夢見る作家の半妄想日記1
「すみません、これひとつ」
“メニュー”を閉じて、ウェイターに返す。
何を頼んだかって? さて、なんでしょう。
なんでも問題形式にする女は厄介だ。
「『いくつですか?』……何歳に見えます?」なんて風に。あぁ、めんどくさい。
私の“メニュー”は“公募ガイド”。
ご存知ない? ジャンルはもちろん“パスタ”……ではなく、“文芸”。
その中から、何に応募するかを選んでいたの。
そう、そんなくらいが丁度いい。
受賞歴のない作家がガチガチに緊張して「じゃ……これで。や、やっぱりこっちでお願いします!」みたいに選ぶべきじゃない。
「創元ホラー長編賞……原稿用紙350〜650枚。2年後には食べられるかしら」
“食べられる”というのは、“応募できる”の意味。まちがっても、“賞が獲れる”だなんて漁師的発想ではない。そんなホイホイ釣れたら……いやいや、熟練の漁師でないとマグロも獲れないだろう!
それはさておき、私には彼氏がふたりいる。
脚本くんと小説さんだ。
(つづく)
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