写真展「一瞬の光」 |K.Takahashi
写真の個展「一瞬の光」を、2021年12月11日〜12日で開催いたしました。
このnoteではその作品の一部を解説を交えながら、ご紹介します。
(作品の全てはこちら)
キャプション
作品/解説
見上げるばかりの新宿の街ビルも、雲と富士山と目線が合うまでくれば
なりを潜める
見下ろす街並みは霞みがかり、海かのようなきらめきを返す
いつもの街、手元にあったiPhone5で撮った写真だ。
環境のせいにして、勝手に限界を感じているのは自分なのかもしれないと
突きつけられる。
どこか、フルパワーで向き合えていない自分をもどかしく感じていた
いつもと違う装い、いつもと違う街並みを歩いてみる
自分の拠り所を知識に求めてみたが、「そうではない」と感じ、外に出る
目に飛び込んできたのは、ひらけた空と、ただまばゆい光だった
勝手に家に、自分の中に、必要以上に引きこもっていた。
一歩外に踏み出せば、堰を切ったように頭の中で雑然としていた
思考の素材が集まり、形を成し始めたのだ。
仕事で初めて手応えを感じたこと、自分の強みが活きていると感じた瞬間、これから変えていきたいこと。
待っているだけでなく、変化を作り出していく、見つけ出していき
囚われている考えや状況を抜け出すきっかけは、
自分からも作れると感じたシーンだ。
日曜の終わり
小さな子どもに合わせてゆったり歩く親子3人
親しげに手を繋ぎ合い、波際に足跡をつけるように進む2人
大学のサークル仲間か、明るい声を上げながら、海を眺める人々
それぞれの生活に1日の区切りが近づいていた
そろそろ、私も今日を終わらせようかと駅に向かおうとしながら、
どこか後ろ髪を引かれる思いで振り返った時
出会った瞬間の一枚
鮮やかな紫が、なぜか私だけが知っている時間・美しさのように
思えた一時だった。
山梨県の甘利山にあるコテージに向かう道中
私たちを歓迎してくれるかのように光が差し込んできた
思わず車を降りて、シャッターを切る
ここで立ち止まり、車から降りたのは私たちだけではないかというような、
なんてことない場所。
この撮影地がどこだったか、私にももう分からない。
二度と行くこともできない。
この時、この場所だけの光を見つけられた高揚感に
包まれていた。
生きることそのものの喜びが、
この一瞬の浴びる光に詰まっているように感じられた。
日が昇るのを待っていた、8月の終わり
夜露でひんやりとした砂浜に、仰向けに寝そべっていた
仕事を抱えに抱え込み、痛覚をなくすように、
感情を強制的にオフにして過ごしていた
このままではいけないと、茅ヶ崎にショートステイした時
待ち望んでいた朝焼けは、水平線に横たわる雲に遮られ、
見える気配がない
代わりに見えたのは力強い光をたくわえた雲と、
海上に架けられた虹だった
本作品「黎明」は個展のためにこれまで撮り貯めた写真を見返し、
掘り出した一枚だ。
その時の自分には、望む朝日が見られなかった状況に残念な思いを
持ちながら撮っていたように思うが、
時を超えて、まばゆく、美しく、違う景色に見えることがあると、
この個展を通じて見出せた。
プロフィール
K.Takahashi (instagram:k.takahashi)
空の一瞬の美しさに惚れ、この美しさ・出会える喜びを、誰かと
共有したいという想いから、小学生の頃からカメラに興味を持ち始めるも、
目にした色を再現できないことに、勝手に失望したままでいた。
2017年、Kyon.Jさんによる個展との出会いにより、
カメラ・写真の可能性を自分がいかに知らなかっただけかに気付かされる。
2021年、初の個展となる「一瞬の光」を実施。
後日公開予定の記事
・個展をやりたいと思ったきっかけ〜やってみて感じたこと
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