Web広告におけるiOS14リリースによる影響
2020年9月にリリースされたiOS14がどこで、どういう影響をWeb広告業界に与えているのかまとめました。
■iOSの影響のメカニズム
iOSはiPhoneに導入されてるソフトウェアですが、その中に「ITP」というものが存在します。
「ITP」とは
Intelligent Tracking Privention の略で、AppleErbブラウザ「Safari」に搭載されているプライバシー保護機能です。
より具体的にITPは、ユーザーがネット上で開いたサイトや購入履歴など、Webサイト上の行動データの取得をSafari上で制限する機能です。
この制限の中には、ユーザーの情報を一時的に保存する「Cookie」そのものを制限する役割を持っています。
■日本におけるSafariシェア
日本ではiPhoneの普及が進んでいるため、携帯を持っているユーザーの約70%がSafariを使っていると言われています。
そのため、iOS14のリリースがWeb広告に与える影響は非常に大きいものとなっています。
■iOS14で追加された機能
iOS14がリリースされた際に追加された機能が主に3つあります。
①IDFAの利用がデフォルト不可になった
②ITPにバウンストラッキング対策が搭載された
③アプリ内でWebを表示する際にもITPが適用されるようになった
①IDFAの利用がデフォルト不可になった
IDFA:Identifier for Advertisers
AppleのiOS端末ごとにある広告用識別子で、各デバイスのユニークIDのようなものです。
ターゲティング広告を配信する際にこのIDFAを活用して配信を行っています。
このIDFAがiOS14のアップデートに伴い、iPhoneの設定からわざわざ「App間トラッキングを許可」をオンにしないと利用ができず、ユーザーの同意が必要になりました。
わざわざオンにする理由もなく、そもそもその設定があることを知らないユーザーも多いことから多くの人がオフのままと考えられます。
②ITPにバウンストラッキング対策が搭載された
バウンストラッキングは、サイトから別サイトへ遷移する際にリダイレクトを挟み計測を可能にする方法のことです。
サイト運営者は、様々なツールを使ってサイト流入の状況を計測したりしていますが、そのツールで計測ができるように遷移の際に計測用ページを挟むことがあります。
(目的のページへ遷移させる前に計測ページを挟むことを「リダイレクト」と言います)
今回のアップデートでは、このリダイレクトさせた際に計測を無効にしてしまう機能が搭載されました。
③アプリ内でWebを表示する際にもITPが適用されるようになった
アプリ内でWebを開く時は、TwitterやLINEのアプリ上でリンクをクリックしてアプリ上でWebブラウザが開かれます。
こうした際にもITPが適用されるようになりました。
これまでのITPは「Safari」ブラウザのみに適用されていましたが、iOS版のGoogle Chrome、Firefox、Yahoo!からのサイト閲覧にもITPが適用されるようになりました。
■Web広告に与えられる具体的な影響
iOS14リリースによるWeb広告に与える影響を3つ説明します。
①リターゲティング広告配信の減少
②ターゲティング広告制度の低下
③計測可能なコンバージョンの減少
①リターゲティング広告配信の減少
今まではサイトに入ってきたときにCookieをつけてユーザーをマーキングしていました。
このマーキングを頼りにリマーケティング広告を配信することができていましたが、アップデートにより、マーキング自体をつけることが難しくなったため、リマケリストのボリュームが減少してしまう影響があります。
②ターゲティング広告制度の低下
ITP対策でユーザーがWebサイト上でどんな行動をして、どんな買い物をしたのか等の情報が取りにくくなったことで、ターゲティング内容の精度が低下してしまいます。
③計測可能なコンバージョンの減少
こちらもITP対策による影響ですが、今までCookieデータを活用してCV計測を行っていましたが、Cookieをつけにくくなってしまったため計測できるCV数も減少していまう、というものです。
■まとめ
改めてこうしてまとめると、今回のアップデートによる影響が非常に大きくなっていますが、今のところ9月以降大きく影響が出ている様子はありません。
ただ、今月に入りリマーケティング配信の成果が悪化するケースが複数見られ、数か月経って影響が出始めたのか、ただ単に成果が悪くなっているだけなのか、という状況です。
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