。日本旅で足りなかった「何か」は、世界中の人々の「笑顔と笑い」が生み出され、観れたことだろう。コミュニケーションは言葉だけではない。もちろん語学が堪能の方がより深く関われる。だが話して、書いて、触れて、見て、五感をフル活用に伝え、シンプルに笑顔と笑いが生まれる。私はその姿にエネルギーをもらい嬉しく、豊かであった。いかにポジティブに楽しめるか、そんな空気感がマルタにはある。人・環境・風土がそうさせてくれる、魅惑のマルタの虜となった。

 帰国後再び鎌倉へ、報告会を開催。だるまを通じて、テーマがある旅に現地の方とのものづくりがドキュメンタリー。周りを巻き込み、ミッションがある旅となり面白い。だるまのペイントは各国の文化や、個性がヴィジュアルで残るのがいい。だるまと共に何か他の物事と絡めた結果、一方的ではなく現地の方とのモノづくり。人や国によってだるまの顔も変わり1つから2、3つと楽しめたなど感想を頂く。
 またイタリアから一通の知らせが届く。遡ることマルタ滞在にて、オリジナルダルマのペイントを積極的に広めていこうと、荷物に入れ行動するようになったとある日の夜。スクールの友人と散歩し、海をバックにだるま写真を撮影していた時、通りがかりの方と目が合い、お互いに微笑みが生まれたのがきっかけ。挨拶するとマルタ留学に来たイタリア人ご夫婦で、スクールはお隣だった。私が手にするダルマにwhat?からjapan’s traditional craftと返し、少し興味を持って頂きベンチへ。日没後で暗い中、街灯の光と手短にダルマの説明とsnsを交換し、後日ペイントして写真を送って下さることとなった。12月末ひょんなことから、ペイントされたダルマとお知らせが届く。現在イタリアで何かの講座に参加された際、ダルマ倶楽部があり人生2度目のダルマを見かけ初めてダルマを知った、マルタでの出会いを思い出して下さったとのこと。アナログのリアルな出会いからデジタルに繋がり連絡が取れる現代。世界中との縁により、だるまも地球も丸いのだろう。
 2023年3月、だるまで一つやり残したことがあり群馬県・高崎へ。オリジナルペイント用の白塗りだるまを、出発直前にインターネットから探し注文。現地からSNSで発信していたところ、購入先の会社に勤務する方が母校の出身者と後輩から連絡があった。マルタに居た当時は連絡を取り、帰国後是非お会いしましょう!から月日が流れていた。ご対面と社内を見学。企業活動を通し、「笑顔をつくる」というモットーは、私がつくり出したかったことと合致し、嬉しさも込み上げた。少林山達磨寺も訪れ、桜とミモザに晴天が美しい。新参者ながら参拝でだるま旅をご報告し、旅の終宴に浸る。
 旅が好き。その想いはあれど旅の本質に対して深堀りし、言語化するとしたら。私にとって旅とは‥未知なる自分との遭遇・人との出会いへの道。旅で七転び、度々の旅で八起き。再び旅する時は、どうなるのでSHOW!ご愛嬌までに、旅よ”grazzi“(マルタ語ありがとう)





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