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奇跡の歩行者天国ー藍染大通り歩行者天国50周年に寄せて

私は「歩行者天国研究家」などという大層な肩書きで紹介されることもありますが、すべての始まりは2017年4月、文京区根津の藍染大通りに一目惚れしたことです。振り返ってみると、この場所のことを理解すること、そして少しでも継続のための力となることが、私の活動の原動力だったように思います。
この度、歩行者天国が50周年であることに気づき、「藍染大通り歩行者天国50周年記念誌制作委員会」を結成、記念誌を制作してきました。

そして、記念誌の配布開始に際し、11月6日に記念式典とピクニックを開催します。

記念誌と記念式典・ピクニックの一番の目的は、この通りが育んできた豊かな日常を共有すること。
普段から来てる人には、当たり前すぎるこの状況の素晴らしさを自覚してもらうこと。
そしてまだハードルを感じているような方にも、この場所での自分なりの過ごし方、関わるきっかけを見つけてもらうこと。

記念誌には下記のテキストを寄せています。

東京のような都市だと、隣に住んでいる人のことさえ意外に知らないものです。藍染大通りの歩行者天国は、日々の活用のなかでまちに住んでいる人を引き出し、何を思っているのかを聞き、当事者にとっては面倒なことも多いはずだけれど(本当に頭が上がりません)、助け合ったり、落とし所を見つけるような機能を担っています。「遊び場がない」という不足から出発した歩行者天国ですが、補って余りある存在です。公園ができたからいらないとか、そういう問題ではないのです。こんな場所を意図して作ろうとしても、なかなかできるものではありません。
私は藍染大通りに出会ったことをきっかけに、同じような歩行者天国(歩行者用道路)の調査を始めましたが、歩行者用道路の標識が立っていても、日常的に車止めを出している歩行者用道路はせいぜい1~2割程度。その中でも藍染大通りほど継続的に多様な活用をしている道路は数えるほどしかありませんでした。
藍染大通りがここまで育ったのは、いくつもの要因が重なった奇跡です。でもこれを奇跡で終わらせないために、しっかり記録し、このまちの皆さんで共有していかないといけないと思っています。そして他のまちの方にもこの風景を見ていただき、知恵を出し合って、日本中、世界中に広がっていくことを願っています。

記念誌の内容や記念式典・ピクニックのレポートは今後どこかで発表できればと思いますが、まずは11月6日(日)の午後、ご都合のつく方はぜひ藍染大通りにお越しください。

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