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【詩集】想イノ欠片タチ

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つきの、のカクヨム公開詩集の中から選んだ一篇にイラストや写真を添えたものを集めました。 随時追加中。
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#スキしてみて

「夜ノナミダ」

ぽとん。と蛇口からの滴が 流しの桶に一粒……落ちた 静かすぎるほどの真夜中に 蛇口には今に…

つきの
3年前
27

「拙」

たとえ其の形 どれだけ拙(つたな)くとも 往こう その最期の瞬間(とき)まで この魂と共に。 …

つきの
3年前
19

「観覧車」

そういえば 最後に観覧車に乗ったのって あれは、いつのことだったんだろう 登りきった、てっ…

つきの
3年前
21

「摘みたくなるの」

爪は長くは伸ばせない 少し伸びても摘みたくなるの 髪も長くは伸ばせない 結局、ショートに逆…

つきの
3年前
25

「紫陽花」

どこか憂いを含んだようにも見えるのは 梅雨時に際立つ花色ゆえか 紫陽花には雨がよく似合う …

つきの
3年前
32

「逆説」

幸せを知っているから泣くのだと 悲しみしか知らなければ それが当たり前になってしまっている…

つきの
3年前
31

「○(まる)」

ちゃんと○になりたいのにな ほっこり両手で包めるような 優しい○になりたいのにな どうしてわたしは歪なんだろ きちんと円が描けない ふるふる震えて、へちゃげてしまう わたしは、でこぼこ不格好 最初と最後が繋がらなくて 歪んで滲んで泣きべそかいて それでも○に憧れる いつか○になりたいな 優しい○になれますように 歪なわたしは夢を見る キレイな○の夢を見る 【詩集】「満月音匣」つきの より

「ささやかな毎日」

何事もなく過ぎるということが どれだけ有難いことかと 色々なものを失ってみて 初めて実感と…

つきの
3年前
28

「ないしょ」

ねぇ、ないしょにしてね わたしがこんなに弱虫なこと 知ってるよって言われそうだけど たぶん…

つきの
3年前
30

「流れていく時間の中で」

午後7時過ぎ、薄暗くなった部屋 古い扇風機が首を振るたびに カチ、カチ、という音が響いてい…

つきの
3年前
28

「泣きたくなるのはなんでやろ」

泣きたくなるのはなんでやろ どうにもならんとわかっとっても 気持ちばかりは止められん 流せ…

つきの
3年前
29

「シアワセノカタチ」

恋愛小説の主人公みたいに 途中で何かあっても 最後には幸せになるんだと そんな根拠もない夢…

つきの
3年前
25

「足したり引いたり」

時に 足したり 時に 引いたり しながらでも 結局のところ わたしはわたしでしかなくて 結局…

つきの
3年前
33

「歳月」

歳をとることも そんなに悪いことばかりじゃないね なんてことを わたしが考えるようになったという 不思議 息子を産んだばかりの頃に この柔らかく温かく頼りない 泣いてばかりの、あかんぼうが 「おかあさん」なんて 話すようになることが 想像できない気がしたけど まぁ、よくぞ無事に大人になって いつの間にか母(わたし)を労わってくれる 祖母や両親がいなくなることなど 考えられもしなかった 脆弱な精神のわたしが 今、こうして人生の中 何とか自分の足で立てている 痛いだとか苦しい