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シニアプログラム〜60歳からの健康的な体づくり〜

こんにちは。

メディカルフィットネスViPro-代々木上原-
理学療法士の国沢です。

 わたしは仕事柄、高齢者と接することが多く、90歳以上の方のリハビリをすることもあります。70歳代、80歳代の方も体が不自由になりリハビリが必要となるケースも多々あり、60歳の頃のことを「あの頃はまだ元気で・・・」など、懐かしそうにお話ししてくれます。また病気などで体が不自由になる前に「もう少し体に気を使っていれば・・・」と後悔している方がほとんどです。

 「シニア」と言うと一般的には65歳以上をイメージしますが、体の衰えなどを考えると「60歳」がひとつのターニングポイントになりそうです。60歳を越えると加速的に筋肉などが衰えやすくなるというデータもあります。

もちろんもっと早くから健康を意識することに越したことはありませんが。

 もっとも60歳の方からすると50歳はまだ若くて、50歳の方からしたら40歳はまだ若くて元気だと感じている方がほとんどです。私は41歳になりますが、やはり30歳の頃の方が体力はあったように感じます。

 しかし時間は待ってくれません。平等に時間だけは過ぎていきますので、昔のことよりもこれからどうするかと言うことを考えるのが大切かと思います。そして健康な体づくりをするのに、遅すぎるということはありません。

 「人生100年時代」と言われる現代。

 「まだまだ元気で健康でいたい」と願う方は多いと思います。

健康でなければ仕事であっても趣味であっても楽しむことができません。
「体が資本」というのは、時代が変わっても変わらない定義です。

2016年の厚生労働省調査によると、日本人の「平均寿命」は

【男性:80.98歳】【女性:87.14歳】

と男性女性共に過去最高を更新しています。

しかし、2013年厚生労働省調査によると「健康寿命」は

【男性:71.19歳】【女性:74.21歳】

となっています。

 「健康寿命」とは、介護が必要になったり、寝たきりにならず日常生活を健康な状態で過ごすことができる期間のことです。

 データ的には、男性女性ともに平均10年前後の期間、健康でない状態で過ごしているといえます。

 シンプルに考えて、この「寿命」と「健康寿命」の差が小さくなればなるほどいいなぁと感じられると思います。わたし自身もそう思います。「ピンピンコロリ」と言われるものですかね。

 できれば他人の世話にならずに最期まで過ごしたいと思いますし、一生歩ける体で過ごしたいと考える方は多いのではないかと思います。また何歳になっても趣味を楽しめる体でありたいと思うはずです。

 「寿命」をコントロールすることはできないので、少しでも長く「健康」で過ごせるようにしていくことが目指すところになると思います。

 では、どうすれば「健康寿命」を伸ばすことができて、一生元気に歩くことができ、趣味を楽しむことができるのでしょうか?

そのカギは「生活習慣」にあります。

例えば、加齢に伴って「高血圧」や「糖尿病」などの生活習慣病に罹患される方が増えてきます。そして治療として薬を服用する方がほとんどかと思います。

生活習慣病の原因は「生活習慣」です。

薬はあくまでも脳卒中などの急性疾患にならないための治療です。

「生活習慣」である運動や食事・休養を見直すことで、健康な体になっていくのです。

 そして健康な体には何と言っても「筋肉」が大切で、「貯筋」が必要とも言われたりします。「筋肉」は何もせずに過ごしているだけでは落ちていく一方で、日常生活以外に「運動」や「トレーニング」が必要になってきます。

 一般的には「筋肉」は20代をピークに、その後徐々に落ちていき、60歳を過ぎるとさらに加速するように落ちていくとも言われています。また「骨」なども弱くなっていってしまうので、ちょっとした転倒などで骨折をしてしまうことも少なくありません。そうするとさらなる筋力低下を起こしてしまいます。

 もちろん筋肉が落ちないように若い頃から運動やトレーニングをして「貯筋」ができていれば良いのですが、なかなか実行できる方は少ないと思います。

けれども大丈夫です!

 運動をスタートさせるのに何歳までと言うこともないですし、何歳になっても「運動習慣」によって筋力の低下や転倒骨折のリスクを予防したり、さらには維持向上させることもできます。

 運動があまり好きではないという方も、簡単なもので、できるものから始めていきましょう!トレーニングは裏切りません。

運動を継続して行いことで、筋力の維持・向上することはもちろんのこと、カラダ中の毛細血管を増やし、認知機能を改善する効果もあります。また研究報告によると、運動によって神経細胞や海馬のサイズが大きくなることや、脳の神経成長因子を増やし、ストレスやうつを抑制すると言われています。

 では具体的に、60歳から第二の人生を楽しむために、どのような運動やどのような生活習慣を心がければ良いのでしょうか?

「【】」は、これから書いていこうと思っているタイトルです。
少しずつ書き進めていきますので、
時々覗いてみていただけると嬉しいです。

【①安全な運動・トレーニングの原理原則】

これから運動習慣を作っていこうとする方の多くは

「よし!今日からトレーニングを始めよう!」など、

意気込んで始めると思います。

しかし、意気込んで頑張り過ぎてしまって、ケガをしてしまったり、3日坊主で終わったりしてしまっては元も子もありません。

そのためには安全かつ継続して続けることができる強度が大切です。

目的はあくまでも「#健康な体づくり」です。

「安全な運動・トレーニングの簡易的な指標」
1、筋肉痛を感じない。
2、運動中に疲れを感じない。
3、運動中に息が上がらない。
4、運動中に汗をかかない。
5、運動を継続したいと思う。
6、運動後のきつさがない。
▶️心拍数を測定できる場合は、90〜110拍/分の範囲。

「運動・トレーニング」は大変とかキツイなどのイメージがあるかと思いますが、実はこのくらいの弱い負荷でも十分効果があります。そしてこれが安全かつ効果的に体力を向上させるための秘訣となります。

とにかくがんばりすぎは禁物です。

普段ほとんど運動をしない方は、ストレッチやウォーキングから。

そのウォーキングも20〜30分程度で大丈夫です。ウォーキングの速さも息が切れないで人と会話ができるくらいのペースが良いです。

格好は動きやすいスポーツウェアなどで、ウォーキングシューズを履くのが理想的。そして荷物などは持たず、手ぶらで出発しましょう。

初めは歩き方などは気にせずに、いつも通り歩いて、町の景色や会話を楽しみましょう。

【②有酸素運動と無酸素運動】

有酸素運動とは・・・運動中のエネルギーを体内の糖や脂肪が酸素とともに作り出し、長時間継続して行う運動を指します。

一方、

無酸素運動とは・・・運動に必要なエネルギーをあまり酸素を使用せずに筋肉に蓄えられているエネルギーを直接使い、短時間に強い力を発揮する運動を指します。

上記はあくまでも定義で、皆さまもなんとなくのイメージはもたれていると思います。

「有酸素運動は、軽めか中程度の運動を長く続けるもの。」

「無酸素運動は、全力で短時間行う運動。」

というイメージかと思います。

シニアの方からするとまず無酸素運動をやろうとはならないと思いますし、積極的に無酸素運動を進めるインストラクターもいないと思います。

無酸素運動によって血圧が上がり過ぎてしまったり、関節に負担をかけて痛みを起こしてしまったりしては元も子もありません。

なのでシニアの方にとって大切なのは「有酸素運動」になります。

有酸素運動の効果としては、

「脂肪の燃焼(ダイエット)」

「心肺機能向上」

「生活習慣病の予防・改善」

「基礎代謝の向上」 などがあります。

また、どのような運動が有酸素運動になるのかというと、教科書的には

「水泳」「ジョギング」「ウォーキング」「サイクリング」

などがよく挙げられています。

ここでお伝えしたいことは

「本当にこの上記の運動が有酸素運動になるのか?」

というところです。

わかりやすく「ジョギング」を例にとって考えてみましょう。

もしお医者さんから

「ジョギングは有酸素運動なので積極的に行なってください」

と言われたとします。

あなたはどのように思いますか?

比較的体力がある方であれば、「少し走らないとなぁ」と思うかもしれません。

一方、普段ほとんど運動をしない体力に自信のない方であれば、「ウォーキングもままならないのに、ジョギングなんて無理に決まってる」と思うでしょう。

それでもお医者さんに言われたことだしと、体力のない方がジョギングを始めたとします。

どのようになると思いますか?

ひざなどの関節や筋肉を痛める。血圧が上がる。転んでしまう。

などが予測できると思います。

そしてこれでは逆効果で運動の意味がなくなってしまいます。

有酸素運動は元々安全なトレーニングであるにも関わらず、なぜこのようなことになってしまうのでしょうか?

それは体力の低い方にとって「ジョギング」は有酸素運動ではなく、無酸素運動になっているからなのです。

つまり、

有酸素運動か無酸素運動かどうかは、運動の種類が決めるのではなく、その方の体力が決めるのです。

仮に「ウォーキング」であっても有酸素運動になる人もいれば、無酸素運動になってしまうという人がいるということです。

では、その運動が自分にとって有酸素運動になるかどうかはどのように判断したら良いのでしょうか?

それは前回お伝えした「安全な運動・トレーニングの簡易的な指標」が判断材料になります。

「安全な運動・トレーニングの簡易的な指標」
1、筋肉痛を感じない。
2、運動中に疲れを感じない。
3、運動中に息が上がらない。
4、運動中に汗をかかない。
5、運動を継続したいと思う。
6、運動後のきつさがない。
▶️心拍数を測定できる場合は、90〜110拍/分の範囲。

上記の条件を満たしているトレーニングは「有酸素運動」と言えます。

今回はもうひとつ。

40センチの高さの台から片足で立ち上がれるかどうかで、ジョギングが可能な体力レベルかどうかが判断できます。

おおよそご自宅にある食卓のイスの高さが40〜43センチくらいかと思います。なのでそこで試してみてください。

もし片足で立ち上がることができなけれ、ジョギングは有酸素運動ではなく無酸素運動になってしまう可能性がありますのでシニアの方にはあまりオススメできません。

もし片足で立ち上がることができた場合は次に30センチの高さにチャレンジしてみてください。

30センチの高さから立ち上がることができれば「ランニング」ができる体力レベルです。

では、「ウォーキング」についてはどうでしょうか?

歩くという視点からも高さ40センチの高さの台から片足で立ち上がれるかどうかが判断指標になります。

つまりこの40センチの高さから片足で立ち上がれない場合は、歩くこと自体が無酸素運動となり、体へ負担をかけてしまう可能性があるのです。

膝などの痛みがあったりして、片足で立ち上がるのに不安な方は、20センチの高さの台から両足で立ち上がることで同様のテストとなります。

こちらのパターンも試してみてください。

この立ち上がりテストはあくまでも簡易的なテスですので、どのような運動をどのくらいしたら良いかを具体的に知りたい方は、一度専門の設備のある施設で測定して、専門家のアドバイスをもらうのが良いと思います。

今回お伝えしたかったのは、

一般的に言われている有酸素運動の種目でももしかするとあなたには当てはまらないかもしれないという点です。

人それぞれ体力や筋力は違いますので、それによって変わってくるということです。

体力のある方は比較的どのような運動もこなすことができますが、体力の低い方は行う運動の種目選択を誤ってしまうと、健康とは逆効果で痛みやケガの原因になってしまいます。

【③ストレッチは欠かさずに行う】

「ストレッチと筋トレはどちらをやったらいいですか?」

聞かれることがよくあります。

もちろんどちらも大切なのでどちらもやってもらいたいと言うのが本音ではあります。

それでも「どちらかといえば?」と聞かれれば、

「ストレッチ」ですね。

ざっくり説明すると、

「ストレッチ」をして体の柔軟性を高めるという作業は、いま現在持っている筋肉の疲労を改善して、持っている筋肉をしっかり使える状態にすることです。

一方

「筋トレ」は、いま持っている筋肉をさらに強くしてプラスαをしていく作業になります。

「ストレッチ」はマイナスをゼロに戻すもの。

「筋トレ」はゼロをプラスにするもの、とも言えるかもしれません。

筋肉は疲労が溜まっていてマイナスになっている状態では、筋トレをしても効果があまり出なくなります。

もちろんスポーツ選手のようにトレーニングで追い込んで、大きいマイナスを作って、大きく回復させてどんどん強くする方法もあります。

が、シニアの方がそこまでリスクを背負う必要はないと思います。

しっかり今の筋肉がしっかり働く状態を維持することが第一で、余力があれば少しずつ筋トレをしてプラスαをしていくのがオススメの方法です。

シニアの方は筋肉が硬くなってしまって、筋肉がしっかり働かず、関節痛や筋肉の凝りになっている方が多いので、ストレッチから始めていくだけで体の調子が上がっていくことがよくあります。

運動を何から始めようかと悩んでいる方は、ストレッチからぜひ始めてみてください。

【④関節痛や筋肉痛の痛みとは】

【⑤血圧、心拍数、呼吸数】

【⑥毎日継続するために】

【⑦食事の管理】

【⑧健康をマネジメント】

最後までお読みいただきありがとうございました。理学療法士の資格を有していましたが、病院という枠を出て「予防事業」に取り組んでいます。体はとても大切な資産です。運動習慣と健康習慣の啓蒙をしていき、充実した日々を過ごすサポートをしたいと考えています。