長屋への引越し/いつもの日曜日
「うちうみさーん」と呼ぶ声で目が覚める。日曜日の朝8時半。並びに住んでる兄弟の末っ子のTだ。寝室にしている2階は狭い路地から3メートルほど引っ込んでいるので、窓を開けても彼の姿は見えない。
「おはよう、どうした?」
「朝ごはん食べる?」
「作ってくれるの?」
「うん。パンやく。」
「ありがとう。うちで食べるんでしょ?1階片しとくわ」
窓を閉めて羽織るものを探す。
「うーちうーみさーん」よく通る声がもう一度響く。普段は呼び捨てなのに、呼びかける時だけ「さん」がつく。
「なんで